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神様と友達な彼と最強くん  作者: 雨園 咲希
テストが終わっていつの間にやら
54/230

その54

「ついに来たな!中等では習わなかったけど、ついに授業に出るときがきた!」



「わぁ、楽しみだねー!」



「どんな力を使えるか、どんな武器を使えるかが分かるんだよね?」



 皆して盛り上がらないでー!本気で俺部外者になってるぅー!小声で轟木に聞いてもやっぱり無反応が返ってきてそれも寂しいですー!



「あらー?上級生に聞いたの?……もう、中等部の子達には言わないでってあれだけ念を押して言ったのに……まあ今更ね。仕方ないわ」



 ふう、と小さなため息をもらす納賀先生。



「知ってる子がほとんどみたいだけど、誤解も含まれてるからちゃんと説明するわねー!」



 こほん、と咳払いした先生はチョークを取り出し、黒板に何かを書きながら説明をしていく。せ……先生ぇーっ!ありがとおぉ!!



「まず始めに、さっき誰かが言ったような“どんな力を使えるか”、“どんな武器を使えるか”が分かるって授業じゃないわ」



 先生がそう言ったらクラス中から批判の声があがったが、それに構わず続ける。



「私達陰陽師と陰陽師の卵達に共通するのは妖怪をその瞳に写すこと。そして陰陽師とその卵の違いは力を使えるか否か。それは皆頭に入ってるわよね?」



 次第に批判の声は少なくなり、先生の話に耳を貸す。先生は「陰陽師」と書き、その下に簡単に棒人間を数人書いた。



「妖怪に対抗しうる力を持つ陰陽師だけど、その力にも様々なものがあるの。ほら、魔法モノの漫画とかでよく見ない?ひとつの属性しか使えない人もいれば全部の属性を使える人もいるーって感じの」



 ここでも漫画を参考資料にしてる人が。



「それに近いんだけど、陰陽師にも力の在り方が微妙に違うのよ」



 様々な色のチョークを使って説明をしていく納賀先生。



 まず一人目の棒人間を黄色いチョークでぼかした。



「雷神様を召喚できる陰陽師一族が得意とする術は雷を併用した術」



 次に二人目の棒人間を赤いチョークでぼかす。



「炎の扱いに長けた陰陽師は炎を併用した術」



 最後の三人目は緑色のチョークでぼかした。



「草花の声を聞き、その力を活かせる陰陽師は草花という自然を操って巧みに術を構成したり……とまあ分かりやすい例はこの3つだけど、他にも特殊な術を使う陰陽師がたっっっくさんいるの。その陰陽師達に講師してもらいながら各々の扱いやすい力、構成しやすい術を見つけていくことが目的で特別授業がつくられたのよ」



 チョークを置いて言葉に一区切りつける先生に黙している生徒達。ホームルームだというのにまるで授業中のような雰囲気になっている。



 ここは陰陽師輩出のために尽力する学校なんだな。……なるほど、陰陽師を目指す者にとってもすでに陰陽師になっている者にとっても為になる場所なんだ。


 皆、いつもちゃんと真剣に授業聞いてるけど今このときはいつもの比じゃないくらい真剣に納賀先生の言葉一つ一つを聞き漏らさないようにしてる。


 皆、本気でその道を目指してるんだ。



 その気持ちがひしひしと伝わってきて、俺は少し気後れした。というより、情けなくなってきた。


 皆がこれだけ努力してる間に俺はどれだけの可能性を無下にしてきたんだろう。



「とは言っても、現状はそう上手くいかなくてねぇ……」



 ため息まじりに放たれた言葉に目をぱちくりさせる皆。



「毎日鍛練を欠かさず努力を積み重ねた子達でさえも力を見出だすことが叶わなくて社会人になったって例が圧倒的に多いからねぇ……あ、あら!ごめんねー!暗い話になっちゃうからおーしまい!授業の準備してねー!それじゃっ」



