第二話・茜音っち登場
「レイス、もうちぃっとだからよ、茜音連れてこい」
とっさに告げられたことに、驚きの表情を浮かべた。
「ぅえ!?あの新入り連れてくのかよ?!……あとは?」
セルリックは前方確認しながら会話を続ける。
「二人で行ってけ」
「ちぇー」
レイスは渋々了解し、セントラルプレイスから出て、下の階の茜音の部屋に向かった。
茜音とはつい先週ジャスティスに入ってきた新人である。新人の中の新人なので、連れて行くと聞いたレイスは驚いたし、荷が重かった。
だが、有能らしく、その茜音は札術が使えるらしい。
札術とは、特別な札に字を書き、その札を使って様々なことをする万能術である。だが、その代価は大きく、効果によっても消費量は変わるが、札を貼るだけでも相当の体力を消費する。効果が持続している間は、ダッシュ並みの消費らしい。常人なら十秒で終わりだろう。茜音は相当のタフなのだろう。
レイスは茜音の部屋の前に立ち、二、三回ノックした。
「茜音ー仕事ー」
「はーいー」
中から中世的な声が聞こえて、ガチャリと扉が開く。そこには黒髪黒瞳の地味な少年がいた。
「どーもー。茜音でーす」
「うっせーぞ。ほら、ボスっとこ行くぞ」
茜音を引きつれ、レイスは今来た道を戻り、セントラルプレイスを目指した。
茜音は、ラキ大陸の人間では無い。少なくとも、ラキ大陸にこういった地味な風貌をしている者は居ない。今現在のラキ大陸は、別大陸があるなんて、分からない。十年前ほどから、霧がラキ大陸を包み、外界との交流は遮断されてしまっているからだ。
だがこうして、一方的にやってくる人間はいる。こういった人間を、ラキ大陸は異国人族、と呼んでいる。茜音は異国人族という言葉が嫌いのようで、あまり良い顔をしない。
申し送れましたが、このPAST、CとMによる共同制作でございますっ。Cさんの文才が生ききってないんですが、どうぞよろしくお願いします。