墓地の依頼
食事を終えて。
『マスター、レベルが上がったので、ステータスポイントと、スキルポイントが増えています。どうしますか?』
レベルが8まで、上がったので、それぞれ7ポイントのスキルが手に入ったようだ。
ステータスポイントは、精神力に振る。
スキルポイントは、どうしようか。
魔法とかも覚えたいし…。
『次の冒険者ギルドの依頼も考えて、魔力制御LV1、魔法威力増大LV1、水魔法基礎(水生成)LV1、光魔法基礎(光生成)LV1、聖魔法低級(浄化)LV3、を推奨します。』
じゃあ、それで行きましょう。
…魔法ってスキルだったんだ。
『魔法はスキルなしでも使えますが、指向性が無茶苦茶になります。魔法を上手く加工して、武器にするのがスキルのイメージですね。』
ふーん。浄化って、なんか汚いところでも行くの?
『下水道の浄化依頼もありましたが、そこは臭いとかきついのでやめた方がいいですよ。今回いいなと思ったのは、共同墓地の浄化依頼です。早速、行きましょう。』
わかった。あと、もうちょい魔法について教えて…。
『依頼を終えてからにしましょう。夜になると厄介なので…。』
了解…です。
俺は、再び冒険者ギルドを訪れる。
また、あのおじさんの受付が空いていた。
「この依頼いけますか?」
「おー、いけるぜ。浄化は使えるようにしたか?」
「LV3で使えます。」
「そんなら大丈夫か。昼でもモンスター出るかもしれんから気をつけろよ。」
「ありがとうございます。」
共同墓地は、街の外れの一角にあった。
ついた時には、15時。
墓地管理人のおじいさんにあいさつする。
「棺桶の中に入ってるから、ゾンビやスケルトンは出ないと思うが、レイスはたまに見かける。まあ、気をつけなさい。」
街の喧騒が、嘘みたいに聞こえない。
俺は墓地に入る。
『辺り一面をぱっとみたいので、スキル使えるだけ使いますね。』
鑑定、空間把握、マッピング、鷹の目、情報処理を起動したのだろう。
ぱっと視界が開けた感覚になる。
『おおもとから行きましょうか。そのまま墓地の奥に向かって下さい。』
奥に進むほど、雰囲気が悪くなる。
『前方に2体レイスがいます。浄化は温存したいので、迂回しましょう。』
一応鑑定。
レイスLV1
生命力5
体力0
魔力50
精神力50
筋力0
知力5
魔法抵抗力20
『迂回先にバンシーがいます。あれは、倒しましょう。』
鑑定。
バンシーLV5
生命力15
体力0
魔力150
精神力150
筋力0
知力30
魔法抵抗力75
スキル
恐慌の叫びLV4
うーん。
『どうしたんですか?』
レイスとかバンシーってどうやって攻撃するんだ?
『霊体系モンスターの攻撃は精神力にダメージを与えるそうです。それで、隙を見せたり無防備になったところをスケルトンやゾンビが一撃でっていう感じみたいですね。経験値は配分されるので、しっかり成長できます。』
やっかいだな。
『浮かんでいて攻撃も当てづらいので、今回も一応気を付けてくださいね。』
わかった。
バンシーに近づいていく。
『そこらへんから、お願いします。』
浄化!
バンシーに命中。
一瞬で、光になった。
バンシーのいたところには、スライムの魔石より大きい魔石が残っていた。
収納っと。
『このまま、まっすぐ行ったところを鑑定して下さい。』
鑑定。
レイスホール LV10
生命力50
体力100
魔力150
精神力150
筋力0
知力0
魔法抵抗力50
スキル
レイス召喚LV9
これもモンスターなのか?
鑑定を通してみると黒い淀みの渦のようなものだった。
『ゆっくり見てるとこれの魔力が回復して、どんどんレイスが出てくるので、早く、浄化して下さい。』
了解。
浄化!っと。
一回じゃ足りないな。
浄化!浄化!
お、消えた。
空気がきれいになった気がする。
落ちていた手のひらサイズの魔石と、黒紫の石を拾う。
『闇の結晶っていうアイテムみたいですね。これくらいの大きさだと銀貨5枚くらいになりそうです。さあ、次、行きましょう!』
レイスホールは全部で4体いた。
最初のレイスホールは、かなり大きかったようで、他の3体はそこまででもなかった。
もう夕方。
俺は、管理人のおじいさんの元に帰る。
「うん。いい感じだ。これなら結界を貼り直すだけでもいけそうだ。せっかくだし見ていくかい?」
おじいさんは杖をついて出てきた。
そして、おじいさんが、魔力をかなり消費して、杖から魔法を放つ。
『聖魔法の中級の浄化結界ですね。レベル20位です。これなら、レイスもバンシーも一撃です。』
数百のレイス、バンシーが魔石になった。
「魔石は、持ってっていいよ。」
俺は、急いで、魔石を回収した。
夜までかかってしまった。
夜の墓地は、本当に怖かった。
冒険者ギルドで、闇の結晶以外を売って、銀の狼亭に行く。
銀貨30枚くらい持っているので当分は生活に困らない。
しかし、今日はつかれた。
あ、部屋、空いてるかな。
「こんにちは。」
「なんだ。兄ちゃん、また、来たのか。」
「お邪魔でした?」
「お邪魔じゃないが…。おーい、昨日の兄ちゃんが来たぞ!」
耳をピコピコさせながら、給仕の少女が出てくる。
「今日は、お酒いる?」
「オススメをお願いします。」