第九章
次の教室も不思議!!
教頭は1度廊下に出て、向い側の黄色いドアを開けた。
全員が後に続く。
「さて、次の教室も1年で使うところです。物に触ったり暴れたりないように」
忠告の後、中に入るとそこは不思議な教室だった。
薄いブルーの光が部屋中を包みこんで後は何もなかった。
「この部屋は、バーチャル映像室である。1年生は実戦許可は下りないので、ここで3Dメガネを掛けまして、敵の見分け方、いわゆる観察力を極めるために訓練する教室です。視力検査のように教師が装置を動かし、その中で敵を見破るのが課題です。」
私は、この教室を観察した。
本当に何もない……。
「さあ、じゃあやってみましょうか……、まずはそこに君」
と指を差されたのは心だった。
「え?僕ですか?」
「そうだ、君からやってみたまえ」
教頭は教室の隅っこに行くと教壇のような台を持って来た。
それは、間違いなく先ほど言っていた装置だろう。
「でも、僕やり方がよく……」
心が困っているのも無視して、教頭は3Dメガネを手渡す。
「これを掛けて」
心は戸惑いながらもそれを掛ける。
「ウワァ―」
なぜかものすごく感動していた。
「このメガネは普通とは違っていますからね。ま、言われなくても気づいていただろうが……」
心に何が見えているのかは分からないが、私はもの凄く気になった。
「それでは、始めようかな。偽物らしき人物を見つけたら、手を挙げて教えてくれ」
教頭はそう言って何かボタンを押した。
するとブルーの光は消えて、壁に江戸時代だろうか……刀をさした、ちょんまげの武士たちが歩いている姿が映し出された。
「設定は江戸時代の町だ。活気に溢れて人も多い。さあ、この中に敵がいます。見つけてみたまえ。」
きっと心には立体的に映っているんだろうな……。
そう思いながら壁を見つめた。
「ちょんまげばっかだ!!!面白い」
心はクスクス笑ったがその後は真剣に敵を探していた。
武士たちがすれ違ったり、江戸の子供が団子を食べながらはしゃいでいる。
「あ!!あれかな?」
心はその子供が映っている方を見て手を挙げた。
「ん?どれだね?」
教頭は別のボタンを押して画面をストップさせる」
「あの団子屋の店の柱の陰にいる叔父さんでしょ?1人だけおかしな動きしてたもん」
心はにこやかに指をさす。
「ふむふむ、なかなかやるな。ですが、おしいですね。正解はこの叔父さんの隣にいる店の女が敵だよ」
勝ち誇ったように教頭が鼻で笑って言った。
心は少しむっつりする。
「難しいですね……」
「何を言います?レベル1だ。まだ初級編ですよ!!」
教頭は心を馬鹿にするように言った。
心は黙りこみメガネを外す。
教室は元のブルーの光に戻る。
「さて、次は誰が行きますか?」
私は心だけかと思い油断していたのでハッと驚く。
「じゃあ、君行こうか?」
続いて指をさされたのは鉄だった。
「俺ですね?分かりました」
冷静に鉄は心からメガネを受け取る。
「さあ、次は戦国時代です。戦争の真っただ中。見つけてみたまえ」
再び教室の光は消え、壁に鎧を着けて刀をこすり合わせ戦い合う戦闘シーンが映し出される。
「こんなに戦ってる奴らの中から見つけ出すのは、さっきよりはレベル高いな……」
賢がボソッと私たちに囁く。
「戦国と言えばやっぱ戦だもんな……。だけど、見つけた」
鉄がバッと手を挙げた。
「ほう!!早かったな!!さて、問題は当たっているかだが……?」
教頭は、不気味な笑いで鉄の返事を待つ。
「右にいる馬に乗ってる奴でしょ?」
当然のように鉄が自信満々で言った。
「……まあ、正解だ」
渋々教頭が正解を認めた。
鉄は軽くガッツポーズしてメガネを外す。
「楽勝楽勝」
そう言って教頭に笑いかけた。
「これもまだレベル1だ。自慢できる程でもない。」
少し悔しそうに鉄を見て小声で言った。
「いやな奴だね」
心が教頭に聞こえないように囁いた。
「じゃあ、次は君にしよう」
ついに教頭が私を指さした。
「頑張って」
真妃と心がこっそり声を掛けてくれた。
「ありがと」
重い足取りで教室の真ん中の鉄のところへ向かう。
「落ち着いて見とけば簡単だ」
鉄も近くに行ったとき声を掛けてくれた。
私は頷いてメガネを受け取る。
「つぎは昭和の人の多い通りと行こうか……。今までより新しめだ」
不機嫌に教頭が言った。
私はいよいよメガネをかける。
驚いた事にそこは別世界だった。
教室ではなくそこはもう昭和の町が広がっていた。
車から自転車、服装までがそれを感じさせた。
すると、今度は壁に映っているのだろうか、目の前に人が現れ動いている。
さっきまでは遠目に映っていたものが、今度はその場に立っているかのように立体的で遠近感がある。
「さあ、この中からだ。敵はすでに潜んでいる」
教頭の声が聞こえた。
そういえば、みんなの姿はメガネには映っていない。
よし、今は集中しよう!!
落ち着けば見えてくるはずだ……。
私は人々に目を凝らす。
アイスクリームを売っている叔母さんや紙で出来た飛行機を飛ばす子供たち。
三輪の車と自転車をこぐ郵便屋さん。
この自転車のこいでる人に学生。
しかし自転車は倒れ、ぶつかった学生は不自然に倒れた。
ん?右足をかばっているのかな?
前に人が横切り一瞬見えなかったが、見えた瞬間に学生は右のズボンのポケットになぜか手を突っ込んでいた。
何を取り出すかと思えば、何か黒いものが光る。
遠いのでよく見えないが明らかに怪しい……。
「はい!!分かりました」
私は手を挙げる。
画面が停止した。
「あのしゃがみ込んでる学生です。ポケットから拳銃か何か取り出そうとしてます。」
私がそう告げると
「せ、正解です」
少し驚いたように教頭が言った。
「ここまで見えたとは、こんなに細かいところまで!!普通じゃ見えませんよ……すごい観察力だ。さすがは噂だけ」
そう言われ、最後の言葉に疑問がわいた。
「噂?」
私がつぶやくと教頭は黙り、画面を元通りにした。
私はメガネを外し、達成感と疑問に満ちた。
でも、自分が敵を見破るなんて思ってもみなかった……!!
「さあ次は……」
その後も最後まで全員に順番が回ったが、驚いた事に私と鉄だけが敵を見破る事に成功した。
私は、教頭が何を隠しているのか知りたかったが、何も言わないので黙っておいた。
まあ大したことではないと言い聞かせた。
やっぱりこの学校なんか変だ!!
どうでしたか?
次は更新遅れるかもしれません。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
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