その20
そんな二人のやりとりを知るよしもなく、俺は今普通科の校舎一階の学園長室前で足を止めていた。
「ウッソ……もうついちゃったの?」
二人と別れていくつかある校舎とにらめっこした末にこの校舎にしたのだが……
ぶっちゃけ言うと、本来なら校舎間違えたり迷ったりするのが普通だよなぁって思ってたんだよね。だってマンガじゃ、そのおかげで出会いとかがあって物語が進むー的な話になってるし、期待しちゃってたんだよね。
つまり一言で言うとですね。
なんでこんなあっさりついちゃうんだよ俺の馬鹿!
そりゃ急いでたし早くついたほうが良いって頭では理解してるけどさぁ!でもやっぱり何かしらハプニングとかあったほうが楽しいというか……とにかく、マンガみたいな展開を予想(期待)してたのに!!
マンガマンガマンガってお前はマンガオタクか!と突っ込むのはやめて下さい。参考資料がそれしかなかったんです。
と、とにかく、来ちまったもんは仕方がない。よし、腹括ってしまおう。入ろう。こんな所でうろうろしてたら怪しまれるからな。
「すぅー、はぁー………」
深呼吸して落ち着きを取り戻し、ドアノブに手をかける。
ガチャ………
「失礼します。編入生の柳 爽です」
扉を開いたその先には誰もいなかった。
少し広い部屋の奥にある窓の真ん前に学園長用の値段が張りそうな机と椅子があるだけ。
「あれ?誰もいない?」
学園長室間違えたとか?いやそれはないな。プレートにしっかり「学園長室」って書かれてたし。じゃあなんで誰もいないんだ?
ふと壁にかけられてる時計を見やると時刻はなんと10時35分。
「ノォォォォッッ!!!!2時間以上も過ぎてるぅぅぅ!!!」
思わず叫んでしまうほどにショックを受けた。まさかそんなに時間経ってるとは思わなかったし!!
学園長って忙しい立場なのは知ってる。俺1人のためにこんな長時間待ち続けるとは思えない。実際いないし。
この現状を見てわかること。それは
「挨拶……明日に決定だわ」
ただそれだけだった。
だよなぁ、2時間も待つとか拷問だよなぁ。ここにいないってことは仕事で出張とかに違いない。
こんだけ待たされたら迷惑にも程があるよなぁ……
反省して嘆いても何にもならないし、とりあえずは寮に行こう。自分の部屋で落ち着きたい。そう思い閉じた扉を開こうとドアノブに手を近づけたときだった。
「ふっ……くくくっ………ああ駄目。キミ面白すぎ!」
上から声が聞こえてきたため上を見上げると、何故か白ワンピースを着た紫頭のツインテール美少女が天井に張り付いていた。
「ぎゃあああぁぁぁぁぁ!!!!??」
勢い良く壁にドンッて背中押し付けるぐらい後ずさった。
て、天井に!天井に人が!!
「あははっ!そうよその反応を期待してたのよ!あーツボったわぁ。楽しませてもらったし、そろそろ良いかな」
目を白黒させてる俺の真ん前にストンと華麗に降りてきた美少女。もう、びっくりさせんなよもう!!心臓破裂しそうなくらいびっくりしたんだけど!!
華麗に降りてきた美少女は俺を真っ直ぐ捉えた。
「さっきはごめんね。キミがどんな反応するのか見てみたくてイタズラしちゃったわ」
まずは謝罪し、一礼してきた。そして顔を上げ手を握る。
「白帝学園の学園長、神ヶ原 ノアよ。ピチピチの25才でっす☆」
………
……………
「はいぃぃぃぃ!!!?」
目ん玉飛び出そうってくらいびっくりした。




