その17
振り返ったが、そこには一面の緑が広がってるだけで誰もいなかった。
気のせいだったかな……と思い前を向こうとして首を動かす。
が、その刹那。
ビュオォォ!!
空を切るような音と共に何かが俺のすぐ目の前を俊敏に通り過ぎた。
ビックリして思わず後ずさる。
「え……何?今の…」
間抜けな声が静かな森に響く。
一瞬すぎて何が通ったのか分からなかった。
「まぁいいや。学園はどこですかいなっと……」
トイレでも我慢してたんかなぁとか呑気に考えてる俺は次に起こる不測の事態に対処できるわけがなかった。
「~~~~!!」
突如聞こえたのは誰かの叫び声……いや掛け声?意外にもその声はすぐ近くで、声が聞こえたのと同時に目に見えない雷が落ちたような音が辺りに轟いた。肌で感じるそれは俺の知っている力にとてもよく似たもの。霊能力であった。ということはさっきの雷は術か。
音が聞こえたのはついさっき俺の前を勢い良く通り過ぎた何かが向かっていった方向だった。
術を放ったということは近くに妖怪がいるということを示す。危ないな、妖怪に逢ったらどうしよう。太刀打ちできないよ俺じゃあ。
「大地の恵みよ、それを束縛せよ。草縛陣!」
またもや術が放たれたようだ。しかもさっきよりかなり近い。
巻き込まれないように退散しようとした瞬間、俺の足下からうねうねと草が這ってきて身体を拘束した。
えっっ!?俺に向けて放ったの!?
何故!?
「よし、かかったな」
術を放った人物がガサガサとこちらに迫る。
視界には術を放った相手がそう言いながら近づいてくるのが見えた。やがて声の主の顔が俺の目前にきていた。
「……?何故人間が術にかかったんだ?」
その声はかなり低めで、髪色は金髪で、おまけにピアスとかじゃらじゃら着けてて、目付きはごっつ鋭くて、瞳は真っ赤な血の色で、制服はあちこちに傷がついており、返り血を浴びたかのような跡があり、左手には護符が握りしめられており、腰には刀が携えられており…………
…………ヤンキー通り越したやんちゃな道を歩んでるその筋の人かな………って、白目向いて思っちゃった。




