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神様と友達な彼と最強くん  作者: 雨園 咲希
合同授業と編入生
103/230

その103

 白石さんに散々言われ放題なイオリちゃんはと言うと、護符を持つ手が震えて歯を食いしばっていた。そして唐突に懐から抜き取った一枚の護符を白石さんに突き出した。



「………やって」



 そんなに言うなら自分がやれ、ってことかな。でも普通科の白石さんがやっても霊能科のイオリちゃんほど上手くできないと思うけど……


 白石さんもその意図を汲み取ったみたいで、突き出された護符を受け取った。紋様を見る限り、火炎術の護符だろう。それを構えて詠唱する白石さん。



「火緑」



 すると信じられないことが起こった。


 白石さんが手に持つ護符が散り散りになり、巨大な炎の玉が現れたのだ。


 白石さんと同じくらい大きな炎の塊が現れたことで周りの女子が驚愕の表情を見せる。イオリちゃんも呆けていた。



「……霊能科なら、これくらいはやってみせなさい」



 巨大な炎の塊を一瞬でフッと消し、イオリちゃんに向き合い、そう言い放つ白石さんをびっくり顔でガン見していた。


 なんで普通科に転校してきたんだろう。小さな火の玉ほどなら普通科で合ってるけど、あんな巨大な炎を瞬時に出せるなら間違いなく霊能科に転校するはずなのに。



「……嘘……………」



 イオリちゃんも信じられない光景を目の当たりにして腰が抜けてしまった様子。


 女子の方に異様な空気が漂ってるのを見かねた他のクラスの先生が白石さん達に駆け寄っていった。



「あの女、間違いなく霊能科行きだな」



「ああ……そうだな。なんで普通科に転校してきたんだろ?」



 背後から奥ヶ咲の声がしたためびっくりした。奥ヶ咲も白石さん達のいる場所を見つめてる。


 女子から諸々の事情を聞いた先生が白石さんに向き直って話している。しばらく話は続いたが、奥ヶ咲に練習再開と言われてしまったためその後の様子を見ることは叶わなかった。



「じゃあ地泉から順にやるからよーく見ておけ。白石のことが気になるのは分かるが、どうせ霊能科行きが決まったとかそんな話だろうから今は練習に集中しろ」



 それもそうだな。あとで聞けば良いか。



 符を取り出して術を使おうとする奥ヶ咲を見て、力の流れを察知する。



 多分、奥ヶ咲は風系と水系の術が得意だな。細かな力の流れが繊細で、少しも荒さを感じない。だから逆にちょっと荒々しい雷系の術は苦手だったりするんじゃないかな。



「地泉」



 奥ヶ咲の足元に土の山がぽっこり出て来て難なくクリア。



「水票」



 土の山が崩れると同時に水の波紋が大きく広がる。南雲のと同じ、いやそれ以上かもな。やっぱり得意だったか。



「火緑」



 水の波紋が消え、そこそこの大きさの火の玉が出現。白石さんほどでっかいやつじゃないけど、得意でもなければ苦手でもないって感じかな。



「豊風」



 火の玉はあっという間に風に掻き消され、結構でかい竜巻が目の前に出現。力の流れを見るに、風が一番得意らしい。



「…証雷」



 他の術に比べて数瞬遅れて発動。いくつもの細い雷が出現する。基本の術で数瞬遅れるなら予想以上に雷系の術が苦手と見える。



 証雷をさっと消し、ふぅと一息つく奥ヶ咲。



「まあ、大体こんなもんだ。同じくらいの規模を発生させるのが目標だと思え」



「は~…………すごいね。風と水が得意なんて南雲と全く逆じゃん」



「…………は?風は得意だが、なんで水?」



「え?自覚ない?風の術は最も細かな力の流れを駆使しないと上手く使えないから神経使うでしょ?その次に神経使うのが水の術なんだよ。奥ヶ咲は南雲みたいに荒々しくなくて、繊細で綺麗な力の流れだから風と水が得意で雷系が苦手なんだろうなって思ってたんだけど、全くその通りだったねー」



「………………」



「でも苦手なものが少ないって良いことだよ。南雲なんか雷系凄まじいのに風と水が駄目なんだよ。まあ駄目っていっても平均くらいで、雷系だけずば抜けてるだけなんだけど。あと操る系の術も苦手な方だなぁ。奥ヶ咲はその辺どう?俺の予想だと得意な方だと思うんだけど」



「………………」



 あ、あれ。なんか黙りしちゃってる。俺またなんか変なこと言っちゃったのかな。まさかまたお前は人間じゃない宣言されちゃう?



