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ニセモノノヒメ


シュルッと、アイツが姿を見せた。


ニマァ、と口が三日月の形になる。


なめられてる。


右手を、スッと出し、手招きまでしている。


クソォ………


レンは、体勢を低くした。


「ヒヒヒヒ」


不気味な笑い声が、耳に飛び込んでくる。


ムカつく………



ギュッと探をひき、矢を放つ。



ビヨンと、探が動き、レンの頬にパチンと当たった。



ヒュッ、と音を立て空気を切り、矢がアイツに向かった行った。


ズブゥ…………肉に矢が食い込む音がした。


「やった!」


レンは、咄嗟に叫んだ。


しかし、その喜びはあっという間に掻き消された。


『アイツには』当たっていなかった。


アイツの心臓を狙った、が、アイツは『盾』を持ってた。


レンの矢は、アイツの『盾』の中心にブスリと刺さっていた。


レンは、チッと短く舌打ちをしつつ、目を盾にやった。


(嘘だろ………)


放った矢は、盾ではなく、人間の頭部に刺さっていた。


ブシュウ、と血飛沫が上がり、目の前が真紅に染まった。


肉に矢が食い込む光景は、見たいものではない。


吐き気がレンを襲ってきた。


「ゔっ……」


みるみる、レンの顔は真っ青になっていった。


疲れもあってか、胃から何かが込み上がってくる。


「いいいいいい……」



*********************************




ミオウ達は、ずっと外で待機していた。


レンが、アイツを倒してくれるんだ。


ライトが、スゥッとミオウの腕の中から知らぬ間に、抜け出した。


そして、目を見開き叫んだ。


「ミオウ!危ないっ」


ミオウは、反射的に体を前に倒した。


その数秒後。


頭上を槍が飛んで行った。


鋭利な刃物がついた槍。


もう、少しでミオウの頭に当たっていた。


ヒィッとミオウは短く叫んだ。


サッと頭を抑え、ギロギロと辺りを見渡した。


「あああああああああああああああ」


恐怖で、声が止まらなくなっていた。


目が、カッと開き、痛みが走る。




ライトは、ミオウの異変に気が付き、サッと近付く。


「ミオウ、大丈夫?僕がいるよ?」


パクリとミオウの指に噛み付くが、サッと払われてしまった。



「ああああああああああああああああ」


壊れた機械の音のような声が響く。


声が掠れてゆき、次第に苦しくなってきた。


呼吸が荒くなる。


目が充血してくる。



ライトは、どう対処すれば良いのか分からなかった。


ミオウの、ストレスが爆発してしまった、そうライトは考えた。


ミオウの爆弾に、レンがいないという火が着火してしまった、だろうか。


ライトは、ズズッと後ずさりした。


怖い………ミオウが怖い。


どうかしてしまったミオウが怖い。


自分では、手がつけられないミオウが怖い。


「「「「ミ"オヴ!!!」」」」


ライトは、ミオウを元の世界に戻そうと叫んだ。


帰ってきてくれよ………


お前は、ミオウの皮を被った偽物だろう!!???




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