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ここに、います。
「美味しいだろう?」
自信満々に紅が質問する。
「全く」
「なんで?自然を味わえるだろ?」
凛花の答えが意外というように言う。
「青臭い」
凛花は鼻をつまんで顔の前でパタパタと手を動かす。
「臭臭!!」
その時、颯斗が目を覚ました。
キョロキョロ辺りを見渡している。
「颯斗!こっちこっち!」
凛花が手招きをする。
「?」
「颯斗、ヨモギスープ、臭いか?」
「うん」
紅は、「ああ?」と顔をしかめた。
「もう、食べなくていいから、早くセイとトウジと来夏&冬華探そう。」
「チッ」
紅は、スープの入った鍋を倉庫の端に寄せ、すでに変幻していた颯斗に乗った。
颯斗は、大あくびをして大空へ舞い上がった。
「あいつら、どこだよ・・・」
「なんか、そこに森林があるよ!」
「いねぇだろ、そんなところに。」
颯斗は、その森林を通り過ぎた。
しかし、そこにはーーーーー
「誰も助けに来ない・・・」
トウジが居たのだ。