襲われたレーナ 2
セルジョが店に入ってきた。
「いらっしゃい、セルジョ」
カルロと話すレーナに一瞥すると、フランカにお金を渡してオーダーした。
「アクアパッツァとビールを……」
「アクアパッツァ! ビール!」
適当な席につく。
フランカがテーブルまでビールとアクアパッツァを運ぶと、陰気な顔で座っているセルジョに話しかけた。
「いつも寡黙ね」
「………………」
「今日も見に来たんでしょ」
「え……」
目がオドオドする。
「この店にお目当てがいるのは分かっているわよ」
「え? いや……、そんなことは……」
セルジョは、困った顔で首を振る。声が果てしなく小さい。
「またまた! ペッピーノが目当てな癖に! 外にいるわよ。テラス席にする?」
的外れ過ぎて返す言葉もない。
「いや、ここでいい。ペッピーノには外で会っている……。ところで、レーナは誰と話していたんだい?」
「カルロって言うのよ。二人はラブラブなの」
「ラ、ラブラブ?」
セルジョが青ざめる。
「そ、全く、こんな狭いところで二人の世界を作ってさ、本当に迷惑よね」
フランカは本気で言っているわけではなく、半分冗談だった。
「もー、他人が入り込む余地なんてないわよ。だけど二人は気付いていないの。お互いに惹かれあっているのは丸わかりなのに」
「そうだったのか……」
セルジョが急に浴びるようにビールを飲みだした。
ドン! と空になったジョッキをテーブルに叩きつけるように置いたので、フランカは吃驚した。
「どうしたの? 急に。あ、もしかして、レー」
「ビールお替り!」
セルジョがかつてないほどの大声を張り上げた。
「あー、はいはい。まったく誰も彼もレーナ、レーナね。ボニファーチョ! ビール!」
フランカは、ボニファーチョに向かって叫んだ。
アクアパッツァを食べながら、セルジョは、レーナとカルロを見る。
(確かに二人はラブラブだが……)
セルジョは、レーナの表情に時折憂いが浮かび上がるのに気が付くと、それがとても気になった。
フランカは、(今夜はレーナをジッと見ていて、気持ちワル!)と思ったが、自分じゃなければそれ以上気に留めない。




