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神様と友達な彼と最強くん  作者: 雨園 咲希
妖怪討伐 IN 白帝学園
65/230

その65

 上空から舞い降りた和装の男。



 金色の髪が陽の光に反射して白く見えるその男の頭には、同じ色をした獣耳が生えていた。



「人間にしては強い結界を張りましたね。感心しました。ですが、相手が悪かったです」



 僕達の前にひらりと降りた金色の獣耳の男は涼しげにそう言い放った。


 放たれる妖気は上級妖怪のそれとは別モノだ。神に近いが、肌で感じとる妖気は間違いなく妖怪のものだった。



「まったく、神々の戦が終わってからどれだけ時間が経過したと思ってるんですか、あのアホ神様……いくらなんでも人間界に馴染んでるでしょうに。まあ爽に会えるならなんでも良いですが」



 ぶつぶつと呟きながらこちらに歩いて来る狐の妖怪らしきもの。呟きの内容までは聞き取れなかった。


 僕の結界をいとも簡単に破壊した、ただ者ではない妖怪が、学園に何の用だ?



「まさかお空から降ってくるなんて思わなかったな……」



「結界を破ってまでしなきゃいけないことがあるのでしょうか」



「俺が知るか。今は討伐することだけ考えろ」



「討伐まではできなくても、遠くに退けれれば良いんですよ」



 こんな強い妖気を放つ妖怪を討伐できるとは思えない。せいぜい学園から追い出せればそれで良い。


 柳の懐から、没収されていた雷系の護符を取り戻したため多少は対抗できる。隣の教師はアテにならんが、なんとかなるか。


 護符を構え、いつ襲われても対抗できるようにしておく。


 だが狐妖怪は護符を見たとたんにすっと目を細めた。



「あなた方につき合っていられるほど暇じゃないんですよ。私は別にこの学園に危害を加えようってわけじゃないんですから、そこを退いて下さい」



 学園に危害を加えなければ良いって問題ではないのだが。


 心底めんどくさいとでも言いたげな表情でこちらを睨み付ける。だが教師も僕も妖怪相手に退けと言われて退くわけがない。


 この妖怪を、これ以上学園内部に行かせてはならない。



(ばく)っ!」



 狐妖怪を足止めしようとしたのだろう。教師が簡単な捕縛術を発動した。教師の足元から蔓のように伸びたそれは真っ直ぐ狐妖怪へと向かっていった。



 狐妖怪は顔を歪ませ、ため息を吐く。



「はぁ………ですから、」



 目の前まで伸びたそれを、カッと見開いた眼力のみで掻き消した。



「私も暇じゃないんですって、何度言えばあなた方人間のクソみたいに単純思考な脳ミソは理解するんです?」



 イラつきを隠しもしないで、鋭い眼差しを送られて気圧されてしまう。



 妖怪なんかに気圧されるなんて、本来ならあってはならないこと。


 気圧された者が劣勢になり、それが霊能力に左右される。つまり、戦いに負ける可能性が高くなってしまうということ。


 陰陽師にとって敗北は許されない。故に、気圧されてしまってもここを通すわけにはいかない。


 学園に手をだすつもりがなくとも、なにかしらの目的があって降り立ったのなら通さない。



「ああ、もうこんな時間ですか。早くしないと嵐武様に叱られてしまいます」



 腕時計を見て顔をしかめる狐妖怪。



 ………らんぶさま?どこかで聞いたような………



 ほんの少し考え事をして油断したせいか、狐妖怪がこちらに手を翳したのに気がつくのに数瞬遅れた。



「あまり手荒なマネはしたくありませんが、あなた方陰陽師は言葉で言って聞いてくれるような人達ではないですからね。そこで少しおとなしくしててください」



「………!」



 僕と教師を取り囲む、赤黒い炎。


 竜巻のようにゴウゴウと音を立てて僕達の周りを覆う。



「清水にて魔を取り払え!水業放(すいぎょうほう)!」



 比較的簡単な清水を操るだけの術をかなり霊能力を込めて放ったのだが、炎の壁は水を水蒸気に変換させるだけであとはなにも起こらなかった。


 炎の壁の外で強大な力が遠ざかっていくのを肌で感じ、歯噛みするしかできなかった僕は初めて自分が弱いんだと気づかされた。



 妖怪夫婦の女と対峙したときはこんな感覚はなかったのに。



 どうしようもなく、自分が弱い存在なんだと痛感した。




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