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神様と友達な彼と最強くん  作者: 雨園 咲希
神様の命令はゼッタイ!
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その8

「はぁ……もう良いです」



 何故にため息!?



「ですが、赤の他人のために己を犠牲にすることだけは止めて下さいね」



 別に犠牲になってるつもりはないんだけど……


 でも……そうか。白狐なりに心配してくれてたのかもな。


 なるべく心配かけたくないのに。



「肝に銘じておくよ」



 優しく笑いかけてそう言った。



「それなら良いです」



 膝の上でごろごろしながら天使のような微笑みを浮かべる白狐。尻尾をふるふるして喜びを表現している。


 ちくしょう。雄のくせに可愛いんだからこいつはもう!



「あ、そういや」



 しばらく経ったあと、ずっと忘れていた疑問が頭に浮かび白狐に聞いてみた。



「嵐武様のとこに行かなくて良いのか?来客がいるんだろ?」



「ああ、御叶神様と嵐武様はなにやら深刻な面持ちで話をしていたため爽の部屋に逃げて来たんです」



「えっ?来客って御叶神様だったのか?」



「はい。そうですよ」



 仕事の話かな?


 いやでもあのひとの場合仕事以外の件で来ることの方が多いからなぁ。


 しかも飲酒。よりによって酒。


 最上の神が仕事ほっぽってのんべんだらりと酒飲むとか。仕事しろよ神様。



「襖の隙間からほんの少し声が漏れてましたが、話題は爽のことみたいでした」



「は?俺?なんで?」



「さあ?私も知りません。珍しくあのひとが真剣な顔をしていたので私がいては話の邪魔になってしまう可能性があるから部屋を出たんです。まあそれは建前でただ単に爽の部屋に来たかったというだけですが。面倒事は避けたいし」



 俺のことで真剣な話ってなんだ?学園のことか?他に思いつかん。



 ていうか白狐!サラッと本音出てる!


 最後ものすごく小さい声だったけど聞こえちゃったよ!



「今回の学園入学の件だろ?」



「違う気がします。そんな雰囲気ではありませんでした」



「それ以外?俺、話題になるようなことしたっけか?」



 考える素振りをするも皆目見当がつかない。



 だが膝の上でくつろいでいた白狐が急に人型になり、目の前で正座する。


 なんだろうと思いつつ話を振られるのを待った。



「爽がこれから神界で暮らすのか、人間界で暮らすのか……という話題なのかもしれません」



「…………え……?」



 いつになく真剣な瞳で語る白狐を目を見開いて凝視してしまった。



「これは爽は知らないでしょうから今言います。人間界では、高校生の年齢で自律する者がそれなりにいるんです。特に高校入学を機に独り立ちする者は多々います。御叶神様は、キッカケは何であれ、爽を自律させようと学園生活を強いたのでは……と。あくまで臆測ですが」



 それは考えてなかったな。


 俺、神界から追い出されるのか?


 いやいや、まだそうとは決まってないし大丈夫だって。ていうか白狐もなんでそんなシャレになんないこと言うかなぁ?



「………」



「………」



 沈黙が重いです。


 白狐さん、まさか本気でそんなことを……?



「……あ、御叶神様がお帰りになるみたいですね。少し行ってきます。すぐ戻りますから」



 そう言い残して部屋を出ていった。



 え、何この状況。さっきの発言無しにするとかはないわけ?


 めっちゃ気になるんだけど!


 少しぐらい「冗談ですよ」とか優しく微笑んで言ってくれないとマジ不安なんだけど!


 ねぇ白狐!?本当に臆測の域を出てないんだよね?早く戻って来てくれない?この不安を拭いたいから。



 とか思ったら本当に数分で来やがった。



 皆さんわかります?白狐のやつめっちゃ涼しげな顔で「ふふ……ああでもしなきゃ仕事に集中しませんからね」とか抜かしやがったよ。その悪魔オーラ全開のくせに満面の笑みの顔で何やらかした。


 まあ大方嵐武様に仕事きちんとやれって釘刺しただけだろうけど、白狐なら嵐武様がサボらないように部屋のあちこちに何か仕掛けてそうだ。まさに今。


 この笑顔がコエェ。



「引き続き撫で撫でして下さい♪」



 そんな俺の心中を察することなく狐の姿になり膝の上でごろんとなる白狐。


 よっしゃあ再びもふもふタイムだぜ。



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