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神様と友達な彼と最強くん  作者: 雨園 咲希
妖怪討伐 IN 白帝学園
61/230

その61

 授業が終わりいつも通り待ち合わせ場所で南雲と落ち合い、いつもの結界内に入ろうとする南雲からきちんと雷系の符を全部取り上げた。



「本当に雷以外の術しか使わせない気か……」



「有言実行しなくちゃね」



「最悪だ。柳が鬼だ」



「つべこべ言わずに早く依頼をこなそうね」



「オーラが黒いぞ」



 もう、南雲ったら。誰のオーラが黒いって?



 にこにこ笑顔は崩さずに早く依頼こなせという意を示し、南雲は文句を言いながらも結界内に入った。そして俺はまだ妖怪が結界内に入ってないことを確認しつつ近くまで行く。



「じゃあ今回は南雲が苦手な術メインに使おうか。南雲の苦手とする術は風を併用する術だよな」



「なんで僕の苦手なところが分かるんだ?雷系が得意だとは言ったが何が苦手かは言ってないよな?」



「術を使ってるときの南雲の霊力の流れを見れば簡単に分かることだよ」



 南雲の場合、細かい動作や力を必要としない一撃必殺な術、つまりは雷系の術を使う。


 南雲の力の流れは荒々しくも芯がブレてないため暴走はしない。だから安定感のある威力抜群な術が完成するんだ。まあたまに暴走するんじゃないかってハラハラさせられるときはあるけどね。


 だけどそんな力の流ればっかり。そればっかりってのは良くないんだ。細かい力の動作も少しずつ覚えなきゃね。



 そして次に風を併用する術の説明だけど、これは雷系の術と全く逆の力の流れじゃないと発動は難しい。


 細かい力の動作ばかりであちこちに気を配って発動させる、神経を使う術なんだよね。多少の荒っぽさだったら発動可能なんだけど、荒々しすぎても発動しない厄介な術だ。


 だから南雲の普段の力の流れじゃ細かい力の動作ばかりな風系の術はちょっと難しい部類かなってことで推測してたんだけどビンゴだった。



 あと余談だけど、風を司る神様は神経質なひとが多い。嵐武様もそのひとり。


 あの超絶めんどくさがりな酒好き白髪のオッサンに神経質な部分なんてあったのかよって思った?実はあるんだこれが。



 …………とか説明してる間に南雲はすでに妖怪さんとこんにちはしてた。なので俺は素早く結界から離れる。




 南雲と対峙しているのはウサギの耳が垂れ下がってるように見える焦げ茶色の身体の妖怪。



 目がクリクリしててとても愛らしいのだが、図体がでかいため愛くるしさは全く湧かないのである。



 どれだけでかいかって言うと、例えるならゾウくらいかな?少なくとも小動物の類には見えない。



 そしてこのゾウ並みにでかい垂れ耳妖怪、移動するときの素早さは皆無なくせに力がすごい。



「理に反する刃をつくれ!風竜斬(ふうりゅうざん)!」



 符を片手に術を唱える南雲。だが一瞬で構成できた雷の術とはうってかわって数秒の間があった。



「南雲、もっと細かい部分意識して!それじゃあいくら鈍足な妖怪でも反撃の隙を与えるっ!」



「だから何度も言ってるだろう!頭では理解できても身体では分からないんだ!」



 その瞬間、風がぐるぐる回転しながら弧を描き、垂れ耳妖怪に一直線で突進していった。南雲の術だ。すんごい荒くてハラハラするわ。大丈夫かな、暴走とかしないかな。



 俺の心配をよそに段々安定感のある竜巻に変わっていく。良かった、バランス悪いのは最初だけみたいだ。



 抵抗しようとしたのか、ゆるやかに垂れ耳を靡かせて後ろに跳んでいた。桃色の瞳に怯えの色が見えた。




 ゴアアアアアッッ!!!




 竜巻は後ろに跳んでいった垂れ耳妖怪を追いかけて吸い込まれるように垂れ耳妖怪をのみ込んだ。



 後ろに跳んでも意味ないのになぁ。あの妖怪バカなんかな。きっとそうだ。おバカさんなんだ。



「やけにアッサリ終わったな。中級妖怪だから油断しないようにしてたのに」



 あらまあ南雲もびっくり。



「頭悪い妖怪だもん。こんなこともあるよ」



「ふむ、確かにそうだな。それで柳、今のは何点だった?」



 さっきの術、風竜斬のことだな。まあ、威力だけなら雷の術の次にすごいと思うけど………



「んー……30点」



 今度こそやってやったぜ!的なキラッキラした瞳は一変し、しゅんと子犬が落ち込むような構図に。これがいつものアドバイスを聞く体勢なので俺は構わずズバッと言った。



「術発動に8秒はかかりすぎ。狙って下さいって言ってるようなもんだ。次からは要注意な。あと、威力が良いのは感心したけど周りに被害が及ぶ可能性が高い。そこも工夫するようにな。あれで暴発しないのが不思議だわー」



 妖怪が結界内に移動してこないか警戒して南雲のところへ歩きながら説明していく。まあ予想通り不機嫌モード突入の南雲がそこにいました。アドバイスした直後は不機嫌になるか自虐するかのどっちかなんだよなぁ。ワンパターンに決めろよややこしいな。



「今まで暴発したことは一度だってない」



 ぶすくれてそんなことを言う始末。子供か!



