第八話「龍」
ピラニアに進化した後、俺は自分の強さに酔っていた。
(よ〜し、周りの生き物全部狩り尽くしてやるぜ!)
まぁ、調子に乗っていたのだ。簡単にレベルが2も上がったし。そんな調子で川を泳いでいたら、開けたところに出てきた。
(ん?ここはどこだ?)
あわてて周りを見渡す。近くに生物の気配はない。
(まぁ俺はピラニアなんだし、多少格上が出てきても大丈夫か。)
そう思って、そのまま泳いで行く。
そんな時だった。
ゾッ
突然鳥肌が止まらなくなり、俺はあわてて近くの岩場に逃げ込んだ。
岩場の陰から周りを見渡すと赤いサメのような生物がいた。こっそり鑑定してみる。
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名前:なし
種族:ブラッドシャーク
Lv:27/40
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鑑定した瞬間察した。あれには勝てないと。
突然サメがこちらの方を振り向いた。どうやらこちらに気づいたようだ。
(うそだろ、なんでバレたんだ?鑑定したからか?)
そう考えている間にもサメはこちらの方に向かってくる。
(二度目の人生もこれでおしまいか….調子に乗るんじゃなかったな….)俺はそう考えてその場でボーッとしていた。
そして、いきなりサメが何かに喰われた。
(は?)
目の前で起きていることの理解ができなかった。自分を喰おうとしていたサメがいとも簡単に殺されて食われたのだ。理解できるわけがない。
目の前でサメを喰らった龍のような形状の生物は満足そうにしながらこの場を去っていった。
あわてて俺は龍のような生物を鑑定した。
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名前:なし
種族:水龍
『鑑定が妨害されました』
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『鑑定のレベルが上がりました』
もう笑っている余裕もなかった。俺はただひたすらに逃げ出した。安全な場所を求めて。
『恐怖耐性のレベルが上がりました
恐怖耐性のレベルが上がりました
恐怖耐性のレベルが上がりました
隠密のレベルが上がりました
隠密のレベルが上がりました 』
気づくと俺は見覚えのある岩場に戻ってきていた。俺が最初にいた場所だ。
俺は息をつくと同時にこう思った。
(もうバカなことはしない。「命大事に」で生きよう。)
これが、これからの俺の考えが決まった瞬間だった。
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