 そそくさと速足でこの場を去る先生。その顔にはしまった、とでも言いたげに焦りが見られた。



 ……明らかに誤魔化した……よな。



 皆にも分かっていたようで、不安そうに俯く者が多数。



 高築を中心に教科書を取り出す者もいるにはいるが瞳には不安や焦りの色が見える。



 その後の授業の内容は正直記憶にない。


 納賀先生のあの言葉が脳に焼き付いて離れないせいなのかな。




『毎日鍛練を欠かさず努力を積み重ねた子でさえも力を見出だすことが叶わなくて……』




 そう。それはまさに俺の恐れてたもの。


 どれだけ精進しても結果に結び付かないあの頃、一番危惧していたこと。


 例えば剣術。重い刀を振り回すのにかなり時間がかかったし、素振りだけしても成果はないと思って白狐に手合わせしてもらってた時期も長かったのに、不自然なほどに上達しなかった。


 そしてとうとう才能がないんだと挫折してしまったんだ。



 もしかしたら本当に才能なんてないのかもしれない。けどここにいる人皆にその言葉は当てはまるわけで。


 そして同時に才能があるかもしれないのもまた事実で。


 だから、勝手に決めつけて諦めちゃ駄目なんだ。才能がどうのとかじゃなく、力がないからってヤケになったりせず、可能性を信じて努力しなきゃ。



 きっと、自分の力は見つからない。



 些細なこと一つ一つ漏らさず頭に入れて、経験して。神界では経験できなかったこともきっと自分の力に繋がると信じてみたい。



「おい柳!!真面目に授業聞いてるのか?」



「あ、はい!聞いてます!」



 やっべ聞いてなかった。



「じゃあこの問題解いてみろ!」



 でも問題は簡単だ。



「それはー、~~~~~……」



「………チッ。正解!」



 今は数学の授業。数学担当の先生には何故か毎回当てられる。そんでもって正解したときは舌打ちされる。すんごい睨まれる。理不尽極まりない。



 その後も何回か当てられたが全て正解し、そのたびに舌打ちされました。ちょっとぉ!?あえて聞こえる音量で舌打ちしてるだろアンタ!んなあからさまに態度で示さんでいいって!




 所変わって白帝学園食堂。



 前回説明しそびれたから今更だけど説明します。


 改めてここは食堂。しかも霊能科と普通科が混合してるこの学園唯一の食事の場である。


 ざっくり言っちゃうと校舎がお隣さんなもんだから間に建てちゃおーってな軽い気持ちで建てられたのだとか。これ学園長談ね。


 そしてこれも学園長の余談。霊能科と普通科は仲良くない。というかすこぶる仲悪い。見た目は犬猿の仲だとは思えないって言ったら一部始終を見れば分かるとのこと。



 只今隣には轟木がいて、一足遅く注文をとりに行った高築を待ってる状態。轟木に話しかけても見事なスルースキルを駆使されて俺可哀想になってきたため事の真相を確かめるために周りをチラチラ気にしてる。



 ……………が。



「やっぱ仲悪いって訳じゃないと思うけどなぁ」



 ケンカも何もない平和そのもの。学園長の言ってたことが嘘なんじゃないか?



「霊能科と普通科の生徒がケンカしてるとこなんて見かけないし、仲良しとまではいかなくても仲は悪くないよな?轟木」



「いんや、一部ではめっちゃ仲悪いぞ」



「うぉっ!?高築!いつん間に隣に!?」



「飯冷めるぞー。早く食え」



 びび、びっくりした……轟木のいる方を向いたら高築がいた。何このドッキリ。轟木は高築の隣に移動していた。



「で、なんだよ急に。霊能科と普通科が仲悪いとかなんとか聞こえたけど」



 炒飯を頬張りながらたずねてきた高築。俺も冷めてきつつあるラーメンをすする。



「学園長とゲームしてる最中に世間話してたんだけどそのときに聞いたんだ。本当なの?」



「あれ見れば分かる」



 すっと指をさす方を見やる。


 そこには霊能科の制服を身に纏う女子生徒と普通科の制服を身に纏う女子生徒達が屯していた。




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