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神様と友達な彼と最強くん  作者: 雨園 咲希
これが日常とか拷問だろ!
39/230

その39

 その後もトラブル等はなく、順調に依頼を達成していったことで無事時間通りに学園に帰ることができると思い、通常は分かりにくい学園への道を歩いている道中、何か強い気を感じた。



「……なんだ?」



 今出たばっかりのS地区から、感じたことのない強い妖気を感じた。


 さっきまではなかった妖気だ。



 明らかに突然現れた異様なものに好奇心からか、警戒しながらも俺の足は自然とさっきまでいた場所に向かっていた。



 なんなんだ?この妖気は……


 今まで相対した妖怪のそれとは明らかに違う。


 空気が軋む幻聴が耳に入るほど禍々しい妖気。



 好奇心も確かにあるが、禍々しい妖気を放つ異形の者は陰陽師として見過ごす訳にいかない。


 物音を立てずに足早に向かう。



 やがて感じる妖気が近くにあることを確信した。


 ちらりと伺える人影から放たれる妖気が俺が感じていた禍々しいそれと一致したからだ。


 人影を黙視した瞬間、隠れるように身体を屈める。


 人影はこちらに気づいていないはずだ。



 相手がどんなやつかが分からない以上、こちらから手出しはできない。だからこのまま相手がどんな行動に出るか見張る体勢だ。


 殺気をかなり抑えて人影を凝視する。



 何故学園の近くのこの森にいきなり現れたのか。


 どうやって降り立ったのか。


 何者なのか。


 妖怪なんだからまともに話ができるかどうか怪しいものだが、できれば知りたい。


 この森の妖怪はどれだけ討伐しても一向に減っていかないから不思議だ。


 今朝のようなよくある地震のせいで妖怪のいる世界から降り立ってる、という説もあるが、実のところはどうなのか。



 等と考えていたら、人影は振り向く素振りを見せ、ゆっくりこちらに近付いてきた。


 まさか……人が、俺がいるってバレたのか?


 気配は押し殺していた。それに加え、ギリギリ目を凝らせば見えるか否かという距離があった。


 バレる確率は低い。……なのに。



 その間にも人影は真っ直ぐ俺に向かって歩いている。


 木に隠れて人影のいる方に顔を向けると徐々に人影の容姿が見えてきた。


 どこか冷酷さを思わせる深い青色の短髪。


 何も映していないかのような切れ長の漆黒の瞳。


 透き通るような不自然なまでに白い肌。


 きらびやかな黒い着物を纏う、凛とした佇まいの独りの男が、そこにいた。



「……誰だ」



 刺すような冷たい声が森の中を駆ける。


 妖怪ごときに感情を揺さぶられることなんてなかったのに、声を聞いた途端ひどく動揺した。


 まるであの妖怪に見つかったら躊躇いもなく殺される、そんな恐怖があったからだ。



「…………出てこないなら、出てこさせるまでだ」



 妖気から殺気へと変貌した刹那。


 辺り一面の草木という緑が眩い閃光で吹っ飛んだ。



「……っぐ………!!!」



 俺の身体もいとも簡単に吹き飛ばされ、暫しの間気絶してしまった。



――――――――――――――――――



「うっ………」



 少しの間気絶していたが、ようやく目を覚ました。……だが、全身に迸る焼けるような痛みは一体……?



「あら、気がついたかしら?」



 視界が霞みボーっとする中かけられた優しくて、でもどこか冷たさや寂しさを感じる女の声が上から振ってきた。



「主人がすみませんねぇ。きちんと叱っておくから、悪く思わないでね」



 どうやら仰向けに寝かされて看病されていたらしい。女の太ももが俺の枕になっていたようだ。



 主人……?まさか、あのときの妖怪か?



「さっきの、光は……」



「主人の術は強力だから、きっと君の身体もダメージがあったのね。周りの草木だけを消すつもりだったみたいだけど……巻き込んでごめんね」



 周りの草木を、消す?



 痛みを気にせず身体を起こす。



「なんだ、これ……」



 目の前の光景に呆然としてしまった。



「やっぱり、昔と変わらず人間界の自然は脆いわねぇ」



 語尾を伸ばして可愛く言うがそれに似合わない台詞が女の口から出た。



 …………そこに広がっていたのは、焼け焦げて真っ黒に染まった自然だった。




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