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世界最高のパティシエ〜罪深き男の奮闘物語〜  作者: 茄子の皮
お菓子屋キャンディスイーツ
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冒険者 キャンディ

 商人としては成長出来たが、冒険者としては弱いので少し鍛えようと思う。

 店舗の戦力は、警備の冒険者達に任せているので良いが、俺が襲われたら簡単に殺られるだろう。


「キキョウさん。俺が鍛えるとしたら、どこが良いですか?」

 冒険者ギルドの受付でキキョウさんに聞いてみる。冒険者達は、魔物を倒して鍛えているらしいが、強い魔物がいたら一撃で殺られてしまうだろう。


「キャンディ君は、Fランクでしょ?ゴブリンとかの魔物を倒せば良いんじゃないの?」


「ゴブリンの群れにあったら勝てません。逃げ遅れたら死んでしまいます。」

 ゴブリン一匹なら倒せるだろうが、複数になったら勝てないだろう。俺はそれほど弱いのだ。


「魔法はどうなの?」


 魔法か。火魔法と水魔法が使えるな。


「火と水魔法が使えますが、攻撃としては使ってません。」


「う〜ん。それならまずは基礎を習いなさい。ギルドで新人演習をやっているから、みっちり鍛えてから魔物を倒しにいきなさい。強くなればダンジョンにも行けるわよ。」


 ダンジョンか。レアアイテムを狙って冒険者が行く場所だ。珍しい魔物の素材等も手に入るから、稼ぎたい冒険者は、こぞって行くのだ。その分危険も多いので、俺は行く気にもならないが。


「分かりました。ギルドで新人演習を受けて鍛えてみます。」


 キキョウさんに教えてもらい、ギルド裏にある演習場に向かう。料金は無料らしく、冒険者の死亡率を下げるのが目的みたいだ。



「おう!お前がキャンディか。」

 スキンヘッドの男が声をかけてくる。180センチほどで上半身裸の男だ。


「はい。キキョウさんに紹介してもらいました、Fランクのキャンディです。よろしくお願いします。」


「よろしく!俺はBランク冒険者のブライだ。新人演習のリーダーをしている。キャンディの事はお菓子屋のキャンディスイーツの店長って事しかしらねぇ。ダンバルの奴を雇ってくれて感謝する。」


 ダンバルさんを知ってるのか。


「ダンバルの奴は強いぞ!力だけなら俺以上だからな。あの性格じゃなければ、Aランク冒険者ほどの力はあるが、護衛依頼をしないとランクアップできないからな。」

 Aランク冒険者ともなれば、貴族様からの護衛依頼もくるらしい。ダンバルさんは、初めての人だと会話がなかなか出来ないからな。俺や店の店員、よく来るお客さんなら会話に問題なく出来ているから、慣れてくれば大丈夫だろう。



「そうですか。今日は俺を鍛えてもらいにきました。魔法は少し出来ますが、戦闘のスキルはありません。」


「そうか。なら俺と模擬戦をしようか。この木剣で勝負だ。」

 木で出来た剣を渡された。


 二人で向かいあい、ブライさんに攻撃する。


 カンッ!カンッ!と剣が受け止められるが、ブライさんは反撃してこない。


「わかったぞ、キャンディ終了だ。」

 ブライさんが素手で木剣を受けて、俺の手から引っこ抜く。抵抗出来ずに取られてしまった。


「キャンディ、お前力が弱すぎる。まず基礎体力を上げる事が大切だ。重い鉄の剣で素振りをしろ。20キロの剣を振り回せば筋力も上がるだろう。」


 20キロの剣か。持ち上げるだけで大変だな。


「あと魔法が出来ると言ったな。出来る魔法を使ってみろ。」


 魔法か。

 火魔法は着火と呼ばれ、火を薪などにつける魔法だ。ファイアと呼ばれる火の玉を飛ばす魔法は、使えない。

 水魔法は、ウォーターと呼ばれる水をチョロチョロ出す魔法だ。ウォーターボールみたいに球体には出来ない。

 クリーンは、物の汚れを落とす魔法だ。これは、体全体でも綺麗に出来る。


 ブライさんに見せると、優しい眼で見られた。


「うん。なるほどな。魔力量が少ない事はないが、全く練習してこなかったんだな。よし!これから毎日ここで練習しておけ。魔法は魔力を使えば使うほど強くなる。レベル2になれば、攻撃魔法にもなるから頑張るんだぞ。」


 確かに魔法を覚えて料理でしか使ってない。魔法で攻撃したことは、一度もない。


「分かりました。これからここで練習させてもらいます。筋力トレーニングと魔法の練習をしていきます。」


「そうか。昼間ならいつでも来ていいからな。他の冒険者とも仲良くやりな。」

 演習場は午前5時から午後10までやっているらしい。店でやることがないときは、練習しようか。


 まずは重い剣でも買って来ようかな。


 ブライさんにお礼を言い、街へ買い物にむかう。



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