その2
ここは神界。
神様が住まう神聖な場所。
その神聖な世界のとある大きな屋敷。
襖を開ければすぐそこには縁側がある眺めの良い部屋の中で、うーんっと身体を伸ばした。
「よし、こんなもんかな」
目の前に広がる教科書とノートを見て一人呟く。
見ての通り今俺は勉強をしていた。
勉強するのは好きなんだよね。知らないことを覚えるのってすげぇ楽しい。だからか、毎日数時間こうして勉強するのが日課になってる。
正座していた姿勢を崩して胡座をかく。
机の上に散らばった筆記用具を筆箱に戻しながら明日はどの教科を勉強するかなーと考えていると、襖の向こうから「失礼します」と凛とした低い声が聞こえてそちらを向く。
襖を開けて入ってきたのは薄いクリーム色の耳と尻尾を揺らして紫色の瞳を俺に向けるエプロン姿の背の高い男。
狐の神使・白狐だ。ちなみに毛色がクリーム色なのに何故白狐って名前なのか理由は知らない。
「爽、嵐武様が……って、また勉強してたんですか」
俺が手に持っている教科書を見て顔を顰める白狐。なんでそんな顔すんのさ。
「勉強したいからしてるだけじゃん」
「限度があります。たまには子供らしく遊びなさい。私が遊び相手になってあげますから」
「えー、勉強楽しいのに」
「知識を得すぎて頭爆発しないか心配です」
「なんでそうなる!?」
遊んでるじゃん!たまにだけど!白狐は変なところで心配性なんだから……
「で、嵐武様が何?またサボってんの?」
教科書やノートなどを机の端に置いて、白狐が先程言いかけていたことを口にする。白狐も神使としての仕事があるからか雑談は控えて、机を挟んで俺の前に座り話し出した。
「いえ、先程机に括りつけました。嵐武様がお呼びです。嵐武様の部屋へ行きましょう」
あ、やっぱ仕事サボってたのね。
あのひと隙あらば仕事サボるからね。あんなのが神様で大丈夫かよってくらいサボりまくるからね。でも白狐がどうにかしてくれたみたいだ。やり方がちょいアレだけども。
嵐武様の呼び出しと聞いて首を傾げる。呼び出されるようなことしてないけどなぁ……
ハッ!まさかまたパシリか!?
「パシリではないですよ、爽」
俺の思考をぶったぎってそう言う白狐にホッと胸を撫で下ろすと同時に頭の中で疑問符が浮かぶ。
いつもみたいにパシリじゃないならなんの呼び出しだろ……
とにかく行ってみれば分かるかと思い、白狐に連れられて嵐武様の部屋まで来た。




