毒がまわる
嗚呼、先生。
貴方は私より大切な人がいるのに私より汚い存在なのね。そんなところも大好きよ。
うふふふふ。
私たちは周りにバレないように、神秘のヴェールに隠れながら一緒にいる。かくれんぼみたいでしょ。楽しい。
「君が望めば僕は従うよ」
あの人はもう私のモノ。そう信じてた。
「ごめん、今日は無理だ」
そんな言葉いらない。私たちには必要ない。
嗚呼、私より大切な人がいるのね。
もし、私が毒を持っていなかったら貴方とずっと一緒にいられたのかしら。
そう考える日もあった。
だけど私たちにそんな『if』は存在しない。
私は貴方をあたしのものにしたい訳じゃない。貴方に愛されたい。ただそれだけ。高校生が先生に愛されたいなんて変かしら。
いいえ、変でもいいわ。周りから変って言われたとしても私にとっては普通だもの。
放課後の教室。頭に浮かぶひとつの疑問。いいわ、壁を壊してあげようじゃない?
「ねぇ、先生?私が今、大人だったら、貴方のそばにいられたの?」
「それはどういう意味だい?そろそろ帰った方がいいんじゃないか?親が心配するだろう?」
「あら、帰らせないでいるのは貴方でしょう?」
「僕は残れとは言っていないがね」
「そんなこといいの、はぐらかさないで。私が子供じゃなかったら貴方の一番そばにいられたの?」
流れる沈黙。凍りついたふたりの時間。『女子高生』という危険な『毒』は美しく華やかだけれど、危険。そんな『毒』がもたらす副作用。
「きみが大人だったら、僕に興味を持たないだろう?」
「そんなことないわ。私は貴方に本気よ。子供だからじゃない」
「いいや、君は僕自信に興味がないはずだ。そうだろう?」
「あら、お互い様じゃない。私一人だけじゃないでしょう、先生?」
「ははは、意地悪な性格だな」
「うふふ、そんなところも魅力的でしょう?」
いつだって先生は私を汚さない。純潔のまま日々を過ごす。重ねられるのは手と、唇。
この関係はなんていうのかしら。
でもまあ、いいわ。名前に縛られて生きていきたくないもの。




