第八章
ついに謎が明らかになる!!
「今日行うことは、基本的な事。つまりタイムガードについて、この育成校について、基礎的な事を詳しく説明します。では、全員そろっている事ですし、さっそく学校の中へ入りましょうか」
男は、私たち6人に向かって言った。
「ちょっと待って下さいよ、後1人来るんじゃないですか?だって、僕の案内してくれた人が僕も合わせて7人って言ってました。でも、まだ6人しか集まっていません」
心は男に言った。
「その予定でしたね、ですが、その子は『タイムガードになるつもりもなければ、見学するつもりもない。』と言ってきた。私達とは、もう無関係であり、今日の参加生は6人。そういう事ですから、余計な質問はつつしんでもらいたいがね」
男は冷たい眼を向けた。
「君は、馬鹿か?あの男は、ここの教頭でありいつも不機嫌でくそ真面目な奴なんだ。その知りたがりな性格はひっこめた方がいいぞ、父上が言うには、この学校であいつに逆らったら罰が下るとかでな、嫌われたら命取りだそうだ」
賢は、小声で偉そうに心に言った。
「うるさいな、君こそその威張り口調に知ったかぶりやめてくれないかな?まず、性格だって悪いじゃないか、余計なことささやくなよ」
心は見かけによらず、そんな返事を返す。
賢は、少しションボリしつつ機嫌を損ねて、黙りこむ。
「さて、あの先に見える奥の大きなドアが見えますか?」
男は、愛想のない声で指をさす。
その先には、周りのドアより明らかに大きい赤いドアがあった。
「あれが、『タイムガード育成校』の出入り口です。今から、あそこを通りさっそく中へ入ります。遅れないようついてきなさい」
男は、そう言ってドアの方に歩いて行く。
「なんか俺、いやな予感がするんだよな」
ボソッと鉄が私に話しかける。
「なんで?」
「だってよ、あの男愛想悪いし、それにこの学校怪しげだろ?案内してきた奴だってサングラスかけてて怖い感じだったからな」
「やっぱり案内人ってサングラスなんだね」
「そうとは限らないかもしれないけど、どう見たって怪しげだよな。それに、タイムガードって一体何なんだよ。それをここまで来てもまだ、教えてくれないんだ。どう思う?」
「それは……、私もずっと気になってた。でも、中に入ったら教えてくれるんじゃないの?」
「俺は、まだ信頼してないんだ。用心深くしとかなきゃならないと思ってる」
そう賢が言った時、ドアの扉を男が開けた。
「さあ、こちらへ」
6人は言われたとおり中へ入る。
扉をくぐるとそこは、変わった部屋だった。
目の前に壁いっぱいのモニターがあり、そこにはズラッと年表が映っている。一行目には、『794年 11月2日 2:00 Aブロック5−2 A3』二行目には、『821年 9月18日 4:05 Dブロック2−8 s6』三行目には、『833年 1月07日 13:24 Bブロック g1』と意味の分からないもので、その中には、突然消えてしまう年代もあった。それは、軽く100を超える数の年代だ。
「さあ、全員入ってきたかい?」
男は、モニターの前に立った。
6人は、訳も分からずモニターを見つめていた。
「さて、そこにある椅子に座ってください」
私たちは、黙って座る。
「君たちは、まだ聞かされていないでしょうから、タイムガードについて、私が今から話すことをよく聞きなさい」
私たちは、みな男に注目していた。
「70年前に不可能とされてきたマシーンがあるフランスの偉大な男によって、発明された。そのマシーンは、男が何年も時間をかけ、人に何言われようが汗水たらし作り上げた驚くべきものだ。出来たばかりのマシーンは男を乗せ想像のつかない所へと連れて行く。男がそこで見たものは、信じられないような風景と生き物たち。絶滅しこの世に存在しなくなった恐竜が生息し、火山や平地だらけのひとけのない所。夢がかなった。男はついに時空をつかみ、時をさかのぼる『タイムマシーン』を自分の手で作り上げたのだ。男は飛ぶように喜んだ後、それをたった一人信じてくれていた科学者に完成したと告げた」
