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炎の密室からの大脱出

「私の勝手です。私の思うようにしているんです!」

ミミが叫んでいた。あのミミから、こんな大きな声が出るなんて……

耳の鼓膜がはちきれそうだ。


「ミミ・・・」

凛花は唾をのみ込みながら、ミミを見つめた。

「とにかく、今は1ヶ月逃げ切ることだけ考えよう。このままでは、1ヶ月も逃げ切れないでしょう」

ミミは、またいつもの表情に戻っていた。余裕が見える、笑顔だ。今のミミが嘘みたいである。きっと気のせいだよ…

「うん。そうだね」

凛花は、コクンと頷いた。


「この道を真っ直ぐ行きましょうか。」

ミミは、指を伸ばし、道の先まで見据えていた。



「この先は・・・」

凛花は遠くを見つめながら、ミミに問う。ミミは淡々と話し、歩き始めた。

「山になります」

「山?」


なんで……山?山と、連想すると何だか木々しか浮かんでこないが。

木とか一杯あるから逃げにくいような……?


「はい。山なら木がたくさんあるので、木を上手く使えば鬼をまけると思います」

あー、さすがミミ!尊敬するよ。ホント。


「OK!」


2人の少女は、山の中に逃げ込む。ザザザッ、と草が風に揺れ道を隠していった。

木がおい茂り歩くのもやっとだ。


身体中傷だらけになりながら鬼から逃げ続ける。気が付くと、何時間もたっていた。その判断は、適当に空を見てだが。


「ハァハァ。このゲーム、いつまで続くの?」

呼吸が乱れている凛花は、もうギブアップ状態。足が痛いし、体もだるい。鬼を見た恐怖からか、足が震えていた。


「まだ、1日も終わってないよ。今日が終わるまで7時間近くはあるよ」

7時間、今は5時か。ミミは、時計を持っているよう。早く一日が終わり、一か月が過ぎ去ればいいのに。


「そんなに!?」

まだ、7時間も逃げ続けないといけないのか………

「鬼は、山のふもとにいます。」

おお!出た!ミミのナビセリフ!って、興奮してる場合じゃない。逃げないと。

ドスドスと、鬼が重い体を揺らしながらかけてくる。

「逃げ切れないよ!てか、右腕大丈夫?」

凛花は、思い出した。ミミが、けが人だということ。

「少し、激しい運動をしたので出血・・・」

「そんな!本当に大丈夫!?」

「私は、颯斗さんのように簡単には死にません」

「あんまり、颯斗の事悪く言わないでね」

凛花は、目を吊り上げた。颯斗のことは、言わないでほしい。

「大丈夫ですよ。颯斗さんは、立派に散りました。チャンチャン!」

なんだか、自分の事は言われてないのに頭にカァァと血が上る気がした。

それくらい、颯斗が大切なんだと理解___


「だから~颯斗は、人のために死んだんだよ~」

凛花は、顔をしかめた。額に怒りマークを作りながら、ミミにどなる。

「鬼が来てます」

「話変えんな!」


ガザガサガサ


と、草をかき分け山の中へ逃げ込んで行く。まるで、迷路。進んでも、進んでも草は視界に入ってくる。草が嫌いになるほど、ある。


いつもは、青々して柔らかい葉は、今はまるで刃物のように体に傷をつける。

炎を出す力があれば、焼き払って道を開けるのに。


「鬼は、見失っても、匂いを頼りに追いかけてきます!」

ミミは、なぜか解説を始めた。まぁ、初耳ですけど。

「まぁ、そうだろうね。ミミの出血___」

「ウッサイ!私は、怪我人なんですよ?もっと優しく扱ってください」

怪我人をやけに強調するミミ。


「はいはい」

凛花は頭を掻き、ミミを黙らせた。その時、


『今から、新人逃走者を助けるゲームを行います。鬼は、停止しますので、山を降りてきてください』


アナウンスが鳴り響き、二人はあきれながらアナウンスを聞いていく。


「また?」

「しかし、仲間が多い方が、ミッションは有利になると」

ミミは、メモ帳を見ながら説明する。ドコでメモって来たんだよ!経験者、なのかな?

