永遠のナルシな、見窄らしい汚い狼
・・・・・「颯斗、忘れてたけれど、どうやって帰る?」
凛花が、ポツンとつぶやいた。
「えっ?開くのを、待つしか……」
ブンブン、尾を振りながらそう答えた。
「いつまで待つの?」
不定期に開く扉は、次は、いつ開くのだろう。
何処かで、死者が出ない限り開かないのか?
ということは、しばらく帰れない…
「いつまで、待てばいいんだ!
俺ら、ココで死ぬのかよ!」
「颯斗、ここにいるということは、死んでる」
バサリと凛花に言われ、落ち込むかと思いきや、
「俺は、死んだ覚えはねぇ!」
そう、叫んだ。
「えっ?死んでないの?」
「おかしいだろ!その質問!
俺は、死んでいません!
神の使いの狼は、フツーに、行き来出来るんだよ!」
カクンと首を曲げた凛花。
颯斗は、えっ?と目を丸くする。
「ちょ…凛花、なんで傾げるんだよ?」
「えっ?だって、颯斗のどこが神の使いナワケ?
どう見ても、汚い狼でしょ」
ビキビキ……
どこが、汚い狼だ!
どこからどう見ても、神の使いだろ!
美しい毛並みの!美しい狼!
「凛花!もう、許さねぇ!
俺は、「永遠の素敵なカッコイイ綺麗な狼」
に決まってるだろ!」
「「ナルシ……」」
ボソリと、凛花は呟く。
しかし、颯斗には、聞こえていないようだ.
「颯斗は、『永遠のナルシな、みすぼらしい汚い狼』に決まってるだろ。」
また、呟くが、
自分の世界へ行ってしまった颯斗には、
何も聞こえない。
凛花には、見えた。
近づいては、ならない、『恐ろしい結界』が。
あの、結界の中へ、入ってはいけないと、本能的に悟った。
「あの、結界は、
危険だわ……もし、入っちゃえば、
ナルシの道を、歩むことに…」
ブルリと、身震いして、後退りした.
近づきたくない。
怖い怖い。




