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ショクジ


「腹減った。」


革手袋を、噛みながら頭の中では、食事の風景を思い浮かべる。


テーブルクロスが敷かれた茶色の丸い机の上に、美味しそうな料理が鎮座する。


しかし目の前の、血のスープは気色悪くて食べられるわけがない。


見るだけで、レンはめまいがした。


噛み続けた手袋は、唾液で汚れている。


しかし、今やそんな事は気にならなかった。


何か、食べたい。


その思いのみ、膨らんでいく。


「ヴヴヴヴヴ………」


うなり始める体。


限界が来ていた。


水も、食事も一切取らず、数時間。


体は、もう悲鳴を上げている。


(何か、くわねぇと。体がモタねぇ。)







外____


「痛い、痛い………」


痛がるミオウ、見ているだけで辛かった。


僕は、_____ライトは、ミオウを敵から守る、それだけしか出来ない。


「ミオウ、大丈夫?ミオウ、病気?」


俯いていたミオウが、すぅーと顔を上げた。


蒼白となった肌は、不気味に感じる。


「ミオウ、大丈夫?」


襲ってきた敵を、足で払いながらミオウを見守る。


ミオウの金色に近い髪の毛はストレスからか白く、濁った色になってしまった。


(こんなの、ミオウじゃない………)


「ミオウ、ミオウ、大丈夫だよ。レンは、生きて帰ってくるから。」


綺麗事ばかり並べた言葉は、自分で聞いていて最悪だと思う。


なんの、励ましにもならないのに……


「ミオウ、大丈夫だから!元気出して!」


けれど、他に何を言えばいいんだ!?


ネガティブな言葉を発し、ミオウをまた苦しめるのか?


そんなの、できるわけない!


(レン、お願いだよ!

早く、あいつを倒してくれ!ミオウを、"救う"ために……)


ライトは、心の中で叫んだ。


(ミオウを、救ってくれ!)






レンは、意識が遠のいていくのを感じ取った。


体の、体温がドッと下がり、足が冷たくなる。


(俺、死ぬんだ……)






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