「今は暴発してなくても、次に術発動したときに暴発しないとも限らないだろうが!もう、なんで暴発してない=無問題って結果に結びつくんだよっ」



「だって実際暴発してないし。そんな雰囲気もないし。ほら大丈夫だ」



「何がほら大丈夫、なんだよ!少しは危機感持てよ!」



「さあ次の妖怪はイツクルカナー」



「あからさまに無視すんなぁぁぁ!!」



 目が明後日の方向を向いてる。めっちゃ棒読み。この野郎。今日だけでなくこの先ずっと雷系の術禁止にすっぞ。



「だがひとつだけ言わせてほしい」



「何を!?」



 ツッコミの興奮がいまだ収まらない俺は腕をくんで声を張り上げてしまった。


 南雲は何故か俺の全身をじぃぃっと見つめ、片方の眉だけ下げたよく分からない何とも言えなそうな表情をした。



「僕からすれば、平然と結界内外を行き来できる柳のほうが不思議なんだがな」



 あ、本当だ。いつの間にか南雲の結界の中に入っちゃったみたいだ。全然全く違和感がなかった。確かに不思議だわ。



「あー………本当不思議だよね。全く違和感なく結界に入るとか、いつも首傾げてるよ」



 おおう、笑顔がひきつるぜ。南雲も同じく。



「いつ見ても慣れない光景だな。術発動者の僕以外の人間が何の障害もなく何の違和感もなく結界内に入ってくるというのは」



「見慣れてもおかしいから!」



「結界内に入れる原因、本当に分からないのか?何かきっかけがあったとか」



「うーん……原因って言えるほどのことはなかったような……」



 しばらく経っても妖怪が来る気配がないため、二人して地べたに座って只今雑談中。



「遺伝によるものなのか、特異体質だからか、過去の物理的・精神的障害により発芽した未知なる才能なのか、分かる術があれば良いのだが……」



「なんでそんなに俺の結界行き来可能事件に食いつくんだよ!」



「事件て。てかネーミングセンス……」



「しょ、しょうがないだろ!他にどう言えってんだよ!」



「まあそれは置いとこう。僕はただ追求したいだけだ。妖怪やこの世の理に反する不思議という名の謎は大好物でね」



 なんとも怪しい笑みを浮かべる南雲さん。夕方の陽に照らされて形作る影のせいで余計に怪しい、妖艶と言っても良いくらいの怪しい笑み。こえぇよ。



「そうだ。遺伝といえば、両親が特異体質だったりしないのか?」



「あれ?言ってなかったっけ?両親いないってこと」



 なに食わぬ顔でサラッと言うと、数秒の間があった後申し訳なさそうな顔をする南雲がそこにいた。



「……すまない。不躾な質問だったな」



「いんや、構わないよ。俺あんまり実の両親に関心ないし。冷めてるよなー」



 嵐武様から、俺は森の中に捨てられたんだって聞かされたけど、ふぅんそうなんだーってくらいにしか思わなかったもんなあ。我ながら冷めてると思う。


 血の繋がりのある実の両親に対して、なんの感慨もないんだから。



「そんなことはないだろう。両親がいる家庭でも、親をなんとも思ってない最低な奴もこの世にはいるらしいからな。そういう犯罪もあると聞く」



「あー、昔新聞で見たことある。酷い親もいれば酷い子供もいるんだねー」



 今俺どんな顔してるかな。


 適当に相槌うってるけど、頭の中ではちょっと考えちゃってる。



 ………実の両親に対しては会いたいとか愛しいとか、そういうのなんとも思ってないのに、嵐武様や白狐に対してはそういう気持ちが常にあるのは、やっぱり過ごしてきた時間の違いかな。




「………っと、柳はそろそろ出たほうが良い。暗くなりはじめてる。妖怪が活発に動く時間帯になってきてるから気をつけないとな」



 話がそれたうえに俺が適当に返事したのを察したのかそうでないのか、話を切り上げて結界から出そうとする南雲。まあ力のない奴が結界内にいても邪魔なだけだしね。


 南雲が妖怪討伐しやすいようにさっさと結界から出ようと立ち上がったそのとき、結界内の空気が震えた。



「…………まじか」



「ちっ、タイミングの悪い……」



 結界内に突如現れた大柄な妖怪。しかもひとりではなく複数いる。姿形だけで言えば少し前に討伐した皮膚が紫色の1つ目妖怪に似ているのだが、明らかに違うところがある。


 皮膚が海の色をしているリーダー格っぽい1つ目妖怪が俺達をじろりと睨みつけた。そしてゆっくり口を開く。



「まさか、本当に人間のガキがあの変な結界をつくってたなんてな」



 紫色の妖怪は喋ることはなかった。ギリギリ中級の妖怪だけど、人間の言葉を理解し、言語として使うに至らなかった弱小妖怪同然な奴だった。


 けど海の色のこいつは人間の言葉を話している。


 中級、または上級一歩手前くらいのそれなりに強い妖怪という証。



「お前らか?俺の子分を消し炭にしたって奴は」



 そしてなんだかご乱心のご様子。やべー。早く結界から出ないとガチでやべー状況だぞこれは。



「ねぇ南雲、子分って言ってるよ。多分あのときの紫1つ目妖怪だよね……」



「ああ、多分な。大方、子分の仇討ちしに結界に入ったってとこか。全く面倒な……」



 こめかみを押さえて忌々しそうに妖怪達を睨む南雲。



「柳。奴らを引き付けておくから素早く結界の外に逃げろ」



 そう言って符を構える。



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