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神様と友達な彼と最強くん  作者: 雨園 咲希
テストが終わっていつの間にやら
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その53

「まあ、最近は体調崩してて休みがちだから、しばらくは会うこともないって!大丈夫だよーん☆」



 いつもの口調に戻る学園長。



 びびった……学園長っぽい学園長を初めて見た。



「せーちゃんはちょぉっと肩の力抜いた方が良いよー?じゃ、私これでも忙しい身なんで!またねん♪」



「失礼します」



 顔の横で手を振って踵を返す学園長と丁寧にお辞儀してその後ろを追う秘書・山内さん。それを見送ったあと、南雲に視線を向ける。


 同じクラスの彼女の呪縛とか、南雲の特別な力とか、聞いたことなかったな。


 この学園に来て1週間経つのに、南雲のそういう事情みたいなの全然知らなかった。


 さっき学園長が言ってたときに南雲が怯えてたのは気のせいかな?学園長の空気にびびっただけかな。



「なあ南雲、特別な力ってなんの……」



 思いきって聞いてみようとしたそのとき。



「静乃のやつまた体調崩してたのか……ああ、そういえばテストの日にもいなかったな。ていうかなんで同じクラスにしたんだよ学園長。あいつが僕に執着してるのは解っていただろうに畜生。あいつから逃れるために授業放っちゃ駄目なのかよ。だいたいなんだよ特別な力って。特別でも何でもないだろ。つーかそもそも静乃が僕の幼馴染みじゃなけりゃこんな面倒なことになりはしないのに……」



 最初は心配そうな声色だったのだが段々険しいものになり途中から呪詛を語っていたに等しい暗く重い声へと変貌していった。



「あのー、南雲さん?呪詛を巻き散らかすの止めて下さいな。あとイマイチ話が見えないです」



 大丈夫かこいつ。俺の声届いてるか?って思ったが杞憂だったようだ。ちゃんと説明してくれた。



 重々しい口を開いて。



「……僕には同い年の幼馴染みがいてな。名を玉頼(たまより) 静乃(しずの)といって、まあ病弱なんだが、刀の扱いには長けているやつでな」



「へー、幼馴染みとかいるんだ。羨ましい」



「羨ましいとか言うな、あんなのが幼馴染みとかこっちの身が持たないんだから。……えーと、それでな。なんというか、その……静乃は刀マニアなんだ」



 少しずつどもる南雲。



 刀マニアだからなんだと言うの?



「ごく普通じゃん」



 俺の周りにいた神様の中にも刀の扱いに長けたひとはそれなりにいたし、中には全力で刀に愛情を注ぐようなちょっと頭のネジが飛んじゃってるひともいたからごくごく普通の当たり前なことなんだと思っていた。


だから南雲の幼馴染みの子が刀マニアと聞いてもおかしい点は見当たらなかったのだが……



「普通な訳あるか!!僕の愛刀が狙われてるんだよ!」



 そう言って常に携帯している懐の刀をぎゅっと握りしめる。



 南雲が常日頃から持ち歩いているこの刀は仕事用のだ。術を使わない場合はこれで討伐依頼を完遂する。この刀を持ったときは自慢気に相棒だなんだって言ってたっけ。



「だから何?拒否すれば良いじゃん」



「拒否はしている。ずぅっっっと昔からな。だがヤツはいまだに諦めるって言葉を知らないんだ」



「な……何故にそこまで執着するの?何か特別な何かがあるわけ?」



 ごくり、と唾を飲み込む。



 南雲がそれほどまでに嫌~な顔することなんて滅多にないのにこの有り様。思わず緊張が走る。


 前に南雲は強くなるために生ぬるい授業を放って仕事に専念したんだって言ってたけど、授業に出ない理由はひとつだけじゃなかったんだな。



「僕は小さいころから愛刀を毎日のように振るっていた。そのせいか、刀自身に霊力が宿ってしまった。昔、愛刀を握らせてとねだった静乃に渡したら力が溢れてきたんだそうだ。それ以来、愛刀を手に入れようとありとあらゆる手段を使って奪いに来るんだが……」



 ん?南雲震えてる。どしたん?



「とにかく怖いんだよ!上から下から横から後ろから正面から刀を狙ってくるんだよ!野生のチーター並みに足速いんだよ!逃げたくもなるじゃないか、なあ!?」



「いや俺に振られても……」



 その子に会ったことないし。



 ていうか要約すると、霊力が宿った刀を静乃って子が己の物にしようと狙っている、ってことだよな。


 ああそういえば、長年使い込んでる武器には持ち主の霊力が移るって嵐武様が言ってたっけ。とか思った俺だけど、言っちゃって良いかな。



「つまり南雲はオタク魂にビビって逃げてる腰抜けだ、と」



「腰抜けではないが確かに逃げてるな」



「さっきのシリアスめいた空気何だったんだよぉぉ!!」



 シリアスオーラが漂ってたから何事かと緊張したじゃんか!俺の緊張返せコラ!!



 南雲の半分どうでもいい話を聞いてたせいでホームルームの時間ギリギリになってしまった。あの野郎。



 教室についた俺はクラスメート達に疎らに挨拶を交わし、自分の席に着く。



「おはよう、轟木」



「…………」



 今日も華麗に無視されました。大丈夫。耐性はついた。



「おはよー皆!」



 俺が頬杖をついたとたんに教室に勢いよく飛び込んできた元気な声。そうですね、担任の納賀先生です。



 納賀先生は今日も高いヒールを履いてるわりに小さいです。



「男子諸君、今日も良い身体してるね!沢山○ョメ○ョメしたまえ!」



 顔は良いのにどうしてあんな残念発言ばっかなのかな。



「せんせーそれセクハラ発言でーす。男子が皆怯えてまーす、止めて下さーい」



 しかし冷静なツッコミを入れる勇者が。はいそうです高築です。



「何よー!男子同士のいかがわしい肉体関係ほど素晴らしいものはないじゃない!皆なんで分かってくれないのよーっ!」



「分かりたくないですし分かろうとも思いません。さっさとホームルーム始めて下さい」



 ようやく見慣れてきたこの温度差のあるやりとり。


 ぶつくさ言いながらもちゃんとホームルームを始める納賀先生。生徒に言われてからじゃないと興奮は冷めないらしい。


 いかがわしい発言からうって変わって多少の真面目さを含んだ表情で発する言葉は俺も皆も予想だにしてなかったものだった。



「嬉しい報告よー!来月から週に一回霊能科の生徒と合同で特別授業が行われることが決定したのー♪」



 目が点になる一同。そして次の瞬間。



「「うおっしゃああぁぁ!!!」」



「「キャーーーっっ!!!」」



 男子は雄叫び、女子は黄色い叫び。他のクラスからも似たような声が聞こえた。


 なななな何!!?俺だけ状況把握できてない感じ?何それ悲しい!俺だけわけわからず一人ぽつねんとしてるとか悲しい!!



 誰かー!誰か説明ヘルプミー!!




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