悪魔からの賭博の誘い
「私が、主催者です」
こんなくだらない、ゲームを作った奴の顔を見ておこうと顔を覗いたが、見えない。
「やっと来てくれたのですね。あなたには、2人の人間を救出してもらわないといけません」
小馬鹿にしたような口調の男は、楽しそうだ。
「颯斗以外にもいるの?」
「新しい方なので、最初から捕まっております。ゲーム、すたーとです。」
ギィィィィ。耳障りな音がして男の立っている場所のすぐ横の扉が開いた。
「そこから、階段を降りて行くと2人が居ますよ。」
暗黒の世界が目の前に広がる。もう、元の世界には戻れないような気がした。暗い、闇に包まれた世界。
カツン、カツン、カツン
どうやら、鉄製の階段のようだ。暗くて見えないけど。
「まだなのぉ?ねえ、ハヤト!」
カツン、カツン、パタン。
音が変わった。階段が終わったのだろう。コンクリート製の床、かな?
「電気、ないんですか?」
パチン!
声が合図かのように、明かりがついた。そこは、信じられない世界が広がっていた。
まぁ、上の光景はOKとしよう。颯斗ともう一人の人物は鉄の檻に閉じ込められていた。その下の世界がおかしいのだ!下は、骸骨で埋め尽くされていた。子供、だろうか。小さな骸骨や巨人レベルの大きなものまで。一つや、二つではない。何千もの数のドクロだ。
「なっ、何これ!」
趣味が悪いとしか言いようのない、いや、地獄とも言えるかもしれない。
『やっと、到着しましたか?遅かったですね。今まで、全国を回ってきましたが
最下位ですよ!』
「そんなのどうでもいいじゃない!最下位とか。それより、どうやって、助けるの?」
「今から、ゲームをします。簡単なゲームですよ」
パチン、と指を鳴らした支配人。すると、ゴゴゴゴ!物凄い地響きがする。床が回転し始めた。さっきまで、コンクリートだった床はカーペットの床へとチェンジした。
『そこで、ゲームをしますので。初めとは、ゲーム内容に変更が出ました。こっちの方が面白いですよ。どうぞ、降りて行ってください』
「はい」
凛花は、言われるがままゲーム台の横の椅子に座った。
『トランプゲームです。ルールを説明します。皆さんも、知っている方もおられるのではないでしょうか?そこにある、54枚のトランプの中から5枚カードを選びます。そして、トランプを1枚選び、場に裏返して出します。2人が出し終えたら、
同時に裏返して、数字の大きい方が勝ちです。5枚全てを出し終えて、勝ち数の多い方が勝ちです。不正のないように、勝った方はトランプを捨てて下さい』
「面白そうじゃん!もし、私が負けたら?」
ニヤリ、と凛花は微笑む。
「初めにお話ししませんでしたか?あなたも捕まります。対戦相手は、主催者の私でございます」
「アンタ?」
少し、意外だった。予想では、何かしらの刺客でも用意するかと……。その時、初めて顔が見えた。ガイコツだった。フードを脱いだのだ。本気モードですか?
「では、そこの54枚の中からカードを選んでください」
「はい」
凛花は、5枚カードを引き抜いた。適当に、だ。手前からささっとね。主催者も、5枚カードを引く。凛花のカードは、クイーンとキングと6と2だ。このゲームには記号は関係ないから、言わなくてもオッケーだよね?
「では、1枚目のカードを」
凛花が整え終えるのを見て、支配人は合図を送った。カードを出す。支配人もカードを出す。
「では、裏返してください」
凛花は、6、支配人は3。凛花が一歩リードした。なんと、簡単なゲームだ。
「負けてしまいました。しかし、始まったばかりですよ。」
(この、2のカードを先に捨てておかないと。)
凛花は、出し終えたカードを脇の箱に捨てた。
「第2試合、始めますよ」