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怪我人ぶっ飛ばす

ねぇ……………殺されるのって、怖いと思う?







その辺、よくわかんないけれど。





_____________________________私は、思わない。


痛さとか、殺された経験がないからわからない。


でも、今までたくさん人が死ぬ瞬間を見てきた。

他の人より、多く見てきた。

弾丸で撃ち抜かれたり……焼け死んだり………潰されたり………


そうして_______


_____みんな、散って行った。

_____みんな、死んで行った。

_____全て、私のせいだった。


そう、思うと、

あの世へ行って、早く行ってみんなに謝りたい。



謝罪したい。


「ごめんなさい」

その一言を伝えたい。

遅いけれど………

謝りたいから、死への恐怖がないのだろうか?

私には、分からないが。


助けられなかった命_______

それは、全て助けることができたのだと思う。

私が、出来なかっただけで………

私の、力不足で。


私は、死が、怖くない。

多分。

逆に、私は《早く殺して欲しい》。

一刻も、早く謝りに行きたい

死んでいった仲間たちに.



私は、この先の未来で、この世界のために何ができるのだろう………

多分、何もできない。

きっと、迷惑をかけるだけだ………





でも、私は『死ぬことができない』。

なぜだろう……

自分でもわからないが、死ねないのだ。

気持ちの問題だろうか。


どんな、手を使っても、何をしても結局生きてしまう。


不死身………とは違う気がするけど。

でも、それなのかもしれない。

その、種類のものなのかもしれない。


死への恐怖が、私にストップをかけている気がする.

死への恐怖は、ないはずなのに。

__________________________やっぱり、何処かにあるのかもしれない。

その、『恐怖』の持ち主さえも、わからない何処かに。

心の、奥の、また奥に。


死と背中合わせの毎日、だが、命を落とすことはない。


しかし、誰かが代わりに死んでいく。

血を流して………


これは、ストップではないはずなのに………

いや、全く違うと思う。



「では・・・・」


支配人は、ピストルを凛花の頭に向けた。


今まで、気が付かなかったが、ピストルではなく、もっと殺傷力も強い、ウィンチェスターライフルだ。


そして、45口径。

ウィンチェスターだけでも、強いのに45口径のライフル。


コレやばいんじゃね?


間違いなく、死ぬよね?

即死!

即死!

即死!

絶対即死!


一般人、こんなの持ってるはずないよね?????

まじで、殺人する人しか、持ってないんじゃない??????

てか、こんなのどこから手に入れるの?


闇市?裏ルート?


日本で持ってたら、銃砲刀剣類所持取締法に引っかかって警察にGO!

だと思うよ?

ココ日本だけど・・・


「さぁ、お時間です。」


えっ?

お時間?

早くね?

ムスカよりも、早いよ?

※ムスカ……ジブリシリーズ、天空の城ラピュタの敵。




パァン


あわわわわわわわわわ!


凛花は、目を瞑った。

_________________シンジャウ・・・









ん?



死ぬ時って、あんまり痛くないの?

_____生きてる?







「凛花!」


誰かに名前を呼ばれた。

少しずつ、目を開くと________



「颯斗!」


目の前に、颯斗が立っていた。


「凛花、怪我ないか?」

「うん・・・・」

コクコクと頷く。


颯斗は、凛花が無事と分かると、笑った。

凛花は、何が何だか、全く分からなかった。



「颯斗………?」


颯斗は、地面に崩れ落ちた。

横腹が、紅く染まっていた。



「颯斗!血……」


「俺は、簡単には、死なない。ミミみたいにな!………」


その姿は、《森山ミミ》と重なった。


炎の脱出ゲームで、命を落としたミミ______


私を、救ってくれたんだよね。

このセリフは、颯斗を馬鹿にしていたミミが_______言っていた。

『私は、颯斗さんのように、簡単には死にません。』


冗談で、言ってたと思うけれど……

凛花の心に刺さったのは、間違いない。

死んだのは、ミミの方じゃないか!

死んだ人を悪く言うのは、いけないけれど。




「颯斗!」


ポケットから、ゴミと共に、ハンカチを抜き出した。

それを、颯斗の横腹にハンカチを当てる。

ハンカチに刺繍された、クマの顔は、紅く染まって行った。


「それ、使っていいのか?」

颯斗は、痛みに顔を歪めながらハンカチを指差した.


「今は、颯斗が優先でしょ?」

凛花は、嫌な顔一つせず、笑った。




このハンカチは、涼香の形見だった。 *涼香......凛花の妹


涼香は、ゲーム開始直後、鬼に捕まったまま行方が分からなくなっている。


助けに直ぐに行けば良かったが、いけなかったため、何も情報が入ってこないまま。



きっと……………死んじゃってる。


________________



「ありがとう。悪りぃな。」


颯斗は、ハンカチを受け取り、座り込んだ。


どれだけ、痛いのだろう………颯斗。

だって、貫通してるんだよ。



支配人を見ると、何かに噛まれたのか、骨が砕け、右腕が無くなっていた.

まぁ、颯斗しかいないけれど……

※颯斗………狼に変化することが出来る。



ライフルが、ガチャンと音を立てて、地面に落下した。



私には、人を庇う勇気があるのかな?

颯斗みたいな、英雄になりたい。


次は、私が颯斗を守る番………


命をかけてでも、守らなけれければならない。



______いや、守る。







絶対、守る。

守られてばかりじゃ、自分は強くはならない。


強くなくては……………




強いものは、勝ち残り、弱いものは、死ぬ。






認めたくはないけれど、この世界では、そうだ。

強くなくては、逃げ切れない。

逃げ切れず、命を落とす。





私は、強くはないけれど………


それでも、守る。





腕を噛まれたために、支配人は、逆ギレした。

そして、左手で、ライフルを拾い上げ、肩に担いだ。


「みんなで一緒に、あの世へお出掛けください。」


ニタリ、と支配人は笑った。


けれども、凛花の表情からは、恐怖が消えていた。

隣に居た……………!えっ!?


「颯斗!ちょっ………まだ、動いたらダメだよ!傷口が、開いちゃう!」


颯斗は、 エェーーーー と、暴れた。

「なんで、俺だけ、支配人を前にして見学なワケ?あり得ないだろ!」

イヤイヤ……怪我人は、黙って見てロッ!


凛花は、颯斗の腹に一発食らわした。







その瞬間、颯斗は吹っ飛び、

《奇跡的》に近くの岩に座った。(正しくは、颯斗が瞬時に狼に化けて着地した)


「しゃあ!」


その嬉しさに、拳を振り上げる私。

イヤイヤ………それ、俺が着地しただけで、

凛花は飛ばしただけだよな?

しかも、怪我人(庇ってくれた人)を殴る(?)、

飛ばすとか、一般常識からしてどうかしてるぞ!




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