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第十七章

私たちは砂浜の上に立っている……かのように思わせた。


3Dメガネスペシャル版は、壁に限らず全てに映し出されている。


というより本当に砂浜にいるようだった。


「すごいな!」


鉄が声を上げた。


「ま、まるで、ほ、本当に、砂浜に、た、立っているかの、よ、ようです」


匠も興奮する。


「これは2年生用なんだ。ここはただの砂浜で設定さえすれば、音だって出る」


大山さんが何かボタンを押すとカモメの鳴き声と波の音が聞こえた。


「リアルだな」


と賢。


「それで、何をするんですか?」


私が質問すると大山さんは毎回のように笑う。


「まあまあ、慌てずに」


大山さんはそう言っていきなりスッと姿を消した。


「何をするつもり?」


真妃は不安そうに聞く。


「これを使ってもらうぞ」


また姿を現した大山さんは、私たちに銃のような物を投げ渡す。


「それは銃だ。ここの部屋用であり、撃つだけで弾が見える。しかし、本物ではないから間違って打っても危険性はない」


「こういうのって1度でいいからやってみたかったんだ!」


鉄は興奮しながら銃をクルクル回した。


「撃ってみてもいいの?」


心も同じように楽しそうだ。


「そんなに僕の言ってる事が信じられないのか? まあいいやってみれば分かるさ」


大山さんが言い終わるか言い終わらないかのうちに心は賢に銃を向けてにやける。


「おい! 冗談でもそれだけはしないでくれ」


賢が慌てて叫ぶ。


「冗談だよ、ハハハ」


心は笑って地面に発砲した。


『バン』と音が鳴り響いた。


「すっげぇぇ!」


またも鉄は声を上げる。


「少し怖い……」


真妃は銃を見て嫌そうにため息をついた。


「大丈夫使い方次第だが……」


大山さんは心をチラッと見てから、私たち全員を見渡した。


「タイムガードは、様々な武器を使うんだが中でも銃はよく使用される。映画なんかで見たことのある銃撃戦だって多々あるからな。それに時空犯罪組織の武器もただの棒ではない事は確かだ。だから、銃は貴重品だぞ。自分と仲間と敵のターゲットの身を守る重要な役目を果たすんだ」


私は銃をもっと観察しようと試みた。


思ったより少し重みがあって、つい構えてみたくなるほどかっこよく見えた。


「銃の種類も様々だ。しかし、今回は一番簡単なものを使う」


「早く実践実践!」


鉄は待ちきれないようだ。


「落ちつけよ、餌を欲しがる猿じゃあるまいし」


賢は鉄を一発殴る。


「まあまあ説明はまだ終わってない」


大山さんは笑顔で続ける。


「今から2チームにわかれてもらおう。そして1チームに1人、代表を決めてくれ」


「分かった! 銃撃戦だ」


心が嬉しそうに言った。


「まあそうなんだが……ルールとしては、代表が3回撃たれたら負けだ。それを阻止するのが他の2人」


「じゃあ、つまり3人ずつにわかれて代表を決めるってことか」


と鉄。


「そしてその代表を残りの2人が守る」


真妃も不安そうに言う。


「その通り、そして敵の代表を狙い撃つ! さっきも言ったとおり代表者が3回撃たれたら負け、逆に3回敵の代表者を撃ってしまえば勝ち」


大山さんはいつの間にか手に棒を6本持っていた。


「くじ引きでチームを決めるぞ」


私たちは一本選ぶと一斉に引いた。


「棒に色が付いてるだろ?」


大山さんが言うと


「お、俺赤!」


と鉄が叫ぶ。


「僕も赤かぁ」


賢はいやそうだ。


「僕は青だ」


と心。


「私は赤」


真妃は冷静に呟く。


「ぼ、僕は、あ、青です」


匠は少し不安そうだ。


そして私はもちろん


「えっと青」


ということで、チーム決定!


