レン、ごめんなさい
レンの背後で、ミオウが笑う。
レンは、何も知らずに空中で捜索を続ける。
真面目すぎるんだよ……鈍感なだけかもしれないけれど。
藍色の空の端から端まで見落とさないよう、しっかり探す。
しかし、ドラゴンはいない。いるわけがない。
汗がレンの額でキラキラと光る。
それくらい、必死なんだ・・・
「守らなければならない」、それでいっぱいなんだ。
ミオウの目頭が、かぁと熱くなった。
いつまでたっても、ドラゴンは見つからない。
真っ白な雲がプカプカと空に浮かんでいるだけ。
ドラゴンかと思ったら、カラスやタカだったなんて、
・・・・もう100回はあったと思う。
それでも、レンの集中力は切れなかった。
目は希望に満ちてキラキラ光っていた。
・・・楽しんでるの?
「姫様、絶対見つけ出します。」
レンは、私に気を配ってくれた.
レンの声は、ミオウの中に響いた。
もう、そんな声を聴きたくなかった、言わせたくなかった。
ミオウの後ろにいるライトに指示を与え空に飛ばした。
これで・・・『本当』になる。
ライトがいなくなったのは 本当 になる。
レンの目のきらめきは、増していた。
時間が経つごとにきらめきを増す。
ミオウは辛かった。
奥歯がギリギリと音を立てる。
自分が情けない・・・
レンを元気にしたかっただけなのに。
こんなの、『望んでた』のと違う。
違うよ・・・
耐えれないよ。
なんて言われてもいい、もう、本当のことを言おう。
心臓がバクバクと音を立てる。
「レンごめんなさい。」
声が震える。
「いいよ。ライトのことだろ?知ってる。」
知ってたの?なんで・・・なのに探したの?
ミオウは震える唇を無理やり尖らして音を鳴らした。
「ヒュ~ルルルル」
雲が動く。
雲からドラゴンが飛び出した。
帰ってきた。
レン、ごめんなさい。