第17話 2人の最期
「てりゃあ!」
ファンの殴った所が、爆発する。そこから、マグマが飛び散る。
「くそ!マグマで近づけねえ!」
ファンは、出てきたマグマに手を伸ばし、新たな武器を持った。その見た目はマグマが垂れている弓のようだ。
「近づかないなら遠距離だ!」
ファンが矢を引っ張ると、矢にマグマのエネルギーが詰め込まれていく。
ラヴァアロー!ラヴァアロー!ラヴァアロー!パーフェクト!
「おらあぁ!」
ラヴァ、アロー!ブラスト!
マグマの矢の周りに無数の小さな矢が回って、次々とフィーバットに当たっていった。
「今だ!」
「ああ!」
ヒッサツ!
ワイルド•ラヴァ!
「とりゃああぁぁぁ!」
ファンのキックは、フィーバットを貫いた。
「ば、ばかな!俺が…ニトロゲンが…
嘘だ、嘘だあぁー‼︎!
バーフィル、俺の夢があああぁぁ‼︎‼︎!」
「はぁ…はぁ…あの人は…」
「ほら、」
素科が指差した方向には、彼女がいた。
「ありがとう。ファンさん…」
彼女は泣き笑いながら、言った。
「…ッ!」
「どうした!?」
ファンの体から、少しずつ炎が出てきた。
「体が…燃えている⁉︎」
「黙って悪かった。
実はワタクシ、さっきのマグマで限界だったんだ」
「じゃあお前は…」
「”死ぬ”」
そう言って木の後ろから拍手の音が聞こえた。
「誰だ!」
「いやー、良かった良かった。面倒な英雄が一人、いなくなって」
ホログラムは、笑いながらこちらに来た。
「お前か!」
「そう慌てるなよ。作ったのは彼女だろう?なぜ俺を責める」
「お前が何かしたんだろ!」
ホログラムは笑いながら言った。
「さあね」
「ホログラム…お前!」
「これでお前にも負け筋ができた。
あとはその負け筋を100にするだけだ…」
ホログラムが出したのは、赤と黒と白が入り混じった見た目のビンだ。
「それは…!」
「お前の研究所にあったものだ。
知ってるぞ?お前、昔最強のビンを作ろうとしてたみたいじゃないか。
そんな代物を火事の後に隠すなんて…」
「…お前何者だ!」
「んー、君の友達とでも言っておこうかな?」
「ヤツが…素科に色々したっていうのですか…」
ファンは立ち上がり、素科に何かを渡した。
「ニトロゲンの時の失敗作だ。力が強すぎるから渡さなかったが、今のあなたなら使えるはず…ッ!」
「ファン!ファン‼︎!」
「ホログラムを…頼みました…」
「ファンさん!」
彼女が走ってきた。
「冬野さん!
ここはあぶない!から…?
あれ、なんで俺…」
「冬野さんって…なんで素科さんが…?」