異世界へ
よろしくお願いしますm(_ _)m
あなたは異世界に転移しました。
基本的な知識を伝えるために、スキル:スキル管制人格LV1を強制的にインストールします。
「お、なんだなんだ。」
俺は、見慣れないヨーロッパ風の街の噴水広場に立っていた。
着の身着のままというわけではないようだ。
見慣れない布の服と靴を身に着けている。
『ステータスを強制表示します。』
山田一郎 LV1
種族:基人(純血種)
生命力100
体力50
魔力50
精神力100
筋力30
知力100
魔法抵抗力50
スキル…
スキル管制人格LV1
ステータスポイント(30/30)
スキルポイント(29/30)
『マスターのステータスとスキルです。ご確認下さい。ステータスポイントとスキルポイントで、ステータスの調整ができます。1度振ってしまうと、戻すことは出来ません。』
「了解ですっと。」
俺は、広場の隅に座る。
最初のキャラクターメイクか。
ここで、失敗すると結構取り返しがつかない気がする。
かと言って、自分の状況もわからず、動くのもまずい。
広場を観察。
子どもが遊んでいる。
「hxcrべ08」
「んc24y」
「んx4g800!」
なんて言ってるのかもわからない。
言葉は通じない。
看板らしきものも読めない。
こっちの常識もわからない。
スキルでなんとかなるのか?
そこは、まあ管制人格さんに頼もう。
『了解しました。』
持ち物チェック。
ポケットに銀貨10枚。
それだけ。
うーん。
結構、詰んでるかもしれない。
管制人格さん!
とりあえず、言葉理解出来るようになるスキルをくれ。
『該当スキルあり。スキル:言語理解LV5くらいがちょうどいいと思われます。ご一緒に言語使用LV5はいかがですか?』
両方取ろう!
「はっはっは!俺が魔王だ!」
「出たな、魔王!勇者の僕が相手だ!」
「聖女の聖域スキルを使うわ!」
おー。
子どもは、魔王勇者ごっこをしていたのか。
文字理解のスキルもとっとこうかな。
『該当スキルあり。スキル:文字理解LV5 くらいがちょうどいいと思われます。ご一緒に文字使用LV5 はいかがですか?』
両方お願いします。
これで、スキルポイントは…。
もう、あと9ポイントしかないのか。
とりあえず、保留。
街を見て回ろう。
『マッピングスキルLV1の取得を推奨します。また、空間把握LV1 、鑑定LV1 のスキルも取れば、歩いている間に私の方で、街を調べることもできます。』
全部とったら、スキルポイント6残しか。
まあいいだろう。
噴水広場は街の中心地でここだけでもいくつも重要そうなものがあった。
宗教施設が2つ。
創造神の教会、水の女神の神殿。
次に、ギルドが7つ。
冒険者ギルド、鍛冶ギルド、錬金術ギルド、魔法ギルド、薬師ギルド、治療ギルド、商業ギルド。
噴水広場から、まっすぐ伸びる道は8つ。それぞれ、10kmくらいだろうか。
この道を往復するだけで、結構かかりそうだ。
『スキル:鷹の目の取得を推奨します。』
確かにあると、便利そうですね。
取得っと。
鷹の目と空間把握と鑑定の組み合わせで、街のマッピングが出来た。
色々な店に図書館もあった。
『図書館に行きましょう。』
図書館は俺も賛成だった。
ただし、入る時、入館料銀貨5枚かかったのは痛かった。
『速読スキルLV1の取得を推奨します。』
これも賛成。
創造神の教会について、水の女神の神殿について、それから7つのギルドについてぱーっと調べる。
と言っても、俺のやることは、管制人格さんにわかるようにページを開いて次のページをめくるということを永遠繰り返すだけの仕事だ。
ひたすら、ページをめくるだけでも割と疲れるんだけどな。
それぞれを調べた次は、この街についての本、スキルについての本、魔法についての本、モンスター図鑑、植物図鑑、分布図などを見る。
余った時間で、伝説や伝承などを見ているうちに、鐘が5回なるのが聞こえた。
どうやら、閉館時間のようだ。
『ふう。満足です。』
管制人格さんに満足とかあるんですか?
『私は、人格なのでそういうものもありますよ。』
なんだか意外な発見だった。
街に出ると夕焼け空が広がっていた。
『この通りにある宿屋がいいと思いますよ。オススメは、銀の狼亭です。』
管制人格さんのオススメなら間違いないだろう。
そこにしよう。
「お前、基人だろ?うち、獣人向けの店なんだが…。」
『そうだったんですか…。安全性と安さならここが一番なんですが…。』
店が険悪な雰囲気になった。
居心地悪い。
なんか、泣きそうだ。
そんな気配を察してくれたのか、給仕の小さい子が、俺の服の袖を引っ張って座らせてくれた。
「あー。悪い。別に基人、お断りってわけじゃないんだ。ほら、お前ら基人って、獣人嫌いな奴多いからさ。」
「そうだったんですね…。」
「そうだったんですねって、あんちゃん、どっから来たんだ?」
「かなり、遠いところです。」
「あーそうか。泊まってくか?」
「お願いします。」
俺は、ペコリと頭を下げた。
店主は、やりずらそうに頭をかいた。
この街で、基人に頭を下げられたことなんてなかったので、困ってしまったのだ。
俺は、給仕の女の子を見る。
その子も不思議そうにこっちを見ていた。
「うちは、銀貨3枚で、一泊と朝夜の食事つき、酒は別料金だ。チップとかはいいぜ。その代わり、先払いでいいかい?」
俺は銀貨3枚を渡した。
残り2枚。
明日は、ここに泊まることも出来ないのか…。
少し暗い顔にもなる。
「とりあえず、飯でも食うかい?」
「お願いします。」
料理は、とても美味しかった。
『薬草を練り込んだパンと、ワイルドボアのシチューですね。にんじんとじゃがいもも入っています。』
「お酒いります?」
さっきの給仕の少女だ。
「今日はやめときます。…さっきは、ありがとう。」
「いいえ。」
微笑んでから、足早に去っていった。
「うちのに懐かれるとはあんちゃん何もんだい?」
店主?大将が、驚いていた。
「鍵だ。一応、魔道具だからなくしたら弁償な。」
俺は、部屋に行く。
とりあえず、今日は寝よう。
疲れた。