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ノイワット、エスコートしたい。

後に父上が持っている子爵領を分けるつもりがあったと分かり、早く言えよ!ってなったけど。

おかげでしゃにむに取り組んだ研究が評価され、授爵がされるほどにはなったし、王族にも一目置かれた。

一目置かれたのは、王族との縁談が纏まり掛けた際に、膨大な術の練り上げをしてしまい、

訓練場の大半と王城に連なる施設の一部を吹っ飛ばしたから。

『無理に勧めるなら焦土にする』という脅しになってしまったとかならなかったとか。。。

責任者だったヘイズ公爵閣下に取りなしてもらって事なきを得た。

そもそもヤツら(王族)がそんなこと言わなきゃこんなことには。。。

そう言ったら閣下のげんこつを食らった。

吹っ飛ばしたのが悪いと。しかし吹っ飛ばさずに俺の要求を通すのも骨が折れるから、ここら辺が落としどころだと。

どこがどうなって落としどころになっているか分からないけど、

アデラと居られるならいい。吹っ飛ばしたけど授爵してくれるんだから王族は良いやつゾーンに入れてやる。

それでアイコだろう。


アデラをつなぎ止める努力は惜しまない。

宝石?手紙?お菓子?

思いつくモノは全部送る。

牽制になる?何ソレ、詳しく!!


もうすぐアデラのデヴュタント。

ドレスも俺が作るし、エスコートも俺がする!と気合いを入れていたのに横やりが入った。

デヴュタントは基本家族が送り出すんだと。

ダンスだってマナーだって完璧にしたのに、だ!

婉曲的表現は丸暗記だからどうやって使うかまでは知らん。

婚約者の俺がエスコートする事もあるけど、まずは父親に譲れって。ネル兄上が。

今後ずっといっしょにいるのは俺だから、娘のハレは譲れと。

恨まれたくないだろう?一生言われるぞ?

ドレスを選べなかった母親の恨み。エスコートできなかった父親の恨み。

くそっ。

仕方ない。譲る。ほら譲るよっ。何だよオッサンにらむなよ。

オッサンの後は俺でもいいんだよな?



当日は、会場で待っていた。

華やかな心地よい音楽に誘われるように今宵の主役の登場だ。

もうアデラしか目に入らなかった。

一挙手一投足が。見上げる微笑みが。しずしずと流れるような優雅なダンスが。

ハタと気がつけば、相手はアル兄ではないか。

あんのオッサン、あれだけ俺をにらんでおいて。

アル兄でいいなら俺でも良いではないか!

いや、家族か。いやいや、俺だって家族だ。む、法的にはまだか。


次は俺の番だといそいそと駆け寄った。

途中で何人かがアデラに吸い寄せられていたから、軽く術を飛ばしたり足を踏んだりした。

もちろんにらみも効かせた。

目の前に到着したら、視界全部がアデラになった。

綺麗だ。綺麗だ。なんか妖艶だ。良いにおいがする。

イテ。ネル兄め。小突かれた。

「レディ、お手をどうぞ」

イテ。ミーシャ姉。。

「ではなく、私にあなたとダンスする栄誉をお与えください。」


「喜んで。」


受けてくれて心底ホッとした。

いつも通り微笑んでいる。

いつも通りが嬉しいのに嬉しくない。

君の一番になりたいのに。

君も俺がいなくちゃ生きていけないくらいになれば良いのに。


続けて3曲踊れるのは婚約者だけっていうからホントは3曲踊りたかった。

まぁしかし初めてで緊張するモノらしいし、こまめに休憩をって言われたしな。

ミーシャ姉に。


休憩しようとしたらドミニク大臣に声を掛けられた。

こんなタイミングで声かけんなよ。

ちょっと冷気が出たかもしれない。

おかげで有象無象は目をそらしたからいいだろう。

アデラにテラスで待っててもらうつかの間くらいはドミニク大臣の用事をしてやろう。

要するに技術提携する攻撃要塞の設計および予算のことで登城しろってことか。

ぐだぐだ言っているから、日付だけ言って踵を返した。


テラスに入ったら、誰かとダンスの回数について話しているようだ。

相手は誰だ?男、じゃないな。


「なぜ婚約者と2曲踊ってはならないのでしょうか?」


う、嬉しい!俺のこと婚約者と!1曲じゃ足らずに2曲踊ることに前向きに捉えてくれている!

3曲でもよかったのではないか??


「あら。まさかまだ婚約者でいらっしゃると思わなくて、、、ご不快になったかしら。ごめんなさいね。」


は? 婚約者!ですが?!


「シュスラン様、ノイワット様はお優しいので、そこの新興貴族の行く末を案じていらっしゃるのですわ。

ウィンシットガルバーニー令嬢!あなた、ふさわしい嫁ぎ先が決まるまでと厚かましい振る舞いですわね。」

「そうだったのですね。」


!!!!

イヤイヤイヤ、アデラは厚かましくない!アデラが思い込んだらどうするんだ!こんのクソ女!

よく分からんが、俺とアデラこそがベストカップルだろうが!


「では、これも何かの縁ですし、僭越ながらミュラー公爵家が全面的バックアップのもとふさわしいお相手をお選びいたしますわ!」

「いえ、お手を煩わせるようなことはしたくありません。ただ、参考までに、、、」


は? は?


理解が追いつかない。

は?

新しい?何だって?

アデラ、なんで?俺じゃなくてよいの?

その女が選んだ男に興味があるの?

なんで伏せているの?


「ミュラー公爵令嬢のお許しがありますれば。」


おまえか。

そこの醜い女。誰を紹介するつもりだ。


はっ。この女が言う男は全て結婚から遠い男達だ。

弟が言っていた。

この男どもは結婚市場で価値が低いと。

人気がないのだと。

そんな男らにアデラをくれてやる気もなければ負ける気もしない。


むしろこの価値の低そうな女たちが行けばいいんじゃないか?

価値が低い同士お似合いじゃないか。

さてどうしようか。


「家格とご実績を鑑みれば、不肖私めが順当と思われますわ。」


なん、て?


ごぼり、身体の中からドロドロの何かがこぼれ出たようだ。

その瞬間にアデラの甘い香りがして俺の頭にアデラの柔らかい衝撃があった。

アデラが俺を見ている。それだけで満たされる。

身体の中のドロドロが浄化されていく。

離さない。

絶対に。


ヘイズ公爵閣下がいらしてくれた。

目の前の女たちはぺしょりと座り込んでいる。

ようし、閣下に丸投げだ。


とりあえずこの女どもと男の名前を挙げたら、

それだけで良いようにしてくれた。

すげーな。そんだけの情報じゃ、やって欲しい事なんてわっかんないぞ。

アデラは微笑んでいるけど、、、え?わかんないのって俺だけ?


後で閣下にリストわーたそっと。そんでいいわけね。OK。

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