アデラ、8歳。ガーデンパーティー
※虫、猫、動物の虐待可哀想描写アリ。ブラウザバック推奨。
Xアカ持ってないから18設定とかスムーズにできなかったのです。すみません。
はじめまして投稿いたします。
無事2話目もアップ!ワシでもできたぜょ!
何となく重たいカップルを妄想していたら、なんか重たいまま突き進みました。
誰も見ないかもしれない、と名前とか省略しまくりです。
読んでくださった方がいらっしゃいましたら、どうかお手柔らかに。なにとぞ。
大人であろうと子供であろうと、他人の気持ちが分からない。
私は「ちょっと大人びた子」というか「オカシナ子」だ。
楽しいこともなく、興味あることもなく、可もなく不可もなく。
物心ついたときは、生きている意味がわからず混乱した。
周りの、風が吹くだけで笑い転げ、怒り、愛着を示し、蝶のようにフワフワと落ち着きのない子供ばかり見てきた。
なんって臭くて喧しくて煩わしいのだろうか、と思った。
翻って私はどうだろう?
私は静かに本を読み、紅茶を嗜み、日々レッスンを無表情にこなす。
大人が、うれしそうに私を褒めるけれど、何の為に?
無意味では?
大人であろうと子供であろうと、他人の気持ちが分からない。
何がそんなに楽しいの?
他の子との違いを認識してからは、気を配った。
いかに埋没するか。
私がオカシイ事は、認めてしまえば明白。
では、違いを悟らせてはいけない。
違いは違和感を経由して嫌悪感へ成長する。
そうして差別から闘争、果ては国家間戦争へ発展すると歴史が教えてくれている。
そして私はよくよく人を観察するようになった。
よく観てよく真似た。
口角を少し上げて上目遣いにするだけで、人は笑顔になる。
両親も兄弟も安心する。笑顔になる。
笑顔になるなら良いことだとした。
私、アデラ8歳。ガーデンパーティー。
走り回るだけで楽しそうな子供たち。
何か熱心に話し合う子供たち。
一人でぼんやり花を見ている女の子。
姉妹が友達に褒められて嬉しそうにしている。テーブルの下で、、、何かしているような。
兄弟の兄が父親に怒られていて、弟が隠れて醜い笑顔をしている。
ニコニコと紅茶を口の中で転がす男の子。
女の子を年上の女の子が押して転ばしたのに、私じゃない!と言い張っている。
男の子が自慢げに宝飾品を見せびらかしている。
参考にしつつ無難な態度を心がける。
だいぶん普通が分かってきたはず。
それでも不可解なことはいくらでもある。
その内の一つは、えらく長引いている。
その子は、キャロラインという名前だった。
私のようにオカシイ子であることは明らかなのに、
とても人に愛されているようで。
身分が低いにもかかわらずいろいろなお茶会でお会いする。
いろんな人と親しげに会話をしているのをお見かけした。
はぁ、親しく会話できるとか、すごいわね。難度高いわ。
顔はまぁ整っているけど背は小さく、ピンクのドレスを着ていることが多い子だった。
それとリボン率がやたら高いようね。
リボンで埋もれているドレスで来たときはそれなりにビックリしたわね。
どうして愛されているのか知りたくなって、誰だろうって思って近づいた事があったけど、、、
「ごきげんよう。」
「まぁ、あなたアデラちゃんね!ずっと友達になりたかったの!」
?
「光栄ですわ。」
この人、名乗らなかったわ。えっと確か、、、ギャンデューラ男爵んとこの、、、
「ね、ロドリゲス様って、アデラちゃんの従兄弟でしょ?」
「?(微笑)」
そうだったっけ?そんな名前だったような。。。アルノー伯爵家の嫡男だったような。。。
「あ!あっち行こう!アデラちゃんのお兄ちゃんじゃない?」
ふわふわと礼儀そっちのけで一人しゃべり続けていると思ったら、
いきなり私の腕をつかんで強引に引きずっていく。
(んぇ?ちょ、コケそう。私の左側から私の右手をつかまないで欲しい。)
「アルベルト様~!今、アデラちゃんとお友だちになったのです!今度遊びに行っていいですか?」
「(んぇ?)何しにいらっしゃるおつもり?」
「え?ひどい、そんな言い方しなくても!せっかくお友だちになれたのに!
いいもん!アル様~、遊んでくださいますよね!遊びに行きますから!」
とにかく会話が成り立たない。
私がオカシイからかしら?
呼び捨て?挨拶は?いつから友達なの?
勝手に触るってありなの?
疑問が満載過ぎて、言葉が見つからない。
私、礼儀なかったかしら?
