表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様と友達な彼と最強くん  作者: 雨園 咲希
妖怪討伐 IN 白帝学園
56/230

その56

 時は流れ逢魔が時。



 夕刻の印である暁色の空が薄く紫がかってきた頃、俺達は一匹の妖怪と対峙していた。



「光彩を放つ刃となりて!空雷波!(クウライハ)」



 南雲の符を持つ手から光が溢れだし、それがいくつもの刃を形作り一つの個体に向かっていく。



「ぶるぅぁぁぁっっ!!」



 顔の真ん中の一つ目をギョロっとさせ、足元まで長く伸びた両腕を振り回す。それだけで南雲の放った光の刃は凪ぎ払われた。


 凪ぎ払われた光の刃は四方八方に飛び散り、その先では極々小さな爆発が起こっていた。それはすなわち霊力の籠めすぎを意味する現象。



「だから南雲、力籠めすぎだって!微力な霊力で最大限の術の能力を引き出せって言ってるじゃん!」



 結界の外で指示を出す俺を一瞥しながら一つ目妖怪の単調な攻撃を難なく避ける南雲。



「頭では理解している!未だに身体が慣れないんだ!」



 繰り出される拳の連撃をいなし、後ろに飛び退いて再び符を持つ手を前に突き出す。



「邪を清める閃光よ、その身を貫き無へと帰せ!」



 懐から取り出した聖水を符にまんべんなく濡らした。



邪光縛(ジャコウバク)!!」



 聖水で濡らされた符が形を変え、目にも留まらぬ速さで一つ目妖怪に伸びてゆく。


 一つ目妖怪は腕で受け止めようと試みるが間に合わず、その身体を眩い閃光が貫いた。



「……ふう、終わったか」



 四散していく一つ目妖怪を遠目に見ながら一息つく南雲に近づき、言いたいことを吐き出した。



「毎回毎回力使いすぎ!今日も本当ならあと七件は依頼できたはずなのに、もうへばってんじゃん!」



「もうこのやり方が板についてしまってるんだからしょうがないだろう。というか、あと何件できるとかも分かるのか?」



「そのときの南雲の体調と力の流れ、あと体力的なことも一目見ればだいたいはね」



「……すごいな。よくそこまで見れるな」



 授業が終わって逢魔が時になったら霊能科の横に設置されてる時計台に集合し、南雲が仕事用に張り巡らしている結界のすぐ外で俺が指示を出して、南雲が妖怪と戦う。



 これが日課になってきつつある今日この頃である。



「まあ特訓し始めてまだ2週間くらいしか経ってないんだし、すぐには無理か」



「そうだな。だが、まだ2週間、じゃない。もう2週間、だ。そろそろ多少の成果があっても良いと思うんだがな……」



「まあまあ。これからだって!」



 しゃがみこんでため息を吐く南雲を慰めていたらふと思い出した。


 確か俺が学園に来た当初、結界はすぐにマスターしたって言ってたな。



 それが攻撃系の符を使うとなったとたんに霊力で威力が凄くなっただけで、細かい力の流れがなってなかったりするんだもんなあ。あれで暴発してないのが不思議なほどだ。


 ひょっとしたら南雲は結界は問題なくできるのに符を使う術は威力だけのからっきしなものになっちゃう、神様にも陰陽師にもありがちなタイプなのかも。猪突猛進型なひとの典型的パターンがまさにそれだ。



 あ、読者の皆さんには分かりづらいかな。ちゃんと説明します。



 猪突猛進型タイプはだいたいが力押しなため細かい動作がてんで駄目なんだけど、結界系の術はよほど特殊なものじゃない限り、籠める力の量だけで強度が左右される。


 結界の術の方が難易度が高く、複雑に構成されてるって思われがちなんだけど実は逆なんだよね。



「暴発しないだけマシだって!一応依頼は達成したんだし、そんな凹むなよ!」



 いまだ落ち込みモードの南雲。ずるずる引きずる男はモテないぞー。なんちゃって。



 今回の依頼は、立ち入り禁止区域のD地区に侵入したB地区の妖怪を退治するというもの。妖怪を通さないようにする感知器兼守護結界が誤作動を起こして反応しなかったのが原因らしい。



「ほら、まだ依頼があるんだから気ぃ引き締めなきゃ!」



「うむ、そうだな」



 俺の一言にパッと表情を変え、依頼を完遂させるときと同じ真剣な顔になる。切り替えはえぇなオイ。



「あと何件討伐なの?」



「三件だ。そのあと、いつも通り柳の部屋に行く」



 正しくは柳の部屋に不法侵入する、だけどね。


 もう鍵の必要性もないんじゃね?みたいに思っちゃう。それはもう素晴らしいくらいにピッキングという名のこじ開け方法を駆使してくれちゃうんだ。鍵の意味ってなんだろね。


 でも二人で依頼をこなす日々になってからはたまにしか見かけない。二人一緒に帰るんだから当たり前だけどね。



「さて、じゃあ残りの討伐対象妖怪も狩りますか」



 チラリと横目で結界の端を見る。


 こうして会話をしてるまっただ中にも妖怪は続々と森にある結界から転移してきてる。中には討伐対象外妖怪もちらほらいるが、南雲はいとも簡単に倒しそうだ。



「力加減を考えろよ、南雲。暴発するようなヘマはしないと思うけど、それでもまだ一つ一つの術に力が籠りすぎだからな」



「……努力はする」



 俺だけは結界内から出てもといた場所に戻る。万が一先生に見つかるとマズイため近くの茂みに身を隠す形で南雲を見守っていた。



「まったく、いつ見ても有象無象にしか見えんな、この光景は」



 符を構えて舌打ちする南雲に苦笑いしてしまう。


 確かに、妖怪が続々出現する現象は有象無象にしか見えない。激しく同意だ。


 妖怪が出現する主な原因は人間の負の感情と汚れた魂だと神様達が渋い顔して言ってたのを思い出す。


 もし本当に妖怪が出現するのが人間が原因なら、その連鎖は絶ちきれないのだろう。



「光彩を放つ刃となりて!空雷波!」



 再び光の刃が妖怪達を襲う。喋ることもできなくてただ呻くだけの下級の妖怪はあっけなく脆く崩れ去った。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