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神様と友達な彼と最強くん  作者: 雨園 咲希
妖怪討伐 IN 白帝学園
73/230

その73





「ったく、世話焼かせんなよな」



「こっちの台詞です」



「だから、ケンカは駄目だって……」



「ケンカはしてねぇ」

「ケンカはしてないです」



 ケンカするほど仲が良いって言うけどこの二人は当てはまるのかな。



 嵐武様の自室で色々と話し合った結果、呼び方は今まで通り嵐武様と白狐で決まった。


 どちらかをお父さんと呼んだら、呼ばれなかった方がいたたまれない気持ちになるから、だそうで。


 嵐武様はめっちゃ拒否ってたけどな。暗黙の了解で白狐が黙らせたわ。



 嵐武様の鼻血もおさまり、白狐が再び当初の目的を遂行した。



「では嵐武様。気をとりなおして仕事しましょうね」



「うっ………やっぱり行かねーと駄目か?」



「神ともあろう者が何言ってるんですか。やるべきことはきちんとやりましょう」



 最早日常となってる仕事から逃げようとする嵐武様を白狐が首根っこ引っ付かんで仕事部屋に連行する光景。



 前はそれを眺めるだけだった俺だけど、ちょっと言ってみても良いかな。



「あのさ!」



 二人は珍しく仕事に行くのを阻む俺に視線を移した。



「なんですか、爽」



「おお!助けてくれるのか!」



「いや、ちがくて………あのさ、嵐武様の仕事、手伝いたいんだけど……駄目かな?」



 ふたりしてキョトン顔。



「それはちょっと………」



「おー、良いぞ。つか頼む。俺一人じゃ明日までに終わらねぇ」



 しばらくして白狐が否定の意を表しそうになったそのときに嵐武様が覆い被さるように言葉を紡いだ。



 白狐は嵐武様を一瞥して小さなため息をつくと、



「私と一緒に、簡単に済ませれる仕事をしましょうか」



 にっこり微笑んで了承してくれた。



 その後、書類がたんまり積み上がってる嵐武様の仕事部屋とは別の部屋で作業をしていた。



「えーと、これはここでこれはこっちに分けて……」



「飲み込みが早くて助かります」



 こっちもほどほどに紙が積み上がっていて、それらは全部人間界にある嵐武様の社に備える護符。それを使い分けできるように仕分けていた。


 護符にも種類があって、ごちゃ混ぜにするのは良くないらしい。片っ端から作って後で分ける、という作業を毎日やってるんだとか。知らんかった。


 でも護符を分けるという作業は人間にとってはちょっと堪えるな。南雲から教わってた護符はすぐに分かるけど、難しい紋様が描かれた護符は白狐に聞かないと分からない。


 でももう平気!だいぶ板についてきた。どの護符がどんな効力があってどこに仕分けるかもうバッチリ頭で理解したぞ!なーんか白狐が複雑そうに眉を寄せてたけど見ないフリ。



「霊能科の人間に教わったのですか?」



「え?」



「……簡単な護符は説明しなくても理解していたようなので」



「あー……教わったよ。友達に」



 またなんかネチネチ言われるかなーって思ったけど意外にも「そうでしたか」って頷くだけだった。


 しかしその会話のあとはひたすら黙って作業していた。会話がないってなんて寂しいの。作業はまだまだ終わりそうにないからなんか話題ないかなー。



 そこでふと思い出した。



「ねぇ白狐。赤ん坊の俺ってどこの森に捨てられてたの?」



「いきなりですね。急にどうしたんです?」



「いんや、ふと気になっただけ。言いたくないなら別に構わないけど」



「……学園の敷地と隣接した森ですよ。当時は妖怪も多く、森は荒れまくってました。そんな中、赤ん坊の爽が襲われそうだったのを嵐武様が助けたんです」



 懐かしむように微笑んでぽつりぽつりと思い出を口にする白狐。それを右から左に聞き流しながらぼんやり思う。



 なんでそんなところに捨てられたのかな。



 だって不自然じゃん。児童施設に預けるとかいくらでも手放す手段はあったのに、なんでわざわざ妖怪がうじゃうじゃいる森の中に捨てたのさ。



 なーんか、引っかかることが多いなぁ。



 俺が捨てられたことも、あの妖怪夫婦のことも、俺が結界をすり抜けたことも、


 ……白狐が霊能科の人間と関わるなって言ったことも。



「今日は本当にどうしました?作業中にボーッとするなんてらしくないですよ」



「…………んぁ、ごめん」



 どうやら考え事をしてるとボーッとするらしい。だがこの年頃の男子は好奇心旺盛だからな。考えるのを止める気にはならなかった。



 神様関係は秘密がつきものだし仕方ないって思うけど、明らかにこれは自分のこと。



「なぁ白狐。なんで俺、霊能科のやつと仲良くしちゃ駄目なの?」



 気がつけば問いかけていた。



「白狐さ、前に聞いたとき上手くかわしたよね。それは俺が聞いちゃいけないことなの?」



 白狐は黙ったまま淡々と作業をしてる。顔色は変わらず、ただ黙々と符を分けている。


 ここで逃げたらもう二度と聞けない気がして、白狐へ向ける強い眼差しはそのままだ。


 けどいつまで経っても答えは得られず、それどころか白狐の分担の仕分け作業が終わって嵐武様の部屋に行こうとするので呼び止めた。



「白狐!俺の質問に応えてよ」



 呼び止めたらぴたりと歩を止め、俺の方を向いた。



「…………私と嵐武様が過保護なだけです。霊能科の人間と関わることで爽に危険が迫るなら、と……」



 暗く、重い表情で口にしたその言葉は、きっと偽りの言葉。


 なんでか、そう直感した。



「護符の種類はもうだいたい分かるでしょう。嵐武様に届ければ仕事は終わります。私は先に夕飯の仕度をしますから爽も自分のペースで………」



「俺が人間じゃないから?」





 あれ…………?



 今、何を口走った?





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