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こいつらの方が、正しいから。

体を抜かないと……


コンクリートは、ガッチリと紅の体を掴んでいる。


「あっ……ヤベッ」

抜けれない……


痛タタ……


あんな事せずに、普通に滑り降りとけばよかった……

……ってこと考えてないで、抜ける方法考えないと。


出れない……服が引っかかってる……





「誰か助けぇろぅ!!」






紅は、涙目になりながらバタバタ暴れる。


でも、暴れるほど服が引っかかって行くことに紅は、気が付いていなかった。





「…………俺、何時間ここにいるんだ?」


空は、日が傾き朱色に染まっている。


脚も、擦りむきチクチクと痛む。

「痛ってェ」


傷口に、砂が入り込む。


「いうぐぐぅ」


刀をコンクリに差し込み、なんとか体を抜こうとするが、思うようにはいかなかった。これは、『掘り出さないといけない』系?


誰だよっ!俺の足を掴んでるのは!……………コンクリだけど!!




「誰かぁ!!」


紅の、叫びは青空に吸い込まれて行った。


「俺の叫び声を……青空が持って行った……」


紅……詩人なのか!?

なんだよ、このたとえ。







「腹減ったなぁ。なんか食いもんないか?」


いつもの、暗い緑。

明るく振舞っているのは、偽りの顔。

本当の俺は、全く面白くない人間だ。

いつからだっけなぁ……

こんな自分になってしまったのは。

俺だって、こんなつもりねぇのによぉ~。



トウジ


一向に、出口のようなものは見つからない。

さっきの、蜃気楼のようなもののせいで、余計な体力を使ってしまい、歩くのもやっとになっていた。


「俺……どうなるんだろう。」


生きて帰れるだろうか。

みんなに会えるだろうか。


心が折れそうになってくる。

でも、__________出口を探す。


「後ろ向きになんかならない。生きて帰るんだ……」


弱い自分を捨てる。

そして、強くなるんだ。


強くなって、仲間たちと再会を果たすんだ。

悲しみを分かち合って……嬉しいことを分かち合って……







やりたい事は、たくさんある。

しかし、それを果たすためには『生きて帰らなければならない』。

生きて帰らなければ、何もできない!

未来の扉を開くために、歩き続けるんだ。




飛行中___


「颯斗!」


いきなり、凛花が叫んだ。

今まで、築いてきた「平静」という高い、高い壁がガラガラと音を立てて、崩れていった。


「んあ?」


颯斗は、面倒くさそうに返事をした。


「あそこに…人影がある。」

凛花の能力で見つけた。

凛花の能力は、遠くを見ることができる。

千里眼ってやつ?

来夏も、人影を探そうと冬華に変化して真面目に下を眺めた。


しかし、人影などどこにもなく、ただ深い森林が広がるだけだった。


凛花は、それでも真剣に下を眺めていた。


「凛花…どこにもいないわよ?ネズミかなんかの見間違い…」


来夏は、馬鹿にしたような口調で話す。

でも、凛花は諦めなかった。

何処かに人影があると信じて…


颯斗は、何も喋らず、すべて凛花達に任せていた。



2人は、気づいてないと思うけれど、これは、『信用されてる』ってことなんだよな。





いきなり、颯斗は急降下した。


「颯斗!?」


「その人影、確かめに行こうぜ。何もしないより、何かすることを見つけて、真剣に取り組むことが大事だからな!だから、行くぞ。」


「でもっ!なるべく無駄を省いた方がよくないかしら?」


「凛花を俺は信じる!俺、凛花の千里眼に賭けてみる。」


もう、それ以上来夏は何も言わなかった。

言い返せなかった______


だって___________________





















__________________こいつらの方が、正しいから。







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