「…………すごいな。どうしてそこまで分析できるんだ?」



 やがてポツリと呟くような小声でそう言った。人間じゃない宣言されなかったのは良いけど、やっぱまずかったかな。南雲みたいに単純思考の馬鹿じゃないからなぁ奥ヶ咲は。色々詮索されても面倒だしなぁ。どうするべきか……と悩んでいると、奥ヶ咲の瞳が俺を捉えていたのに気付いた。



「えーと…………何?」



 めっちゃギラギラしてる。怖い!金髪に紅い目でピアスの類ジャラジャラつけてる一見不良な奥ヶ咲が目ぇギラギラ輝かせてるとめっちゃ怖く感じる。てか前から思ってたけどなんであんなピアスつけてんだ?いや今はそんなことどーでも良い。



「お前が霊能科だったら、一緒に妖怪討伐に行った際に術のアドバイスをしてくれるのにと思っただけだ」



 なんだかカッコいい笑みを浮かべてそんなことを言ってくれちゃう奥ヶ咲。



 いつかの南雲と同じこと言ってるよ!なんなのこの二人!?正反対と見せかけて似た者同士なの!?つーかアドバイスって何さ!俺はただ力の流れが見えるだけだよ!アドバイスなんてでき……ないとは言わないけど南雲で手一杯だよ!!



「あははは……南雲と同じこと言うんだね………まあ仕事に巻き込んでた南雲よりはマシな思考なようだけど」



 南雲の話題を出したとたんに目がスッと細くなり上がりかけた唇の両端が真一文字に結ばれる。



「……そういえばお前、南雲と仲が良いんだったな。仕事に巻き込んで……って、まさか立ち入り禁止区域の森に連れて行かれてるのか?」



 眉をひそめて疑問を口にした奥ヶ咲に慌てて否定の言葉を述べる。



「ち、違うよ!森には入ってないよ!」



「なんだ、それなら……」



「南雲専用の特殊な結界内で妖怪とバトってるのを間近に見ただけだから!」



 数秒後、奥ヶ咲は頭に疑問符を浮かべ何かを考えてる素振りを見せたと思ったら何かを思い出したようにハッとこちらを見、そしてじぃっと疑い深い眼差しを送り、やがて最終的には驚愕の表情になった。



「……確か南雲は学園内に張り巡らせた結界の中で仕事をこなすんだったな。南雲が最近誰かに仕事を押し付けてると女子が噂してたが、まさかお前だったとは……」



「いやいや仕事押し付けてるって何!?俺はただ南雲に術のアドバイスしてただけなんだけど!」



 また噂かよ!女子の情報伝達能力すげーな!しかも少し捏造されてる!正しくは結界内で戦ってる南雲にアドバイスを投げ掛けてた、だよ!どこからどう捏造されてくんだよもう!



「なんだ、違ったのか。じゃあ普通科の生徒が南雲 清流を牛耳ってるなんて噂もデマか」



「友達だから!牛耳るとかないから!」



 またかよぉぉぉ!!色んな方向に尾ひれついてんじゃんかぁぁぁ!!くっそ、それもこれも南雲の野郎が誤解を招く行動するからだ。ほとんどの原因はヤツにあるはずだ。一度文句言ってやりたい。



 「友達」という単語にぴくりと反応した奥ヶ咲はどこか遠くでも見るような目でこちらを見つめていた。少し様子が変だったため声をかけようとしたが奥ヶ咲が先に口を開いた。



「……例え話だが、ふたつの陰陽師の家が対立しているとして、その両家の子息が同じ学校の生徒だとする。相手はどう思ってるか知らないが、こっちは陰陽師として尊敬しライバル視しているとしよう。その場合、あえて接触して相手の弱点を見つけるかこれまで通り接触はせずお互い無関心のままでいるか、どちらが家にとって得策なんだ?」





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