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世界最高のパティシエ〜罪深き男の奮闘物語〜  作者: 茄子の皮
新人商人キャンディ
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ジャム&フルーツジュース

 頭が痛い。


 12歳で成人して、初めてこんなにお酒を飲んでしまった。

 誕生日の祝い酒以来の酒があんなに楽しいものだとは、これからも依頼達成には旨い酒でも飲もうかな。


 コップに水魔法で飲み水を出し飲み込む。

 簡単な魔法なら調整出来るようになったのだ。


「お金もあるし、今日は商業ギルドにでも行こうかな。」

 寝癖のついた髪を直し、宿の食堂へ向かう。

 グレイトボアの肉も渡してなかったな。


「おはようございます。今日の朝食は何ですか?」

 食堂のおばちゃんいやお姉さんに聞いてみる。


「おはようさん。もうすぐ昼飯だよ。」

 時刻を見ると11時になりかかっていた。


「そうですか。良かったらグレイトボアの肉があるのでどうぞ。」


「ほう。グレイトボア肉か。ちょっとあんた!この坊っちゃんからグレイトボアの肉を貰ったよ。」

 厨房にいる男性に声をかけると、厨房から出てきた。確か宿屋の店主さんだ。


「ほう。また新鮮なグレイトボア肉だな。10キロ前後か。良いのか? よし宿代と飯を5日無料でどうだ?」

 無料で渡そうとしたが、5日無料になるのか。


「いえいえ、ありがとうございます。差し入れのつもりでしたが、良いんですか?」


「グレイトボアは1キロ最低でも800エルだからな。しかも日にちがたつと新鮮味がなくなる。これは買えば最低8000エルするぞ。」

 宿代が1日1500エルで食事が1食300エルだから妥当なのかな。


「そうですか。俺はキャンディって言います。今日商業ギルドにジャムを持って行こうと思うのですがこれっていくらになりますか?」

 スイーツ空間収納からビンに入ったイチゴジャムを取り出す。このビンでパン30個分くらいだ。


「あんたか!うちの食堂でジャムなんて高級品食べてたのは!」

 おばちゃんが怒って聞いてくる。急にどうしたんだ?


「あんたがジャムをつけたおかげで、俺のパンにジャムがついて無いなんてクレームが来ちまってね。300エルの食事にジャムなんて付けれるかって。しかもオレンジジュースは、どこに売ってんだ!ってクレームもきたから、それもあんただろ!」


 うわぁ、ごめんなさい。街の相場もわからない田舎者ですみません。


「ははは。そうですね。すみません。良かったらオレンジジュースも売りたいので、コップありますか?」

 店主さんが厨房からコップを3つ持ってくる。ビールジョッキほどの大きさだ。


 コップにオレンジジュースを注いでいく。コップ8割くらいそそいだ。


 2人は、ぐびぐび飲み干しコップを置く。


「旨い!けど値段となると高いな。300エルから500エルだろうな。」

 店主さんは言う。おばちゃんは、物欲しそうにみているので、コップにオレンジジュースを注ぐ。


 300エルか。オレンジ一個80エルで1個から10杯ほど出来るから、一杯8エル以上ならプラスになる。


「それなら一杯150エルにしてみましょう。宿で売ってみませんか?」


「一杯150エルだと!他の商人から反感をくうぞ。」

 150エルは、やり過ぎたか。街で金額の調査をしないといけないな。


「なら一杯200エルにして、俺が150エルで宿に50エルにしませんか? 俺が食堂で働く訳にはいけないので、店員さんのボーナスにしてください。」

 食堂にくるのはほぼ男性客ばかりなので、食堂には可愛い女性店員ばかりなのだ。一部の女性客や男性客からは俺も好かれるだろうが、ターゲットにするには狭すぎる。


「良いのか? うちとしてはありがたいから良いが、そうだな。樽にオレンジジュースを入れて貰えば後は、宿で売っておく。早めに商業ギルドに登録して正式に契約しようじゃないか。」

 勝手に商売するのは違法ではないが、多額の金銭が発生すると、ギルドにお金を納めないといけないらしい。街への税金とも言う。


「わかりました。それでジャムはどうしましょう?」


 おばちゃんがパンをもって来て、3個のパンに塗っている。

「味は問題ない。いや普通のジャムよりも甘さは控えめだが、これが適正なのかな。ジャムは甘過ぎると思う人もいるからな。」

 店主さんが言うには、砂糖の分量次第で甘さにむらが出来るらしい。俺のジャムは、イチゴと魔力で完成するので、無駄な甘さがないのだ。


「これは難しいわね。ビン一つでパン30個くらいかしら。1500エルいやビンの値段を考えれば、2000エルくらいかしら。」

 このビンでイチゴは100エル分くらいで出来る。ビンは300エルで買ったやつなので、利益率は高いだろう。


「ビンを同じ大きさを複数大量に注文して、値段を変えれば大丈夫ですかね。店や料理で使う様にすれば売れるでしょう。」

 村では500エルで売っていた。パン屋さんから注文が来ていたときは、パン屋に行って専用の入れ物に入れて売っていた。


「そうだな。1500エルならパン1個に50エルなら負担も少ないだろうな。それよりもキャンディ君は、宿で売るよりも店を持った方がいいぞ。」


 店か。店をするなら1人では無理だ。あと面倒くさい。けど人とのつながりは、嫌いじゃないからどうしようかな。


「今後のことは商業ギルドに登録してから考えるとして、この樽にオレンジジュースを出してくれ。」

 店主さんに言われ、樽にオレンジジュースを出していく。この樽で100杯くらいになるだろう。


 入れている間にグレイトボアのステーキを作ってくれていた。

「よしこれを食べたら商業ギルドに行ってみるか。」



 店主さんとおばちゃんにお礼を言って、商業ギルドに向かっていった。






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