「科学者は、ともに喜んでくれたがその次の日にある事実に気づいた。科学者は、男にそれを告げた。『すべての事を考えると時空を超えるのは大変危険だ。足跡1つ、息1つ吐くだけでその時代に存在しなかったはずの生き物がいたことになり、空気に少し変化が起きたとする。すると、たったそれだけで空気中に違う生命が誕生したり、また足で踏んだかもしれん生き物が死に、ある生き物たちは生まれてこなかった事になる。こんな事はけして許されない事でやはり危険だよ。この世に矛盾が起きて時空の流れがおかしくなり、流れのルートは変わる』そう科学者は、説明した」
「男は、それは仕方がないことだと考えてマシーンを放置しようとしたが思いとどまる。自分は、過去に飛んでしまった人間であり、時空を超えて現在を変えてしまった責任がある。たった3分しかとどまらなかったが、やはり歩いたことや息したことや他の生物に見られてしまったことは、間違いないだろうから、その瞬間から流れは変わったに違いない。これをどうにかしなくてはと考えに考えた。例え身の回りに変化が起きていないにしても元通りにしなくては、これから状況が変わる可能性もあるのだ。そう考えた男は、まずそんな装置を作ることに決めた。足跡を消し、自分がいた形跡を残さないそんな装置だ」
「問題点はいくつかある。雲をつかむようないや、それ以上に危険で不可能に近いことだ。何人もの科学者の協力の下で20年近くたったころついに、完成した。その装置は全てを元通りにすることができ、細かく作られていた。こうして、ある男によって人が自由に時空を超えることが出来たとされている。ただし、未来に行くことは許されてはいない。未来に行けば、その者は死んでしまうとされている。その理由は、同じ人物が同じ時間に2人いるということは矛盾しているからだ。この世に矛盾が生じるとその数だけの物が消える。これは、タイムマシーンを利用するに当たり最も気をつけなければならない」
「こうして生まれたタイムマシーンは、科学者たちの手にふれた。一般公開もされる予定だったのだ・・・・。しかし、事は起こった。ある殺意に満ちた男は、時空をめちゃくちゃにして、この世を変えてやろうと考えてしまった。自殺を考えて憎しみに満ち足りていたせいか、ある日事件を起こす。過去の偉大な人たちを殺そうと斧を持って暴れまわった。人や生き物を殺すことは、何よりも許されない。それは、今もなおのことだ。その時は、無事に何十人ばかりで押さえつけることが出来た」
「しかし、そんな事件が起きてからはその男をまねて、時空犯罪組織を作り、団結して事件を起こす者たちが生まれた。そいつらが暴れまわることは日々活発になっていた。そこで、国際政府は一般公開を認めずに禁止すると、その組織を押しとどめるために『タイムガード』という時空犯罪組織から未来・現在を守る、最も優れた組織を作った。たくさんの危険と重要な役割を果たすため、選ばれた人材の者しか入ることができず、そのため専門の学校を作り育成校を国に1校ずつ建てた。自分の国は、自分で守る。そう固く決意して国際政府は動いたのだ」
「そうだ、ここにいる君たちは、そんな役割を果たすためここにいるのである。しかし、大変危険なことであり、ご両親がなかなか引き渡してくださらない事が多い。君たちを今日ここに招待したのも最終的に決めてほしいからだ。しかし、未来とこの世の中のたくさんの生き物の命がかかっている。私達の組織はそのため、複雑に作られている」
ここまで話すと男は、私達の反応を窺がう。
私は正直信じられない気持ちでいっぱいだった。
「ちょっと待って下さい。俺は、いまいち信じられないのですが、タイムマシーンをこの目で確かめることってできませんかね?」
鉄はまだ、ここの学校について信じ切れていないらしい。
「私の説明では、君の信頼を受けることはできませんでしたか?」
男は鉄を睨みつける。
「俺は、用心深くてね。なかなか言ってることが真実に聞こえないんですよ。それにまだ、お名前も伺ってませんけど」
「私はこの学校で教頭と呼ばれるので、名前をわざわざ理解力のない子に申す必要はないと思ってる。今まで話した説明が不足なら実際に確かめることは今からできる。その予定でもあるしな。だが、ある程度話しておかなくては先には進めない」
教頭は、それ以上は相手にしたくないといった口調と態度を示して、また話し続ける。
