遭遇
駅の改札を出て、早めの足どりで歩く流れに美咲もいた。
15分も歩いただろうか。
徐々に人波も途切れ途切れになりいつしか美咲1人になった頃、数人の20代前半の男女が美咲の視界に入った。
さほど気にせず通り過ぎようとした時に、その中の一人の女が話し掛けてきた。
こんにちは、少しお話しませんか?
・・・、要らないわ。
そう言わず、お話しましょうよ。
屈託の無い笑顔で女がいう。
変なのに会う日ね。
そう思いながら、止まりかけた歩みを元に戻そうとした美咲を女の仲間が囲む。
御影の話は聞いた方がいいよ。
そうだよ、こいつ凄いんだ。俺達、いつも助けられてんだ。
仕方なく歩みを止めた美咲が言う。
んー、宗教か何かの勧誘?
悪いけど、興味ないわ。
宗教とは違うんだけど。どう言ったらいいのかな?
分かるって言うか・・・
御影が少し悩んだ顔をしながら言う。
分かる?
そう、分かる。
・・・、私にはあまり関心の無い話の様ね。じゃあ。
そう言うと、御影の仲間の間を割る様に美咲は歩き出した。
いいえ、あなたはまた私と会うわ!
だって・・・
御影の言葉を遮る様に、振り向かずに手を振りながら美咲が言う。
覚えていたら相手して上げるわ!