鬼停止術を使う赤髪の男参上!
「問題2 ZYKANHMAEMTSH この英語の意味するものは?何が抜けてる?簡単ですね。この問題は、脱出口の鍵になります。一人一つのドアです」
画面に表示された英語の文字。なんだ、これ。特に法則も見られない。
「ゼット・・・ワイ・・・」
「ゼット・・・ワイ・・・カ?」
2人の頭の中は、記号だらけで埋もれていた。
『あれぇ?わかんないんですかぁ?このままでは、炎で死んじゃいますよ!?』
アナウンスから、笑い声が聞こえてくる。苛立ちながら凛花は問題を考えていく。
「逆からは、ハシツメ?違うかぁ」
思いついたとき方は、違いうなだれる。危機感のせいか、何も答えが浮かばなくなってきた。
『炎威力アップ!』
支配人が、スピーカーの向こうでレバーを押し上げる絵が浮かぶ。
また、焦りながら問題を解読していった。その時、ミミは片手で鍵を外し腕を解放させた。
「ジ・・・ヤ?違う!」
まだ凜花にはわからない。惜しいところまで来ているのだが。まだ駄目か。
「凛花さん、解りました!これで私のドアが・・・」
カチャン!
ミミの脱出ゲートが音を立てて開いていく。今、飛び出そうか・・・
「うーん?うーん?何だよこれ?このままじゃ、死んじゃう!」
このままでは、凛花が死んじゃう。でも、でもデモでも・・・でも!
見兼ねたミミが、ヒントを出す。
「凛花さん!小学校の高学年の最初の・・・」
しかし、パニック状態の凛花にはもう何も考えられない。
「最初は、何したっけ?覚えてないよぉ~」
我慢できず、ミミは、戻ってきた。飛び出していれば、命は助かったかもしれない。
「凛花さん・・・私が外します。」
___カチャン
「凛花さん。開きましたよ。ドア」
ミミは外した手錠を床に置きながら、凛花にドアの存在を伝えた。
「ミミ!ありがとう」
凛花は頭を下げ、ドアに向かって歩き始めた。凛花の考えは、甘かったかもしれない。いや、甘すぎた。このゲームをなめすぎていたのだ。
「あっ!」
キーーン!という音がしてミミは振り返る。凛花は脱出ゲートの前で振り返った。
「ミミ?どうした?」
「炎に鍵を落としてしまいました。凛花さん。時間がありません。先に出てください」
凛花はそんなことか、とつぶやき「早く出よう!」と誘う。が、ミミはカギを探し続けていた。
「ならさ、一緒に探すよ」
「大丈夫です。一人で探しますので先に」
ミミはキッパりと言い放ち、床を手で触り探し続けていた。
「うん」
凛花は、ミミの言葉を信じ、ドアを開けて外に出た。残り時間のタイマーが置いてあり、時間は・・・
「37秒!?」
凛花は、くるりと振り返りドアを叩く。早く出てきてよ。ミミ・・・
「ミミ!時間がない!」
「凛花さん。どうやら、この部屋からは1人しか出られないようです」
「ミミ!?」
「1人1つのドアとは、2人分のドアがあるわけではなく、最初から1人だけが助かるゲームだったようです。凛花さん。仲間は、他にもいるはずです。探してください」
ミミの声が小さくなっていく。扉が熱く、簡単には近づけない。
「ミミ!」
「ゲホッ!もう駄目だ。凛花さん、お世話になりました」
ミミが床に崩れ落ちる音がした。その瞬間、最悪の出来事が頭に浮かぶ。凛花はドアをたたき続けた。
「お世話になったのは、私!いやだ、ミミがいないと寂しいよ!」
「・・・りんか、さん、どぉあかぁr、はぁなぁれて_____」
ボォォォォン!
凄まじい爆音と熱風が廊下まで流れてきた。ドアに近づくと、熱風に押し返されてしまう。(いやだ、嫌だ、嫌だ)
「ミミ!ミミ!ミミ!」
上手く話せない。かすれた声だけが虚しく響く。もう、誰も失いたくない!お願い、助けて!____________________
「お前、顔色悪いが大丈夫?」
いきなり背後から声がした。凛花の体はその男の影に隠されていた。
「えっ?」
突然の事に頭の整理が追いつかない。私達の、他に…………誰かいたの?
プレイヤー?待って、どういう事?