「このモニターに映っているのは、現在のタイムガード組織の行動位置だ。年代、月、時刻、場所、メンバーの順で映されている。それが今縦にズラッと並んでいる。これが消えた時は任務終了ということだ。場所は、都道府県をブロック事にわけ、数字で細かい位置などを示す。タイムガード組織は基本的に3つの部隊がある。1つは、タイムガード隊。この部隊は、武器を持ちガードとして戦う戦闘組織。このモニターに映されているのが部隊の行動位置。そして、もう1つが時空クリーン隊。タイムガード隊が行った戦闘をその時代ではなかった事にする、つまり消去部隊ともいえる。その時代の人が、見てしまったことも記憶取り消しして元通りにする裏部隊だ。そして最後の1つが時空取締りタイムスパイ。時空犯罪組織を捕まえる特別な部隊でタイムガード隊とは違いスパイになったり遠くから回り込んで敵を追い詰める部隊だ。この3つの部隊が動き国を守る。タイムガードとは重要な秘密組織ということだ」
「それで?僕たちはその3つのうちどの部隊に入るんですか?」
心は我慢の限界らしい。
賢は心が割り込んだ事に腹を立て睨む。
「それは、1年間で教員たちが話し合って決める。1年生としていろんな事を学び実験する。その時にいかにこの3つの部隊のどれか1つにふさわしいかを判断して決定したら。、2年生では部隊に沿った専門的事を学ぶ」
教頭は心を見もせずに答え、続ける。
「任された任務を遂行する事がポイントだ。責任感はもちろんの事正義感と賢さを持ち行動すること、これが組織にふさわしい。さて、次は、実際に見に行きましょう。あなた方全員にしっかりと見て信じてもらうためにも」
鉄をちらっと見てから教頭は、全員に立つよう合図する。
「まずは、1年の教室から順序よく見ていきます」
左端にあるトンネルの通路を私たちは教頭の後に続き入る。
「信じられないよ、タイムマシーンだってさ。僕はこういうの夢見てたんだ。自分に関係してた事なんて知らなかったよ。時空を超えるってすごい事だよね!!」
心は私に小声でささやく。
「でも、まだ本当かは分からないな。俺は見なきゃ信じない」
鉄はまだ頑固に信じないつもりらしい。
「ぼ、ぼく、は……やっぱり本当の事だと思いますよ」
匠は、眼鏡をクイクイ上げながら自信なさげだ。
トンネルの通路を渡るとエスカレーターが再び現れる。
「ここはエスカレーターが多いな。さすがは国に1校しかない学校だけある。相当金かけてるんだろうな」
威張りくさって賢が言ったが、ほぼ無視された。
エスカレータで上まで行くと長い廊下が現れた。
「右にありますのが、1年の教室ですよ。今日は見学ということですので中へ入ることができます」
教頭は青いドアを開けた。
中に入ると3人の生徒だけが椅子に座り、机に分厚い本をのせて授業を受けていた。
壁にはたくさんの年表が貼られてあり、黒板はなく、その代り大きな大画面のスクリーンがあった。
先生らしき若い男がスクリーンと生徒を交互に見ながら説明している。
「このようにして、日本は終戦を遂げた。しかし、未だに問題点はたくさんある。さて、ここまで大体は分かったか?」
この授業は私たちが社会科で受けている事と変わらないようだ。
しかし……、
「では、この時代を狙う犯罪者達のポイントとして考えて行くと、やはり天皇をターゲットにする場合が多い」
とこんな感じで意味不明な説明が入り込んできた。
「このように、1年生では、歴史をみっちり習う。それぞれの時代に犯罪者が狙うパターンのポイントをつかんだり、時代の特徴、服装、習慣やしゃべり口調まで普通習わないことを学ぶ。なぜなら、その時代の人になり済まさなければならないからだ。その辺の事は1年のうちに頭に入れて置くのが第一歩となる」
教頭は小声で説明した。
「そんなに全ての事が頭に入るとは思えませんが」
と無口の真妃が囁く。
「大丈夫ですよ。わざわざ心配には及ばない。我が校はちゃんと指導していますから」
教頭は苛立ち始める。
「さあ、次の教室へ行きましょうか。時間がないことだしな」
時計をちらっと見た後私たちも教頭の後に続いた。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
更新遅れてすいません。
今回は割と重要な話でした。
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