礼儀を押さえておけば、会話できるはずよね?
5つ年上のアルベルトお兄様は眉を顰めただけで、「私のことを知っていてくれて光栄だね。でもキミには小侯爵と呼ばれたいな。」と笑顔で返していた。
ちょっと前までやんちゃで落ち着きのナイあのアルベルトお兄様だったから、彼女とわかり合えるところでもあったのでしょうか?
ショーコーシャク?呼んで欲しいニックネームまでお与えになったのですから。
「では、僕は離れるからごゆっくり。(ニッコリ)」
「イヤダ、お忙しいのですね!じゃぁ、次の移動先までいっしょに行きましょう!アデラちゃんは足お大事にね!」
彼女は私を置いてお兄様について行く気のようだ。
でも不思議に思ってつい質問をした。
「どうして足ですの?」
「え?だって足が悪いから移動が大変なのでしょう?」
ん?
「。。。アディー、こちらへ。紹介したい子がいるんだ。足が痛いなら僕が抱えるよ。」
お兄様にお姫様だっこされた。
キャロラインと二人で移動は恥ずかしかったのかしら。だっこされてガーデンパーティー会場を横切る。
その間も彼女、キャロラインは「あのね、。。。」「この間はね、、、、」とお兄様に話しかけていた。
姦しい。
お兄様は、終始笑顔でまっすぐ前を見ていらしたから、きっと緊張されているのね。
移動中ずっとキャロラインは喧しい。
お兄様は、返事をしなくてよいのでしょうか?そろそろ耳が痛い。
キャロラインが私の袖を引っ張るのは何故かしら。
しっかりした仕立てのおかげで破れはしなそうだけど。
お兄様の服と間違えていらっしゃるのね。
しばらくすると花壇をのぞき込んでいる男の子と笑顔でこちらに手を振る青年が見えた。
「やぁ、ネルロ。ウチのお姫様を連れてきたよ。」
ネルロ様はチラリと私とキャロラインを見て、傍らの男の子を紹介した。
「やぁ、ようやくお会いできたね。私はネルローディアス・エッセンデル。弟のノイワット・エッセンデル。よろしくね。」
ようやくだっこから解放されて、カテーシー、、、
「きゃぁ!私!キャロライン!あそぼう!」
ノイワット様はこちらへ振り返って、バッタを突き出した。
「キャァァァァ!!!虫ィィィィィィィィ!!!!」
うるさい。ウンザリするほどに。あぁ笑顔キープ。忘れるところだった。
キャロラインが走り去ってくれて、耳は保たれた。ホッ。
お兄様に別れの挨拶がなかったけど良いのかしら。何にせよ、元気そうで何より。
ようやく挨拶かな。略式カテーシーでいいかな?
「アデラ・ウィンシットガルバーニーですゎ。どうぞよろしく。」
「ノイワット・エッセンデル。君はバッタ好き?」
ずいっとバッタという昆虫を突き出された。
少し小首をかしげて答える。
「好きとも嫌いともありません。虫だな、と。」
「そう。」
そう言って、ミシャっとバッタの首のあたりをつぶしてしまった。
「「ヒッ!」」
お兄様方は、こわばった笑みを浮かべている。
「あーぁ、黒い汁が手に付いちゃった。」
しげしげと眺めつつ、プチリプチリと手足、羽、頭、と次々にもいでゆく。
「ノイ、、、むやみに生き物をつぶすな。」
ネルロ様の沈んだ声かけにノイワット様は不思議そうな視線を返した。
私がチラリと振り返ると、お兄様は遠くの雲を眺めているようだった。
ノイワット様の無言は、『どうしてつぶしちゃダメなの?』『むやみでなければ良いの?』と私には聞こえた。
あぁ、初めて人の気持ちとやらが分かった気がする。
私と同じだな、と。人の気持ちが分からない所が。
そして、気持ちを分かろうとすることをまだ諦めていない素敵な方だと。
これがきっかけとなり、ノイワット様と婚約することになる。
※リボンの女狐、キャロラインがアデラの服の裾を引っ張った理由。
⇒アデラ重いの演出&あわよくば落ちないかな、です。
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こぼれ話。
あの日、アル兄は親しくしているネルロに心配している妹を紹介する予定だった。
ネルロも同じように心配している弟をアルベルトに紹介するつもりだった。
ところが、思いの外ノイワットが残念(10歳になっても平気で虫を潰し、あまつさえ令嬢の前で惨殺&解体ショー)
だったので、アル兄は会わせたことを後悔した。
婚約にも反対したかったが、アデルが予想を裏切って前向きだったため、黙った。
妹のキラキラ生き生きした目は、およそ初めてだったんだもん。
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