第13話 実らぬ恋
「ん…え?
ここ…どこ?」
「やあ、おはよう素科くぅーん」
「はいはい、おはようおはよう…」
森に完全に同化している木造の家。いつもならその家には1人しかいないのだが、今日は3人もいる。こんなこと、1年ぶりだろう。
「あ、起きました?」
「え、あはい。」
「お嬢さん…良かったらこのワタクシと…」
「え…?えと…」
「はいはいそこまでそこまで
イチャイチャすんなよリア充どもが」
「イチャイチャなんかしていませんよ!
ただ愛の告白を…」
「年齢制限上がるからやめろまじで」
ファンが丁寧な言葉で言った。
「そういえば…あなたの名前はなんて言うんですか?」
「あ、私の名前は…」
その時、アラームビンが鳴った。タイミング悪いなあもう。
「デンスルだ!行くぞファン!」
「ああ!」
彼らが立った瞬間、素科達の足に激痛走る!
「痛たたた!」
「あ…怪我してるところ…まだ治ってないから…」
「じゃあ誰が行くんですか!
ワタクシは行きますぞ」
「おい!ちょっと待て…」
ガチャン!
「なんであんな怒ってるんですか?」
「俺もよくわからない」
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「あの人にいいところを見せるため…」
木の奥からタコのデンスルが出てきた。
「ん?お前は…ミュージックじゃあないか!」
「そおのとり。
ワタクシのために死んでくれ!」
「そんなの無理だよーん!」
それはそう。
「だったらワタクシがこの手で…
変身!」
ミュ、ミュ、ミュ、ミュージック!
フローズン•トーン!
「たあぁぁぁ!」
ファンがデンスルに突っ込んで行った。勿論、デンスルは素早くかわした。
「まだまだあぁー!」
サンタイヒッサツ!
ブッシツノサンタイ!
コタイキック!
ファンがキックした場所から周りの場所まで、どんどん凍っていく。勿論、デンスルも例外ではない。
「え?ちょ、待って!俺出番少な過ぎいぃぃ‼︎!」
デンスルのカチコチ焼き(?)
〜フォアグラとキャビアを乗せて〜
(タコ味)
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「どうぞ。お嬢さん。」
ファンはさっきよ料理を彼女に渡した。ほんとに同じ教育を受けてきたのか疑うレベルだ。
「わ、わぁ…とっても…嬉しいです…」
彼女は苦笑いをしながら食べるそぶりをした。
「で、でも私…今はちょっといいかな…」
「今!今食べないと美味しくないから!今!」
広告かよ。彼女はファンの食べろ!という圧に負け、見事に食べてしまった。可哀想に。お気の毒に。
「ん…えと…」
「美味しいでしょう!そりゃなんといってもミシュラン3つ星を雇っている者の料理ですから!
これくらい当然ですよ!」
「あ…えと…はい…?」
だめだこりゃあ。