お忍び王子 11
数日後、公務のなかったカルロ王子もやってきて一緒にレーナを見守ることになった。
「カルロ王子がされることではありません。お城でお待ち下さい」
「いや、自分のわがままなのに、ランベルトだけに任せることはできない」
「そうですか。でも、きっと何も起きませんよ。無駄な時間を過ごすことになるでしょう」
「ランベルト。君はいつもそんな心持ちで任務についているのか?」
「いえ……。言い過ぎでした。申し訳ございません」
「待つ時間も大切な仕事だ」
「はい。その通りです」
言ってはならないことを口にしたと、ランベルトは反省した。
営業が終わったので、外でレーナを待つ。
フランカが出て行って、レーナが出てきた。
ペッピーノが尻尾を振って一緒に歩いていく。
「我々も行こう」
「はい」
二人も夜道をついていく。
ペッピーノがカルロ王子に気付いて駆け寄ってきた。
「ワンワン!」
「うわ、こっちに来られると、ばれてしまう」
「あっちへ行け」
「ハッハ!」
カルロ王子たちは困って手で追い払おうとするが、はしゃぐペッピーノは離れていかない。
「ペッピーノ!」
「ワン!」
レーナの呼び声でペッピーノは戻っていったが、またすぐに走ってやってきた。
「ハッハ!」
「シー」
「こらこら、こっちに来るな」
ペッピーノによって自分たちの存在を気付かれては困るので、必死にあっちへ行かせようとするが、まとわりついて効果はない。
「ペッピーノ!」
「ワン!」
呼ばれると戻っていくが、すぐにやってくる。
ペッピーノは、レーナと二人の間を行ったり来たりした。
「ハッハッ! ワンワン!」
「さっきから行ったり来たり。あっちに何かあるの?」
レーナは、ペッピーノが尻尾をフリフリしながら走っていくのをいぶかしんだが、行先を確かめなかったので知られずにすんだ。
「ハッハッ」
「また来た!」
「ワンワン!」
ペッピーノがカルロ王子の手をペロペロと嘗め回す。
「よしよし」
鼻筋を撫でていると、「キャー!」と、レーナの悲鳴が上がった。
ペッピーノがいなくなった隙を狙らわれて、レーナが襲われてしまう。