赤チーム……鉄、賢、真妃


青チーム……心、匠、自分


「さあさあ、チームも決まったし5分間は作戦タイムにしよう」


大山さんは手をたたく。


私は早速不安ながらも心と匠の元へ。


「代表誰にする?」


心が聞く。


「う〜ん集中的に攻められるって事だよね?」


私は代表になるのだけは避けたい。


「え〜、ぼ、僕の案ですが……や、やっぱり、み、みゆさんがいいのでは?」


匠の発言に私は戸惑う。


「え? え! ええ、なんで?」


「なんでって、君は集中力と観察力は優れてるじゃないか」


心は当然だとばかりに頷く。


「いやいや、そんな力全く」


私が否定している事が聞こえていないかのように2人は互いに頷き合っている。


「あ、あなたは、き、きっと弾に、あ、当たらずに避けて、く、くれると思うんです」


「そうだよ君ならできる!」


2人は私を追い詰め始める。


「だから、その……それは反射神経の問題であって、避けるとかそんな責任重大な事を」


私は顔が青ざめていくのを自分ながら感じた。


「よし、時間がないので作戦タイム」


心は、はりきっているのか声を上げた。


「ぼ、僕の、よ、予想では、あ、ありますが、あちらは、て、鉄君が代表では、な、ないかと」


匠はあちらのチームをちらりと見てから囁いた。


「同感だよ。確かに鉄君は運動神経抜群だもんね」


と心。


私は尚更焦る。


鉄が相手じゃ状況悪化だ……。


こんな責任あることしたくない。


「よし、みゆちゃんは鉄君を狙って」


心はいきなり指示を出す。


「え? なんで?」


「なんでって、簡単でしょ? 鉄君に集中してちゃ君を守れないし」


「そ、そうですよ、こ、ここは、きょ、協力し合い、ぼ、僕らは守備、みゆさんは攻撃で」


私は気分が悪くなってきそうだった。


「でも、攻撃に集中してたら狙われて……」


「そこは僕らが阻止する」


「そ、そうですよ、そ、それに素早く、よ、避けられると思いますよ、みゆさんならね」


私はもうやるしかないと認めた。


「おお! お互いに作戦は練れたか? 5分たった集まって」


大山さんの呼びかけが少し気を重くさせた。


「さてと……代表者は誰かな?」


「俺だ」


「私です」


鉄と私は同時に手を挙げた。


「お、お前かよ!」


鉄は意外に驚いていた。


「う、うん」


私たちのチームは最初から鉄がなるであろうと予測していたので、驚きはしなかった。


「おお、君たちか! せいぜい頑張ってくれたまえよ」


大山さんはかなりどうでもよさそうだ。


「ルールはもう一度言うが、敵チームより先に相手の代表者を3回狙い打てば勝ち。ここまでは全員いいよな」


私たちは頷く。


「では戦場を変えるとしようか」


大山さんは、またどこからかスイッチを押した。


『ウィーンガガガガガ』という音で砂浜の砂が地面に吸い込まれ、コンクリートの壁が所々現れた。


「ここなら身を隠せるし、やりやすいだろう」


大山さんは満足げに頷く。


「なんかテンション上がるなぁ」


鉄はかなり嬉しそうである。


「じゃあ、早速始めようか……」


大山さんは私たちを見渡した。


勢いよく頷く者もいれば、嫌そうな者もいた。


「では、青チームから陣地を決めさせてもらうよ」


「え! 陣地ですか?」


と真妃。


「ああ、最初は自分たちの陣地からスタートするんだ。言い忘れてたか……ごめんごめん」


大山さんは少し笑うと私たちを陣地へと導いた。


「ここが君たちの陣地! インパクトがない場所だが、それなりに頑張ってくれよ」


そう言って大山さんは、私たちの前からいなくなった。


今度は赤チームを敵陣地に案内してくるらしい。


「へえ〜、見学会でまさかこんな事やらされるとはね」


心はやる気満々だ。


「タ、タイムガードって、も、ものすごく、た、大変、な、なんでしょうね」


匠は緊張しているらしい。


私はかなり不安で顔がどんどん青ざめてきていた。


言葉を発する元気がない。


「ところで、どうする? あっちが攻めてくるのを待つのか、それともこっちから攻めるのか」


と心。


「そ、そうですね。たしかに、こ、この、ば、場所は、全部で、3ヶ所、で、出入り口があります。そ、そこの、どこから、て、敵がやってくるのかは、せ、正確には判断できませんし、な、何より、み、みゆさんが簡単に、ね、狙われてしまいます。し、しかし、こちらから、せ、攻めるにしても……それは、そ、それであちらが、ゆ、有利になる、か、可能性があります」


