微動
ーー日本 東京 電車内ーー
次は渋谷、渋谷。お出口は右側です。東急東横線…
「美咲、これどういうことなの!?」
車内に響き渡る声。
スマートフォンを目の前に見せられた美咲。
「そういえば、スマートフォンってスマフじゃないね」
「そんなことどうでもいいわよ!私の司と寝た画像送ってくるなんて、どういうつもり!?」
「司が私とって言うから。あなたに隠したく無かったし」
「ちよっとあんた頭おかしいんじゃない!次で降りなさいよ!殺してやる!」
見かねた乗客達が割って入る。
「やめなさい!こんな所で!」
「殺してやるなんて、物騒な事を言うんじゃないよ!
「離してよ!この女が悪いのよ!」
「分かったから、落ち着きなさい!」
「仕方ない、この子降ろそう!」
渋谷に着くなり、女は乗客達に引きずられる様に降ろされた。
再び走り出した車内に残った美咲に一人の男が近づく。
「…何かしら?」
「クールですね!」
「そう?周りは嫌な女が居るっていう感じだけど?」
「そんな感じです!」
「アハハ、あなた変わってるわね。」
「貴女程ではないです。今日はこれからどちらに?」
「あら、ナンパかしら?そんな気分に見える?」
「ナンパでもなんでもいいです。貴女に興味を持ちました。引っ付きます!」
「変な日本語ね。・・・・、今日はごめんなさい。」
「じゃあ、連絡先交換して下さい。先に言っておきます、私しつこいですよ。」
「んー、じゃあスマホ出して。・・・・これでいいでしょ?」
「・・・・、立花美咲、たしかに頂戴しました!」
「あら、あなたも立花なのね。立花・・・」
「そらって言います。宙と書いて。」
「ふーん、あっ、私ここで降りるわ。ついて来ないでね」
「後で連絡します。」
「・・・・、覚えていたら相手するわ!じゃあね!」
「また!」
ドアが閉まり、電車は再び動き出した。