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遥か彼方から

・・・・開かない。


あれから、もう、何時間経っただろう。

思い、鉄製の扉は、少しの光も漏らさず、硬く閉まり続けていた。


「いつになったら、帰れるんだよー!」


颯斗は、叫ぶが、

広い世界に、小玉し、しばらくすると、

青い空に吸い込まれて行った。


「颯斗、ここで死んじゃうのかな?」


「アホかぁ!死ぬわけねぇ!俺たちは、生きる!」


さっきまで、

弱気だった颯斗は、

別人のように拳を突き上げた。


「あんたの、元気が欲しいわ。」


凛花は、地面にストンと、座り込んだ。


帰れなければ、みんなに会えない。


帰らなければ、ゲームは終わらない。


だから、帰らなければならないのに……


ーーーーーーーーーー

「凛花、ここ、天国?」

いきなり、分かり切ったことを、颯斗は質問してきた。


「今更、何を?」


「下は、地上?」


どうでも、いいから、適当に凛花は答える。

なぜ、今こんな話を?


「そうなんだろねぇー」


「じゃあ、地面、突き破れば、帰れるってことか?」


思いもよらぬ、答えが帰ってきて、凛花は、戸惑った。

慌てて、答えを探すが、出てこなかった。


「タブン__________」


そう、一言。

凛花が、言い終わるが早いか、颯斗が拳を地面にぶつけるが早いか________


颯斗の、拳の下から、熱風が噴き出してきた。


冗談で、言ったつもりが、颯斗は、本気で地面を突き破ろうとしていた。


「何してるの!?」


颯斗の服の襟を掴み、地面から、引き離そうとした。


「穴開けて、帰る。」


素直に、颯斗は答えた。


「馬鹿いうな!帰れるわけないだろ!」


ココから、地上間の距離を、舐めるな。

焦る凛花を、横目に颯斗は、地面に拳をぶつけ続ける。

暴風が、凛花の顔に当たり続ける。

ぎゅっと、目をつむり耐え続ける、


いつの間にか、小さいながらも穴が空き始めていた。

その、小さな穴から、下界が見える。


「うっそ………」


穴は、どんどん大きくなる。


最初は、ネズミ1匹通れるか、

通れないかくらいだったものが、

犬が、通れそうなくらいになっていた。


「すっ凄い………」


「うわ……この下、大気圏じゃん!

このまま、降りて行ったら、燃え尽きるな

ここから、飛び降りてやろうって、思ったのに。」


大気圏=ここは宇宙!?


凛花の、複雑な思考回路は、また掻き乱された。


「ちょっと!今、なんて?」


「ここ、天国だけど、下は宇宙だった。」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・」


ハァ!?

宇宙だと?

嘘だろ……

ここに来る前は、確かに地球に居た。

それが、死んでほんの数秒で、こんなところまで、移動?


「まぁ、いいや。凛花、帰ろ~ッぜ。」


どこがいいんだよ!

燃え尽きテェノカ!

隕石になるぞ!

にもしかすると、『人間焼肉』かもしれねぇぞ!


アタフタ、焦る凛花を無視して、颯斗は背中に乗せ、

穴に飛び込んだ。

ボコン、と音を立て、あの空間を後にした。


「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ」

振り返り、手を伸ばすがもう、あの土地には手が届かない。


「口開けるな~燃え尽きる~」


「どうして、そんなに呑気なんだ。」


手刀で、パシンと颯斗の頭を頭を叩く。


「イッテーェ。大気圏、避けて帰るから。」


?????????????????


「避けて……帰る?」


「うん。」


「うん!?大気圏、避けるなんて、無理だろ!」

そう、話しているうちにも、

大気圏は、目の前に迫っていた。


「?」


「大気圏、避けることができたら、

地球は、隕石でボッコボコだよ!」


「?」


凛花が、必死に叫ぶが、全く効果はないようで…


「颯斗、翼、折れてるんじゃなかったっけ?」


ふと、頭に折れた白い羽が浮かんだ。


「あっ!折れてるよ!」


その声が、耳に飛び込んでくると、ハッとして、凛花は振り返った。

白い翼は、ボキリと90度に折れていた。


「どうやって帰るの?」


この羽では、飛べない。

飛べなければ、帰れない。


「落下する」


その一言は、全く理解することができなかった。


颯斗に乗ったまま、凛花は地球へ突進して行った。


いや、落下して行った。


「死ぬぅー」


その叫び声も、風にかき消された。

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