匠は難しいとばかりの顔をした。


「でも攻めた方がいいんじゃないかな?」


心はその気だった。


「い、いえ、鉄君なら、か、必ず、攻めてくるはずです」


「どうして?」


「ぼ、僕の計算、といいますか、よ、予感ですが、て、鉄君は、し、心君と、お、同じように、必ず攻めたがるはずです。だと、すると……」


「じゃあ隠れておけばいいんじゃないの?」


「そ、それでは自由に、う、動けませんので、ふ、不利だと思いますが」


「じゃあどうしろっていうのさ」


匠は心に問われ少し考えると


「で、ではこうしましょう」


私たちに小声で作戦をはなした。



「準備できた? 笛鳴らしたらスタートだからな」


大山さんの声が聞こえた。


私たちは緊張しつつ銃を握り締めた。


『ピー』


笛の音と同時に心は急いで壁に背中をくっつけ、匠は私の真ん前に立つ。


私はただ前だけをみつめた。


1分ぐらい沈黙があったが、いきなり3ヶ所の出入り口すべてから足音が聞こえた。


「きますね」


匠が小声で言った時、左右から賢と真妃が現れた。


「鉄君は正面です!」


匠は心に叫んだ。


私は匠に銃を手渡し、しゃがむ。


匠は左右、銃を構えて賢と真妃に一発づつ発砲した。


2人とも腹に当たり、1mほど後ろに吹っ飛んだ。


心の方は鉄に発砲しているが、鉄は軽々避けている。


「そんなんじゃ勝てねえぜ。くらえ」


鉄は心の頭に発砲。


心も頭から吹っ飛ぶ。


「みゆさん銃を……」


匠は私に銃を手渡した。


「こちらも負ける気はありません」


匠は鉄に向って言ったが、立ちあがった賢が匠を撃った。


匠は吹っ飛んだが、素早く鉄に銃を向け発砲。


鉄はスレスレで避け、私に銃を向けるが、立ち上がった心が鉄の足を引っ張った。


私はその瞬間に場所を移動し、撃ちやすい位置につく。


真妃は心に発砲し、鉄は勢いよく立ちあがる。


私は鉄に銃を向けたが、真妃は私を撃った。


私はその時、弾が自分の目の前に来るのをスローのように見たような気がした。


体が軽くスッと動きそれを避けた。


そして真妃の肩を撃つ。


真妃は吹っ飛び、心と鉄が撃ち合っている所へ倒れた。


賢と匠も撃ち合い、賢は隙をみて匠の腹に発砲。


私はその隙に右側にあった通路に出て、退避した。


危険な行動に出たが、作戦など立てても無駄であったことが分かった今、こうするしかない。


私は息を荒げ、少ししゃがみこんだ。


「君を3回撃てば勝ちなんだよね」


賢は私の方に銃を向けて立っている。


賢は発砲したが、弾は私をそれた。


私は素早く賢を撃つ。


賢は吹っ飛んだが、すぐに体勢をとった。


が、私もちゃんとそれを判断し、急いで逃げた。


賢が追ってくるのは感じていた。


私はある程度逃げると賢が来るはずの通路に銃を向ける。


その瞬間だった。


『パン』という音で私は背中に痛みを感じ、いつの間にか宙を浮いて地面に倒れた。


「1発目!」


鉄だった。


そして鉄が2発目を発砲しようとしたとき、私はクルッと鉄に向けて狙い撃つ。


鉄は避けきれず吹っ飛んだ。


「こっちも1発!」


私は叫ぶ。


鉄が悔しそうに銃をこちらに向けたが、心と賢が後ろから走ってきて、私たちに銃を向けた。


私は賢の弾を避け、鉄は転がって心の弾を避けた。


「くっそぉ!!」


互いに1発は撃たれてしまった。


鉄は悔しいながら声をあげていた。


「逃げてください!」


そこへ匠が現れ、賢に発砲。


私はまた走った。


しかし、そううまくはいかず、真妃が目の前に現れる。


私は撃ったが、真妃はしゃがんで避けた。


「悪いけど……」


真妃は私に銃を向けた。


避けきれない!


体勢が崩れていたため、私はそう思い目をつぶったが、心が私の前にきて私をかばい吹っ飛んだ。


「ごめん」


私は心にそう言って真妃をもう一度撃った。


真妃も吹っ飛ぶ。


「俺に任せろぉぉぉぉぉ!!!!!」


今度は鉄が銃を向けてきた。


慌てて、私は鉄に銃を向ける。


互いに撃ったが互いに避けた。


全員が息を荒げているのが分かった。


私は心の銃を借りて、鉄に連射したが、鉄はかなり運動神経がよく全てを避けきった。


「みゆさん! 後ろです!」


匠に声が聞こえたとき、私は腕に痛みを感じ吹っ飛んだ。


どうやら賢のようだ。


しまった……あと1回当たればこちらの負けだ。


そう思うともう不安も無くなり、ただ焦りだけで体に力が入った。


私はその後の3発の弾を全て避けて、走った。


このゲームもかなり手こずりそうである。









更新少しおそくなりすいません。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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