不通
徐々に影が長くなるなか、美咲はマンションの中に入って行った。
自宅に入ると、
フッーと息を付きパソコンへと向かった。
いつもの様にメールをチェックし始め、画面をスクロールしていく。
あら、あの先生から来てるわ。
原稿もう少し待てないかですって?
待てるわけ無いじゃない、もう!
すぐにスマホを取り出し、電話を掛ける。
しかし、
お客様のお掛けになった電話番号は現在使われておりません。
・・・、変ね?
再度、かけ直す。
やはり、同じだった。
何かしら?そこまでして、原稿落としたいのかしら?
美咲は別の電話番号にかけ直す。
あ、もしもし、美咲です。
川田編集長います?
えぇ。
編集長、こんばんは。
日向先生に連絡取ろうとしたんですけど、
・・・えっ、そうだったんですか!いえ、今初めて聞きました。それで、どちらに?えぇ、はい、分かりました。すぐに行ってみます。
原稿は、はい、そうですか、分かりました。有難うございます。
それでは。
・・・、日向先生が入院したなんて。向かわなきゃ。
美咲は再度、駅へと向かった。
途中、御影達の姿は無かった。
ーーー
何駅か先で降り、病院に入る美咲。
受付へと向かう。
すみません。日向祐一の病室は何号室ですか?
身分を証明する物有ります?
免許証ですね。はい、結構です。
日向さんですね?お待ち下さい。
・・・
こちらの患者さんは面会出来ません。
どういうこと?面会謝絶?
そうなります。
そんなに悪いの?
患者さんのプライバシーに触れますのでお答え出来ません。
・・・、そう。
じゃあ、立花が来たって伝えておいて下さい。
分かりました。
受付を離れ、美咲は呟いた。
日向先生、そんなに悪いのかなぁ。
そして、病院を後にした。