その31
「とにかく、南雲がどんだけすごいやつかは知らないけど、俺は何もしてないから!」
俺のその一言で無理矢理会話を終わらせた。
奥ヶ咲もそれ以上は何も言って来なくて安心したが、ずっと気になってたことを質問してみた。
「ところで奥ヶ咲、俺が入ってきたときなんで刀磨いでたのかな?」
いつの間にやらもうすでに刀と刀磨いでたやつは仕舞ってあるみたいだが気になって仕方ないんだよね。
俺の目をじっと見つめてた奥ヶ咲の瞳はそっと逸らされ、終いにゃこの一言。
「知らぬが仏」
まじで気になるんだけど!ボソッと言われると余計気になるんだけど!
しかも何さアレ!本気で聞かないでってオーラ半端ねぇじゃん!!俺の同室者やっぱり危ない人なの!?
「よ、妖怪討伐用の刀磨いでただけだよな?」
恐る恐る聞いてみたのだが。
「……さあな」
目が!目が明後日の方向に向いてる!!
「さあなって何!?妖怪討伐用じゃないの!?」
「もうその話はいいだろ。そんなことより、授業は明日からなんだろ?また遅刻しないように今日は早めに寝ろよ」
あからさまに話題剃らした。
早めに寝ろよって、今昼なんだけど……まあ良いや、聞かれたくないことなのかも知れないし。確実に対人用ではないだろうからな、その点は安心。
逆に対人用だったらヤバイわ。警察沙汰だわ。
「明日からかぁ……」
ぽつりと呟くと、奥ヶ咲が「なんだ?」と言ってきたため「何でもない」と返した。
明日から本当に学園生活が始まるんだなぁ。
初っぱながら出遅れた気がするけど、楽しい日々になるかな。楽しい毎日に、なってほしいなぁ。
しみじみとそう思ったとき、奥ヶ咲が部屋を出て行こうとしてるのに気付き呼び止めた。
「編入したてのお前とは違って俺は普通に授業がある。次の授業は妖怪討伐だからそろそろ行かないと集合時間に間に合わない」
机のうえに置いてある時計を見ると確かにかなり話しこんでいたようで、かれこれ15分は経っている。
常に授業を放棄してる誰かさんと違ってちゃんと授業出てるんだな。外見に似合わず真面目だな。いや授業に出るのが当たり前なんだけどね。
玄関先で奥ヶ咲を見送り、使われてない空き部屋のベッドに突っ伏す。
「眠い………」
今日は本当にいろんな事があって疲れたからな。……やべ、1人になったとたんにどっと眠気が………
睡魔に抗う力はなく、静かに閉じていく瞼。
それから見たものは、夢だったのかもしれない。
けど、妙にリアルに耳に残った。
『あと、8ヶ月と4日……』
脳裏に響くその言葉は、次に目が覚めたときには俺の中から跡形もなく消えていた。




