その14
「どしたの?」
「えっと……その…………」
白狐が口ごもるなんて滅多にないのに、ホントにどうしたんだろ?
数秒の沈黙の後、白狐は口を開いた。
「爽が通う学園には2つの学科があります。普通科と霊能科で、もちろん爽は普通科です。……校舎は違うみたいですが、一応言っておきます。霊能科の人間とは親しくしないようにして下さい」
「……え?何で?」
あまりにも意外な要求をされたから聞き返してしまった。
「理由は……あ、すみません。答えたいのは山々ですが、そろそろ学園に向かわなくては遅刻となってしまう時間ですよ」
常に右腕に装着されてるいつ買ったのか分からない腕時計をチラッと見た白狐がそう言ったが、はぐらかされた気がしたのは気のせいか?
「お前、さすがに初日に遅刻はまずいだろ。ほら行った行った!」
だが白狐の腕時計を見たらホントにヤバい時間だったので学園に向かおうと足を動かそうとした。だが………
足が重く感じる。
前へ進むのを躊躇っているのが自分でも分かる。
もう会えない。
その言葉が頭の中を過り、足どりを重くする。
でも、行かなきゃ。
進まなきゃ。
俺はもう、甘えていい立場ではないんだから。この二人を困らせちゃいけないんだから。
「………行ってきます!」
だから、心配させないように笑顔でいなきゃ。
「おう、さっさと行けや」
「お気をつけて」
二人も笑顔を向けてくれた。
家族との別れに涙が出そうになるのを堪え、心の中でさようならと唱えた。




