呼びかけに応えて!
「颯斗は動かないで!」
凛花は、颯斗を叱る。
というより、お願いしている感じだ。
「傷口、開いたらどうするの?
病院ないからね?」
眉間にシワを寄せ、凛花は話続ける。
「守ってやった奴に、
その口の聞き方はあるかよ!」
赤く染まったハンカチを絞りながら、颯斗はガミガミ喋る。
「守ってくれたのは、感謝してるよ!
だからこそ、心配してるだろ!」
颯斗は、ふぅーん、と言うと立ち上がった。
「まぁ、いいさ。
先に、あいつを倒そうじゃねぇか!
傷口なんか、もう痛くねぇ。」
伸ばした人差し指を、ビシッとガイコツに向ける。
「噛み砕いてやろうか?」
シュウウウウウウ、と白い煙と共に、
人間の颯斗は姿を消し、
白銀の狼が現れた。
颯斗は、ジュルッ、と舌なめずりをする。
「いいぞー!颯斗、やっちまえ!」
後ろから、声援………
「凛花も、戦え!」
「「か弱い乙女に、戦えというのか?」」
「どこが、乙女だよ!」
ん?、と凛花は首を傾げる。
颯斗には、嫌な予感しかしない。
その時、
「オォーイ!凛花!颯斗!遅くなってごめん!」
聞き覚えのある、声。
凛花の目から、涙が溢れ出した。
ボロボロこぼれて行く。
「トゥウジィー!」
かすれた声が、出てくる。
隙を見て、支配人は、凛花に近づいた。
凛花を、今、殺してしまおう。
またとない、チャンスだ。
カチャ____________
「凛花!後ろ!」
真っ先に、気がついたのはトウジだった。
凛花は、ハッと頭を動かし、支配人を探した。
どこ………
ズブシュッ
鋭い、何かが体を貫いた。
「「「「「「「あ"っ!」」」」」」」
地面に、ガクンと崩れ落ちる。
「りぃんんかぁぁぁぁぁぁぁ」
体が、地面に吸いつけられるように倒れて行く。
___________________一体何が起きたの______________________________
頭から、倒れた凛花の意識は、遠のいて行った。
「凛花………!」
颯斗は、狼に変幻して、アイツの頭に噛み付いた。
「ハハハー何をしているのですか?
早く、助けないと、あの子、シンジャイマスヨ?」
バキバキーーーー
そんな、音がしてさっきまで、
颯斗の噛んでいたものは、消え去っていた。
地面と、口の中に骨が散らばっている。
散らばったものは、口の中を刺し、液体が流れ出ていた。
颯斗は、舌で撫で、痛みを消した。
白い物体を、吐き出し、凛花に駆け寄った。
「おい!起きろ!」
ピクリとも、動かない。
「おい!おい!」
呼びかけにも、答えない。
どうすれば、いいんだよ………
なんで、こんな事に………