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神様と友達な彼と最強くん  作者: 雨園 咲希
テストが終わっていつの間にやら
55/230

その55

 両者の会話に耳をすませる。



「あら、普通科の皆さんこんにちは。今日も鍛練かしら?」



「こんにちは。ええ、そうですよ」



「力のない者は大変ねぇ。毎日鍛練なんかに時間を費やさないと力を得ることができないんだもの」



 訳:力のない役立たずの足掻く姿は滑稽ねぇ。



「そうですね、木野さん達のような代々その力を受け継がれる立派な家の出ではないので、日々の鍛練がものを言うんです」



 訳:親の七光りが偉そうに言うなよ。人の努力を踏みにじんな。



「あらあらごめんなさい。私、力を身につけるための基礎中の基礎の鍛練はしたことないから理解に苦しむわ」



 訳:基礎に努力が必要とかどれだけ低レベルなのよ。笑っちゃうわ。



「そうでしょうね、あなたみたいな陰陽師の血統の家に生まれた人には一生無縁な言葉ですよね。良いですねぇ元から力のある人は。生んでくれた親に感謝しなきゃ」



 訳:黙れ努力知らずの親の七光り。



「そうね。でもそれも総じて私の実力、ということだもの。嫉妬されないか心配だわ」



 訳:七光りで結構。負け犬の遠吠えもほどほどにしなさいよ。




 なんか、丁寧な言葉遣いの裏に刺々しい本音が入り交じってる気がするのは気のせいかな。



「な?オブラートに包んだ悪口のオンパレードだろ?」



 気のせいじゃなかった。



「俺ああゆう女同士のドロドロシーン好きなんだよね」



 まさかのカミングアウト!



「ええぇっ!?あんな醜い争いが好きとか頭おかしいんじゃね!?女の子達が争ってるの見てらんないじゃん!」



「だから良いんじゃん。無理に着飾って可愛く見せてるぶりっ子よりありのままの醜い姿をさらけ出してる女の方が可愛く思えるね」



「ちょ、おま、醜いはないだろ醜いは……」



 女子全員を敵にしかねない発言をぶちまかしたぞコイツ。



「まーとにかくあんなん日常だから気にすんな」



 結論。



 霊能科と普通科の生徒は判りにくいケンカを繰り広げてましたとさ。




 ほぼ同時に食べ終わった俺らはトレーを返しに行く。と、その途中。



「轟木も食べ終わったなら一緒に行こうよ」



 空になった容器をトレーに置いたのを見計らって轟木に声をかけた。



「…………」



 ガタ…



 やっぱり轟木は返事もせず、こっちを見もせずに席を立ってトレーを返しに行った。



「毎日毎日よーやるねー。無駄じゃない?何言っても無反応だし」



「本人目の前にいるのにんなこと言うなよ!無駄じゃない、絶対!」



「何を根拠に言うんだか……つか、そもそもなんでお前が轟木に構うのかが理解できないんだけど」



「へ?」



 轟木の後に続くように俺と高築も歩き出す。その問いかけにも近い言葉に、胸の奥がチリッと焼きついた。



「それって単なる善意?それとも偽善?……まさか、恋情とかじゃないよな?なんで何をしても微動だにしないやつに気ぃ遣うの?」



「そ、それは……」



 勿論善意だよ、と答えようとしたときに言い淀んでしまった。


 他に理由があるわけでもないのに、何故だろう?



「いやまあ善意なのは確かだけどでもなんか違う気がするっていうか、いや違わないと思うけど……無視されるのも悪くないって僅かながら思うのも事実で……って今のナシ!!」



「あー、うん、なんとなく分かった。分かったから俺の近くに寄るな。同類と思われる」



「いや待って!違うから!今のは言葉のあやっていうか、だからそんな避けないで!!」



 すかさず距離を開かれる。


 こうして誤解が生まれるのか……



「やぁなぁぎぃぃぃっ!!」



 距離を開かれ一人になったところを襲撃された。



「南雲!!また腰にヘッドスライディングかましやがって!!いてぇよ馬鹿!!そして食器を持ってるってこと忘れずに!」



 危うく落としそうになったじゃんか!無事だったから良いけど!またおじいちゃん現象が起こっちゃったじゃないの!!てゆーかなんで南雲がここに?………ああ、そういや今日はちゃんと授業に出たんだっけか。



「腰へのダメージは結構痛いか。じゃあ今度は頭に向かって突進していったらどうなるかな……」



「お星さまが舞うんじゃないかな」



 もう、南雲ったら。眉間にシワが寄ってピクピクしてるよ俺。すんごいひきつった笑みを浮かべてるよ多分。



「と、そんなことより」



 南雲の目線が俺の手に持つトレーに向く。



「やっぱりもう食べ終わったか」



「何?一緒に食べたかったとか?だったらもっと早く来れば良かったのに」



 今から教室に向かったらちょうど良い時間になる。なのにこんなに遅く来るなんてなぁ。なんかあったとか?



「雑用を頼まれただけだ。今までサボってた分だとほざいていた。あの教師、僕が学内で劣勢になったとたんに調子に乗りやがって」



 トレーを食堂のおばちゃんに返してる横で渋い顔で舌打ちしてる南雲。だが数秒後、話題転換とでも言うようにぱっと表情を変え、その瞳は爛々と輝いていた。



「……っと、こんなことを言うために全力疾走したんじゃないんだ」



「全力疾走したんかい!」



 え、息切れしてないから全く気づかなかった。前全力疾走したときこんなんじゃなかったのに……まあいいか。



 南雲は周りを気にしながら人に聞かれないように小声で話した。



「今夜は何を教えてくれるんだ?」



 あー、なるほどね。そっちが本題か。



「今日も南雲が苦手な術の欠点と解決法を教えるから、場所取りお願い」



「昨日と同じ場所で問題ない。心配するな」



 おばちゃんに一言挨拶し、食堂の外に出る。普通科と霊能科の校舎は逆方向にあるため、食堂の近くで立ち止まって話を進めていた。



 テスト期間が終わってから俺と南雲は授業が終わり次第協力して依頼消化をするようになった。


 厳密に言うと、俺が南雲にあれこれ指示を出して南雲だけが妖怪と対峙するのだが。



 そして依頼を遂行してるときに使っている術の欠点を伝え、それを直すための解決法も伝えるのだ。


 霊能科の妖怪討伐系の依頼に普通科の生徒を連れていくのは校則違反だけど、学園内に留まってるうえに妖怪討伐にはギリギリ関わらず指示を出しているだけだから校則違反にはならない。



 先生に言ったら教師どもがうるさく言ってきて面倒くさいだろうからこのことは内密に、とは南雲の言葉だ。



「じゃあまた夜にな」



「ああ、楽しみにしているぞ柳」



 夜の約束を交わして普通科と霊能科に別れた。




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