賑わいの街へ
商業都市セントラルムーンの入り口に立ったアルファは、石畳の道を行き交う人々の活気に目を奪われていた。様々な店が軒を連ねる賑やかな通りを歩いていると、「ハンターズギルド - 月影の狩人たち」と書かれた堂々とした建物が目に留まる。
「ハンターズギルド……?」
隣を歩くダインスレイフが答える。
『この手の街にはよくある組織だ。魔物退治から護衛まで、様々な依頼を取り扱っているらしい。』
力をつけるため、そして龍に関する情報を得るため、アルファは意を決してギルドの扉を開けた。酒場のような喧騒の中、受付を見つけたアルファは、清楚な雰囲気の受付嬢に声をかけた。
「あの……登録はここで合っていますか?」
受付嬢は笑顔で答えた。
「はい、こちらで承っております。ハンターズギルドへようこそ。登録をご希望でしょうか?」
アルファが頷くと、受付嬢は登録用紙とペンを取り出し、説明を始めた。
「登録には、まずこちらの書類にご記入ください。お名前と年齢、得意な戦闘スタイルなどを簡単にお伺いします。ハンターとして活動する上での規約もございますので、後ほどご確認ください。特に、依頼の放棄や無許可での危険行為は禁止されています。」
書類に記入するアルファに、受付嬢はギルドのランクについて説明を続けた。
「ハンターのランクは、低い順に新人級、初級、中級、上級、特級、そしてごく一部の実力者のみが到達できる達人級、更に究極級が存在します。」
受付嬢は奥の壁に掛けられたランク表を指差した。
「最初は皆、新人級からのスタートとなります。新人級の依頼は、薬草の採取や、弱い魔物の討伐が中心です。例えば、『薬草庭園のホップフラワーを十個採取する』や、『街道に出没する小型ゴブリン三匹を退治する』といった内容ですね。これらの依頼をこなすと初級へ、さらに実績を積むことで中級、上級へとランクアップできます。ランクが上がるほど、より難易度の高い依頼に挑戦でき、報酬も増えます。」
受付嬢は熱心に続けた。「上級以上になると、大規模な魔物の討伐や、重要な護衛任務など、国の命運を左右するような依頼も舞い込むようになります。そして、特級、達人級は、まさに一騎当千の力を持つ英雄と呼べるでしょう。究極級は、語り継がれるほどの偉業を成し遂げた、ほんの一握りの伝説的なハンターのみが到達できる、最も名誉あるランクです。」
最後に、受付嬢は微笑んだ。
「最初は新人級からですが、焦らず、着実に実績を重ねてください。何かご不明な点はございますか?」
アルファは受付嬢の説明に真剣に耳を傾け、しっかりと頷いた。
「ありがとうございます。よく分かりました。」
彼は受付嬢に書類を渡し、掲示板に貼られた様々な依頼書を眺め始めた。彼のハンターとしての新たな生活が、今、幕を開けようとしていた。