表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/204

地獄変START


嫌な匂いが、鼻を突く。


顔を歪め、匂いの元を探した。


「颯斗、臭くない?」


凛花は、颯斗に向かって話しかけた。


こうして、颯斗の位置を探ろうとしたが………


しーーーーん


全くと言っていいほど、反応はなかった。


着地の瞬間に、吹っ飛んだのかな。


「颯斗!いるの?いるなら、返事くらいしろ!」


返事くらいしろ、返事くらいしろ、返事くらいしろ………


暗い、世界に凛花の声がこだまする。


颯斗は、一体どこへ?


足を動かし、人影を探す。


誰もいない………


だんだん、心細くなってくる。


悲しくなってくる。


涙がこみ上げ、眼からこぼれ出した。


「はやとぉう!どこにいるのぉ!」


いつもの自分は、どこへやら。


ボロボロ大粒の涙をこぼし、歩き続ける。


長い、長い道を進んで、進んで。


何もない。


何も見えない。


今まで、誰かに囲まれてきた凛花にとって、


地獄より、恐ろしく、怖かった。


光一つなく、暗黒の世界。


何もない。


何も見えない。


辛い、ゲーム中も、怖かった。


けれども、


仲間がいた。


終わりがあった。


未来が見えた。


_______今は違う。


仲間はいない。


終わりもない。


何も見えない。


ここは、地獄。


イメージとは、違った。


炎が、あちこちで上がり、鬼が叫び_______必ず、誰かがいた。


なんだよ、おかしいだろ。


「助けてよぉ~!はやどぅ!颯斗!」


フワッと、体が浮いた。


颯斗だった。


また、助けを求め、助けられてしまった。


結局、1人では生きることができない。


群れにいないと、生きていけない。


_______自分で、生きていく力がない。


また、思い知らされた。


「颯斗、私は、助けられてばっかり。駄目だよね……」


凛花は、涙を拭きながら、つぶやいた。


「助けられることの、どこが悪い?」


えっ?


どういうこと?


「助けられてばかりの、どこが悪いんだよ!」


颯斗は、無意識のうちに叫んでいた。


「だって、だって……」


「そいつに、力があるから、助けるんじゃないかな?」


「へ?」


力があるから、助ける?


「俺、多分、ソイツに力がないと思えば、見捨てると思う。」


「見捨てる……」


「力が、あるって分かってるから、

その力を伸ばそうと、思って助けてあげるんだと思う。」


涙は、もう、止まっていた。


「俺、馬鹿だから、うまいこと言えないな。ハハ。」


力が、私には、ある……

私には、、、、、ある。


「凛花、どうやらココは、地獄じゃないみたいだ。地獄は、この先のようだ!」


バコンッと、音を立て、颯斗は、地面を蹴り破った。


足元に、赤く、燃えがある世界が広がる。


凛花の思い描いて居た、地獄が広がっていた。


「なっ!自分から、地獄に行くバカがいるかーーーー!!」


2人は、また落下して行った。


「地獄~♪」


颯斗は、地獄へ行くことを、楽しんでいるようだった。


「颯斗、地獄へ落ちることを、喜ぶな!」


凛花は、颯斗を小突いた。


「なんだよ?何時もの、平凡な世界より、マシだろ?」


「私は、平凡な世界の方が、好きだよ!」


キャッキャッと騒ぎながら、2人の地獄ツアーが、開始した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