その5
人間と神は、本来繋がりを持ってはいけない。それがこの世界の暗黙のルール。
14年前、俺はそれを知っていながら爽を神界に連れて来た。
勿論一部の神達には反対された。だが俺は反対を押しきって爽をここに居させることを選んだ。そのために、高位の神から中位の神に降格しちまった。
……爽には、仕事で人間界に行ったときにたまたま赤ん坊のお前を見つけて気まぐれに拾ったと言ったが、本当は違う。
あのことは、誰にも言っていない。
「爽は白帝学園高等部に入学するんだったな。あそこは2つの学科があると聞く。普通科と、霊能科。爽はどっちの学科なんだ?」
「普通科に決まっているだろう。お前が神界に留まらせたせいで我々神が見えているというだけで、本来なら我々を見ることは叶わない。入学してからしばらくは妖怪の類を見ることがあるだろうが、1週間程でそれもなくなり一般人となるだろう」
一般人になる……か。
そうなってほしいのは山々だが……
「爽の保護者はお前だ。だからこそ、このことを一番に伝えに来た。……お前とて、一時の感情に惑わされただけで、ずっと面倒をみようなんて思ってはいないだろ?」
まあ、間違ってねぇな。
あのときは無我夢中であいつを保護しただけだし、少しの間だけ面倒みてやるかって気持ちでこっちに連れて来ただけだったし。
え?じゃあなんで神達の反対を押しきったんだって?それは、あれだ。その……む、ムキになっちまったんだよ。
決して離れたくなかったとか自分の子供みたいに錯覚しただとかそんな人間みたいな感情で行動した訳じゃないからな。
まあとにかく、執着とかは皆無なはずなんだよ。…本来ならな。
「悪いが、俺と爽の縁はそう簡単に切らせやしねぇよ」
意地の悪い笑みを御叶神に向けて言い放った一言。
その予想だにしない一言にはさすがに驚いた表情を見せる。
神と人は繋がりを持ってはいけない。
なのに………