「ミッションって助けるだけ?」

凛花が、質問すると、「さぁ?」と首を傾げた。そこまでは知らないのか。ただのマニア的な物だろうか。こんなデスゲームを好むとは趣味が悪いですな。

「とにかく行きましょう!」

2人は、山の斜面を滑りながら降りて行く。草木に道を阻まれながらも、サァーーーっと滑り降りていった。


「鬼はどこで停止してるのだろう?」

凛花がつぶやくと、ミミは間の良すぎるくらいのタイミングで叫んだ。

「あっ、鬼です!」


見てみると、鬼は凛花達から2mも離れていないところに停止していた。走るポーズをしたままだ。

もう直ぐで、危なかった。





「新人さんかぁ。仲間が多いと、結構有利だよね」

山のふもとまで降りると、支配人が待っていた。フードをかぶり、二人を出迎える。

「お待ちしておりました。今回は、男性の方です」

ニタニタ笑いながら、プレイヤーを紹介する。残念ながら、二人はその話を完全に聞き流す。熱弁も、馬の耳に念仏状態だ。

「んで?どうするの?」

「もちろん、助けていただきます。しかし、1人犠牲者を出すか、ゲームで勝つしかありません。ゲームに勝てば、解放鍵をお渡しします」

まぁ、この野郎は何を言い出すかと思えば、またくだらない事を。


「犠牲者なんか、出すもんか!」

「凛花の言う通り!ゲームをするわ!」

偽善者二人は、ゲームへの参加申請を終わらせた。支配人は、とてもうれしそうだ。まぁ、そうか。傍観者側から見れば命を懸けてプレイしてもらった方がうれしいですよね。


「では、ゲーム内容をお話しします」

「どんなゲームかなぁ」

声をそろえて、二人はゲームの内容を想像してみたりした。

「燃え盛る炎に囲まれた部屋から脱出ゲームです。制限時間は60分。1時間で脱出していただきます」

それなら、簡単だ。PCゲームでも良くあるゲームだ。頭の回転が速いミミもいるし凛花も(携帯ゲーム機の)脱出ゲームの経験者だ。


「OK!」

「では、アイマスクをつけて下さい。今から、その部屋に移動します。」

2人は、渡されたアイマスクを、言われたとおり装着した。


気が付くと、真っ白な部屋にいた。

本当、何にもない。

空っぽの引っ越しそうそうの家の様。


少し、油の匂いがする。

これも、ミッションに使う道具なのかな?


『お待たせしました!ファイヤー!・・・ファイヤー係!早くしろ!』


支配人の掛け声とともに、炎が噴き出した。あっつい!これ、安全なのかな?

てか、さっきの怒鳴り声___


もう、逃げ場は無い。辺りは炎に囲まれ、出口の扉は消滅していた。


『脱出スタート!まずは、自分の右手の手錠を暗号で外して頂きます』

「暗号は、どこ?」

凛花はキョロキョロと辺りを見渡す。それらしきものは見当たらない。


『前の画面に表示された暗号から解いてください』


「問題1 4C2B」


「ハァ!?ヨシ・・・ツビ?」

「凛花さん、お先に解読させて頂きました!」


ミミの手は、もう自由になっていた。が、凛花は片手も外れていない。頭で考えるよりも、先に体が動くタイプである。

「さすが!」

「ヒントを差し上げます。50音です」

「4のC?あ、か、さ、た。4は、『た』だね!Cは、1・2・3だから、一つ目は、『つ』だね!」


カチャ

一つ、鍵が外れた。

「同じように行くと、2のBは、か行の2番目。『き』!答えは『月』!」

カチャンと、音がして手錠が外れた。


「ミミ、凄いよ。あんな短時間で解読するなんて」

「少し、考えて色々あてはめてみました」


顔を赤く染め、ミミは照れていた。褒められるのが、嬉しいんだ。


ミミと凛花は、次の問題に挑む。


「1問目正解おめでとうございます!2問目へ行きましょう!」


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