「俺は、新人だ」
?シ・・・ンジ・・・ン?
「でも、新しい人は捕まってるんでは?冗談でしょう?あなたはプレイヤーですよね?」
その男は、得意げに「逃げてきた」と、そう、一言言った。
「!?」
謎の男は、勝手に自己紹介を始めた。まったく、聞いていないのだが。
「俺は、市村紅。ヨロシク。俺も、このゲームのプレイヤーだ」
「それは、分かります。この世界にいる人、みんなプレイヤーですから。まぁ、違うかもしれませんが」
フーンと紅は、口を歪める。
「お前、誰だ」
紅は凛花の顔を覗き込む。赤い目玉がギョロリと動く。
「私!?中藤凛花です」
すると、凛花には関心がないようで、フッと息を漏らした。失礼ね!
「お前、能力は?」
諦めたような、言い方で聞いてきた。いやぁ、まぁ名前は普通でしょうけど。後、私は一般人!
「ありません。一般人です」
「はぁーつまんねえ。なんか能力あればいいのによぉ~!」
「ん?待って。新人があんただとすると、このゲーム終わりになる・・・紅、お前、何してんだよ。お前のせいでミミは、死んだじゃねーか!お前を助けるためだぞ!」
「勝手に助けに来たんだろ?」
「プレイヤーが多いほど、ゲームが有利になるって!」
「ハッ!お前らバカだなぁ。あんなの嘘に決まっテッダロ!どうせ、お前らを殺すサイコーの口実じゃねーか!」
「酷い。酷い。人間の命をなんだと思ってんだよ!自分たちが楽しむための使い切りのオモチャかよ」
ミミ……言ってたよね?颯斗みたいに.簡単には散らないって。約束したよね?
目から涙があふれていく。
「チッ、泣くな。弱虫・泣き虫は大嫌い」
「知らない!あんたと行動する気もない」
「一般人、だよな?鬼から逃げ惑うだけの」
「うぅぅぅぅぅぅぅ」
「んじゃ、この建物から出るか。」
「お前ぇぇぇ!」
凛花は、紅に八つ当たりをした。ミミの死の悲しみを、紅にぶつけようとしていた……
「お前より、俺年上なんですけど?お前、じゃなくて「お兄ちゃん」ね」
「脳内年齢は、凛花が勝ってる!」
フンッと鼻から空気を吐き出す。
「脳内年齢が上っつーことは、老けてるってことじゃねーの?」
刀をカチャリと鳴らしながら、紅は凛花に顔を近づけた。
「老けてないもん!」
『はーい!では、これから通常コースに戻って下さい!』
また、鬼とのゲームが始まるんだ____
ゴコッ、と音がして床に大きな穴が現れた。仕掛け付きの建物だったんだ!
「なっ!」
紅は体制を変え、穴に落下していった。凛花も紅の後に続いて落下していく。
「あ・・・・」
紅は凛花を見て、小さくつぶやいたが黙っておくことに。こりゃ、秘密にしとかないと殺される。
ズコゴゴゴゴ
大きな穴に体が吸い込まれて行く____光は、やがて小さくなり暗闇の中を2人は落ちて行った。
日付が変わった………気が付くと、道路に立っていた。一体、どこから戻ったかもわからない。ここに通じる通路なんて、果たして存在していたのかすら怪しい。
ドスン、ドスン
足音がする。もう、耳に残っている。鬼の足音。悪魔の足音。
「鬼だ!鬼が来てる!
急げ!もう、50メートルしか離れてないとこにいる!」
なぜ、新人プレイヤーが鬼を知っているのか不思議だが、おいておこう。
きっと、経験者____
「そんな!」
「よし!お前は、そこの角で待っとけ。」
紅は、凛花を角に移動させると、ニタリと笑った。そして道路の真ん中で刀を抜き、鬼を待つ。
「んな?喰われたいの!?」
凛花は紅に向かって叫ぶ。鬼に喰われる恐怖を知らないから、鬼を切るとかとかとか__
ピタッ
鬼が止まった。大きな建造物かのように、その場に止まっている。
「よし!逃げるぞ!ヤバイ!」
「なんで、逃げるの?」
「俺が鬼を止められるのは、15秒だ」
凛花が、ひょこっと出てきて訴える。
「もっと、止められないの?」
「俺の能力は限界だ!もう少し、修行・・・」
「まさか、サボったわけ?」
マジで、呆れる……