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神様と友達な彼と最強くん  作者: 雨園 咲希
出会いと再会は突然に
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その28

「なんか、ごめん……話したくないならいいよ」



 それ以上踏み込めそうになくて、口が勝手に動く。


 学園長の困り顔を思い出すたびに胸が痛むけど、南雲が授業を放棄する理由はそう単純なものじゃないのかもしれないから南雲を説得することも叶わない。


 結果、俺は何もできない。



「気にしないでくれ。僕は時間を有効活用できればそれでいいんだ」



 南雲は気にしてない様子。


 ……この話題は止めよう。学園長には悪いけど、説得は無理でしたって次会ったときに説明しよう。



「そうだ、男子寮ってどこ?」



「あからさまに話題そらしたな」



 察しがついても言葉にするのはNGだぞコラ。



「男子寮は君が今来た道を戻って右に曲がればあるぞ。奥に女子寮がある」



 だがきちんと話を合わせてくれた。何気に優しい。



「で、さっきの話の続きだが、君が何故そんな特異体質なのか原因を是非とも解明したい。会ったばかりで僕のことが信用できないというのならこれからじっくり親睦を深めようじゃないか。色々話そう、研究対象」



 話戻された。てか、そのあだ名!



「親睦を深めるつもりはない!そしてそのあだ名やめい!!俺には柳 爽っていう立派な名前があるんですう!!」



「ふむ、確かに良い名だ。では柳、友情の証の握手でも…」



「しないから!!」



「何故拒む?君のような人間は友情にあつい者だと認識しているのだが……」



「う、それは……」



 白狐が言っていた。


 『霊能科の人とは関わるな』って。



 イオリちゃんや奥ヶ咲は道案内してもらいたくて致し方なく学園まで一緒に来てもらってただけで、仲良くはなってない。


 食堂ではイオリちゃんが話しかけてきたから話を合わせてただけ。奥ヶ咲はいなかった。



 親睦を深めるということは友達になるということで、白狐に言われたことを無視してしまう。


 白狐が真剣な顔でああ言ったのは何か理由があるはずだから無視することはできない。


 その理由がなんなのかはわからないけど、白狐の言うことは聞かないと。白狐も嵐武様同様、親みたいなもんだし。



 たじろぐ俺を不思議そうに眺める南雲。


 何故仲良くなれないのか、理由を聞いていた南雲にどう言えぱ良いのか。


 知り合いに霊能科の人間と関わるなって言われたから仲良くできないんだーって言っても信憑性に欠けるよな。


 ああぁぁぁ、どう説明すれば……!!



「言えないなら無理に言う必要はない」



 冷や汗だらだらな俺はキョロキョロさせていた目を弾かれるように南雲に向けた。



「理由は気になる。が、さっきの君の分かりやすい気遣いに免じて詮索はしない」



「分かりやすいは余計だ」



 助かったぁぁぁ!!優しさのある少年で良かったぁ!!助かったぁぁぁぁぁ!!!



「だがしかし僕は諦めない。君との親睦を深め、必ずや君の特異体質な身体を隅々まで調べあげてその謎を解き明かしてみせる!」



 前言撤回。全然良くない。



 何ガッツポーズしちゃってんのさ、調べるだけ無駄だって。俺は普通の人間だって。


 てゆーか何さ謎を解き明かしてみせるって、どこぞの名探偵気取りかよ。


 ん?てか、さっきの口振りだとまるで友達になるのを諦めないって言ってるふうだな。やばい、早くも心に罪悪感が……


 いやいや、白狐に言われたことを忘れるな!仲良くできるのは普通科の人間だけで、できるだけ霊能科の人とは仲良くしちゃいけないってことを!



「とっ、とにかく俺は霊能科の人とは仲良くしちゃいけないから、全力で逃げさせてもらう!」



「なら僕は全力で追いかけよう」



 怖い笑みを浮かべる南雲の顔は悪人面をしてました。



「だが今からは無理だな。まだ仕事が残ってる」



 悪人面から一変、残念そうにため息を吐いて放たれた言葉に戸惑いつつも安堵した。



「仕事?」



「妖怪討伐の仕事だ。終わったら速攻行く」



「来なくていいから」



「絶対行く」



 目が本気だ。こえぇ。



「友がいないからか、こうして話すだけでも嬉しいというのも本音だ。皆僕を避けるから、仲の良い人間が1人もいないんだ」



 あ、ぼっちでしたか。



「なので君と仲良くできればぼっちを卒業できるんだが……」



 捨てられた子犬の瞳を向ける南雲に罪悪感は募る一方。



 そんな目で見るなぁ!!



 言葉も表情も全て計算だと分かりきってるのに、ついつい乗せられそうになる。乗せられそうになったとき、ぐっと堪えて振り絞った言葉。



「……っでは俺はこれで!もう行きますんで!男子寮の場所教えてくれてありがとう!んじゃ!!」



 シャアァァァッッと走り去っていく俺。去り際に「チッ」と舌打ちが聞こえたが聞かなかったフリ。



 来たとき同様南雲の張った強力な結界を難なくすり抜けた瞬間、俺はバッと振り向いて言い忘れてたことを言った。



「あ、そうだ!この結界、かなり分厚いから霊力の消耗激しいだろ?もっと薄くして霊力を凝縮させれば霊力の消耗は軽減されるぞ!」



 結界の膜は薄く、尚且つ強力に作らなきゃ術者の霊力の消耗が激しく、妖怪との戦闘に支障が出る……と、昔嵐武様が下級の神様に教えてたのを思い出したため咄嗟にアドバイスしていた。


 再び前を向いて走りだした俺の背後で南雲が目を見開いて口を半開きにしていたのは知るよしもなかった。




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